バイエル薬品 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬「ケレンディア®錠」の製造販売承認を取得

  • 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の適応を持つ唯一のMR拮抗薬
  • 心血管・腎臓障害の原因となる炎症・線維化を引き起こすMRの過剰活性化をターゲットに開発
  • 計13,000人以上が参加した2つの大規模臨床試験FIGARO-DKD とFIDELIO-DKDに基づく承認

 

大阪、2022年3月28日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)は、非ステロイド型選択的MR拮抗薬「ケレンディア®錠」(一般名:フィネレノン)について、2型糖尿病を合併するCKD(ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の適応に対する製造販売承認を本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせします。

 

2型糖尿病を合併するCKDの進行は、血圧などの血行動態、血糖コントロール不良などの代謝に加え、炎症や線維化が要因として知られています1,2。2型糖尿病を合併するCKD患者のアンメット・メディカル・ニーズである心血管や腎臓の障害を抑制するためには、血行動態や代謝だけでなく、MRの過剰活性化が関与する炎症や線維化への介入が必要とされています。ケレンディア®錠は、MRに選択的に結合し、炎症や線維化を引き起こすMRの過剰活性化を抑えることにより、心血管および腎臓の障害を抑制します。ケレンディア®錠は、2型糖尿病を合併するCKDの適応を持つ唯一の非ステロイド型選択的MR拮抗薬で、CKD治療において新規作用機序の薬剤です。

 

ケレンディア®錠は、2型糖尿病を合併するCKD患者計13,000人以上が参加した2つの大規模臨床試験(FIGARO-DKD、FIDELIO-DKD)のデータに基づき承認されました。FIGARO-DKD試験は、比較的重症度の低い集団を含むCKD患者が対象である一方、FIDELIO-DKD試験は、比較的進行したCKD患者が対象でした。各有効性主要評価項目において、ケレンディア®群はプラセボ群と比べ、FIGARO-DKD試験では心血管複合エンドポイントの発現リスクを13%、FIDELIO-DKD試験では腎複合エンドポイントの発現リスクを18%それぞれ有意に低下させました。また、2試験より、ケレンディア®錠の安全性プロファイルが示されました。重大な副作用は高カリウム血症でした。2試験のデータは、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン2020年10月および2021年8月にそれぞれ掲載されています。

 

バイエル薬品は腎領域において、CKDの主要な合併症の1つである腎性貧血の治療剤マスーレッド®錠(同:モリデュスタットナトリウム)、および、CKDにおける高リン血症治療剤ホスレノール®(同:炭酸ランタン水和物)を販売しています。腎領域の新たな治療薬として、ケレンディア®錠を薬価収載後に日本の患者さんへお届けします。ケレンディア®錠は、心不全および非糖尿病性CKDをそれぞれ対象とする第Ⅲ相臨床試験が進行しており、バイエル薬品は今後も腎領域のアンメット・メディカル・ニーズに応えるために力を注いでまいります。

ケレンディア®錠について

ケレンディア®錠(一般名:フィネレノン)は、ドイツ・バイエル社が創製した1日1回経口投与の非ステロイド型選択的MR拮抗薬です。ケレンディア®錠は前臨床試験において、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。2型糖尿病においてMRの過剰活性化は、血糖コントロール不良などの代謝要因、血圧などの血行動態、炎症や線維化によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に関与すると考えられています。2型糖尿病を合併するCKDの適応は、米国、欧州連合などで承認されています。

 

2型糖尿病を合併するCKDについて

日本には約1,330万人のCKD患者がいると推計されています。CKDは死に至る危険がありますが、あまり認識されていません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の1つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。CKDは、世界中で1億6,000万人以上の2型糖尿病患者に影響を及ぼしていると推定されています。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が3倍高くなります。

<ケレンディア®錠の概要>
販売名 ケレンディア®錠10mg、同錠20mg
一般名 フィネレノン(finerenone)
効能・効果 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
用法・用量

通常、成人にはフィネレノンとして以下の用量を1日1回経口投与する。

eGFRが60mL/min/1.73m2以上:20mg
eGFRが60mL/min/1.73m2未満:10mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量する。

製造販売承認日 2022年3月28日
製造販売元 バイエル薬品株式会社<

 

References:
1. Alicic RZ, et al. Clin J Am Soc Nephrol 2017;12:2032–2045
2. Mora-Fernández C, et al. J Physiol 2014;592:3997–4012

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社について

バイエル薬品株式会社は本社を大阪に置き、医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業からなるヘルスケア企業です。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に注力しています。コンシューマーヘルス部門では、プレナタルサプリメントや腟カンジダ抗真菌剤に注力しています。同社は、技術革新と革新的な製品によって、日本の患者さんの「満たされない願い」に応える先進医薬品企業を目指しています。詳細はwww.pharma.bayer.jpご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2022年3月28日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。