本資料は10月10日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/をご参照ください。
バイエル、米国で新たな細胞治療製品製造施設に2.5億ドル投資
- 新施設は、後期臨床試験および将来の製品上市時の細胞治療製品を供給
- BlueRock Therapeutics社によるパーキンソン病向けの細胞治療bemdaneprocel(BRT-DA01)の臨床試験を支援
- 新施設は、米国カリフォルニア州バークレーに所在
ベルリン、2023年10月10日 ― ドイツ・バイエル社は、世界中の患者さんに細胞治療をお届けできるよう、米国カリフォルニア州バークレー市に新たな細胞治療用製品製造施設を開設したことを発表しました。2.5億ドルを投資する本施設では、BlueRock Therapeutics (以下「BlueRock」)社のbemdaneprocel(BRT-DA01)の臨床試験および市販用製品の製造を支援します。 Bemdaneprocelは現在、パーキンソン病の治療に関して開発中の細胞治療です。BlueRock社は、臨床開発段階の細胞治療を扱うドイツ・バイエル社の完全子会社で、独立して運営されています。この新たな施設においては、バイエルの細胞治療ポートフォリオの進展に伴って今後開発される細胞治療についても、製造を支援する予定です。
ドイツ・バイエル社経営委員会委員・医療用医薬品部門代表のシュテファン・エルリヒは、次のように述べています。「この新たな施設への当社の投資は、細胞治療が世界中の患者さんにとって現実のものとなることを確かにするものです。細胞治療は、疾患の根本原因を標的にすることや重要な生体機能の回復など、これまでとは異なる方法で疾患を治療する重要な機会を提供するものです」
この新たな細胞治療製品製造施設は、バイエルが米国カリフォルニア州バークレーに有するバイオテクノロジーに特化した施設におけるトランスフォーメーションの一環であり、ここでは過去5年間に約5億ドルを投資してきました。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門経営委員会委員・医療用医薬品部門プロダクトサプライ責任者であるホルガ―・ヴァイントリットは、次のように述べています。「製造は、バイオ医薬品業界の細胞・遺伝子治療に関するパイプラインについて、ラボラトリーから患者さんのもとにまでお届けする上で重要な要素の1つです。この施設によってバイエルがその実現に向け重要な役割を果たすことが可能になります。当社は最も複雑なタンパク質医薬品の製造能力を高めており、さらにはこの業界が世界中の患者さんに新しい治療薬をお届けすることを可能にするプラットフォームを前進させていきます」
バイエルのグローバルなバイオテクノロジー組織は、医薬品に関するイノベーターに対し、治療薬の候補を基礎研究段階から、実臨床における患者さんのケアに進展させられるよう支援しています。バイオテクノロジーのチームは、市販製品や、開発後期にあるタンパク質および細胞治療を含むバイエルの広範なバイオ治療ポートフォリオにおける生物学的製剤の開発および製造の能力を提供しています。同時に、バイエルはBioPartnering Solutionsを通じて、サードパーティ企業による臨床試験および商業化を支援しています。
BlueRock社の社長・CEOであるセス・エッテンブルグは、次のように述べています。「当社が開発した効果的な細胞治療を、必要とする患者さんにお届けする上で、この新たな細胞治療の製造施設を利用できることは重要です。当社は、初の治療薬候補であるパーキンソン病用のbemdaneprocelの製造規模拡大に向け、臨床試験を進める中でバイエルのバイオテクノロジーの科学者や製造の専門家と肩を並べて協働することに期待を寄せています」
細胞治療の上市に向けたこの新たな施設は、バイエルがタンパク質治療薬、細胞・遺伝子治療といった生物学的製剤パイプラインを進展させるために行っている最近の投資の一部であり、新しい細胞培養技術センターや細胞治療ラボも含まれています。本施設では、iPSC(人工多能性幹細胞)およびCAR-Tの特性評価、プロセス開発、解析、臨床から商業製造にいたるBiotech@Bayerという専門知識を活用できるとともに、細胞培養、ウイルス導入、細胞治療製品の自動充填用のフレキシブルなモジュラー式設備が整備されていることが特徴です。
バイエルのグローバルなバイオテクノロジーネットワークには、バークレー以外にも、ドイツのヴッパータールおよびレバクーゼン、スイスのバーゼルにおける、生物学的製剤の開発、製造科学、産業化、先端製造技術のチームがあり、ラボラトリーや製造施設が整備されています。
【Bemdaneprocelおよびパーキンソン病について】
Bemdaneprocel(BRT-DA01)は、パーキンソン病により減少するドパミン作動性ニューロンを補う開発中の細胞治療です。本治療で使用されるドパミン作動性ニューロンの前駆細胞は、ヒト胚性幹細胞である多能性幹細胞(PCS)に由来するものです。手術によりパーキンソン病患者の脳に移植されるもので、移植後パーキンソン病により著しく損傷した神経回路網を修復し、患者の運動機能および非運動機能を回復させることが期待されます。現在、BlueRock社による第II相臨床試験が準備されており、2024年上期に患者登録が開始される予定です。
パーキンソン病は、脳内の神経細胞死によって引き起こされ、ドパミン量が減少する進行性の神経変性疾患です。患者は、診断時点でドパミン作動性ニューロンの50~80%を失っていると推定されています。これにより、運動機能が次第に損なわれ、振戦、筋固縮、動作緩慢などの症状が出現します。薬物療法を受けていても、パーキンソン病の症状は1日の間に変動することがあります。パーキンソン財団によると、世界で1000万人以上、米国では約100万人がパーキンソン病を患っています。治癒する治療薬はなく、既存の治療薬の効果は時間の経過とともに低下します。
【米国および欧州の革新的バイオテクノロジー企業対象のBioPartnering Solutionsについて】
バイエルのBioPartnering Solutionsを通じて、イノベーターは業界をリードするバイオテクノロジーのプロセス開発とバイオ製造技術を活用して、開発した治療薬候補を現実のものにすることができます。バイエルの高度な技術を有するバイオテクノロジー部門と前臨床試験、臨床試験、商業化における製造能力をはじめとしたインフラを活用することで、有望な開発中の細胞治療、モノクローナル抗体薬、タンパク質治療薬候補を研究の初期段階から、患者さんにお届けすることができます。BioPartnering Solutionを通じて、開発初期段階にある企業の新薬臨床試験開始申請(IND)および生物学的製剤承認申請書(BLA)に向けた開発推進、バイオプロセス・生化学工学、臨床試験・商業化のための製造といった一貫した支援を提供します。サプライチェーン・マネジメント、購買、品質管理、薬事申請に向けたCMC戦略など、付随する支援も多数提供しています。詳細については、https://www.bayer.com/en/us/BioPartneringSolutionsをご覧ください。
【米国カリフォルニア州バークレーのバイエルBiotech Campusについて】
米国カリフォルニア州バークレーに位置するバイエル Biotech Campusは、敷地面積46エーカーを有し、約1000名の従業員が従来のタンパク質治療薬および新たな細胞・遺伝子治療の開発ならびに製造を推進しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエルのビジョンについて
世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というビジョンの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2023年10月20日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。