本資料は2月6日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。

Vividion Therapeutics社 進行性固形がん・血液がんを対象とした経口STAT3阻害剤の第Ⅰ相臨床試験を開始

  • 転写因子STAT3の経口低分子阻害剤VVD-130850(治験薬)は単剤および免疫チェックポイント阻害剤との併用による進行性固形がん・血液がんの治療薬として開発
  • 直接結合によりSTAT3タンパクレベルに影響を与えることなくSTAT3の機能と標的遺伝子の発現を調節する革新的な治療薬候補
  • Vividion社の最先端ケモプロテオミクス創薬技術プラットフォームにとって重要なマイルストーン

ドイツ・ベルリン、米・カリフォルニア州サンディエゴ、2024年2月6日 ― Vividion Therapeutics社(以下Vividion社)は、進行性固形がんおよび血液がんの治療薬として開発している経口STAT3阻害剤VVD-130850の第Ⅰ相臨床試験において、被験者への投与を開始したことを本日発表しました。Vividion社はドイツ・バイエル社の完全子会社で、独立経営のバイオ医薬品企業です。革新的な探索技術を活用することで、これまで創薬不可能とされてきた価値の高い、病状が深刻ながんや免疫疾患の精密医療薬の標的を解明できる可能性があります。本試験の開始は、Vividion社の革新的なケモプロテオミクスプラットフォームにとって重要なマイルストーンとなります。

Vividion社最高経営責任者のアレクサンドラ・リゾは次のように述べています。「当社のSTAT3阻害剤プログラム初となる臨床試験の開始と投薬は、当社にとって大きな転換点です。本プログラムは当社のプラットフォームを活用した2つ目のプログラムであり、わずか数カ月で臨床試験に進みました。広く知られたがんや免疫疾患に対し、これまで創薬不可能とされてきた標的タンパク質からなるパイプラインを比較的短期間で進展させることができ、誇りに思います」

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「当社はVividion社の革新的なケモプロテオミクス創薬技術を活用し、疾患の進行を抑えたり、止めたりする可能性のある注目度の高いがんの標的に対応する新しい治療法を開発しています。何百万人もの患者さんとそのご家族にとって、がんは深刻な病気であり続けており、腫瘍細胞の生存と増殖の主要な要因に対処する新しい治療法が必要とされています。Vividion社のSTAT3阻害剤プログラムの臨床試験開始により、われわれはがん患者さんにとって意義のある新しい治療法に一歩近づきました」

VVD-130850は新規のアロステリック部位に結合する経口低分子STAT3阻害剤で、がん細胞におけるSTAT3標的遺伝子のDNA結合と発現を直接阻害します。第Ⅰ相臨床試験では、進行性の固形がんおよび血液がん患者を対象に、VVD-130850単剤および免疫チェックポイント阻害剤との併用に関して、VVD-130850の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学および予備的な抗腫瘍活性を評価します。

Vividion社チーフメディカルオフィサーのジェナ・ゴールドバーグは次のように述べています。「この高選択的STAT3阻害剤の臨床試験開始と投薬を発表できることをうれしく思います。当社が考えるこの治療薬候補の特筆すべき点は、STAT3に結合し、STAT3タンパクのレベルに影響を与えることなく標的遺伝子の発現を阻害することです。STAT3経路ががん患者の治療パラダイムを変える可能性があると信じており、臨床開発を通じてVVD-130850を前進させることを楽しみにしています」

Vividion社は、複数の新規創薬プログラムを臨床試験に向けて推進しており、がんや免疫の領域には早期発見段階のパイプラインが十数個あります。2021年8月のバイエルによる買収後、Vividion社は独立した立場で革新的で起業家的な社風を維持しつつ、バイエルの低分子医薬品開発における深い専門知識、グローバルな能力や財務力を活用することにより、両社にとって最善のモデルで事業を展開しています。
 

【STAT3について】

STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)は重要な制御タンパク質です。特定のヒトのがんにおいて過剰に活性化され、腫瘍の進行、転移、免疫応答の低下を促進します。STAT3経路は、腫瘍形成、転移、薬剤耐性、免疫抑制に関与することから、さまざまながんにおける有望な治療標的として認識されています。
 

Vividion社について

Vividion Therapeutics社は、2021年8月に買収したドイツ・バイエル社の完全子会社で、独立経営のバイオ医薬品企業です。新規創薬技術を活用し、これまで創薬不可能とされてきた価値の高い、病状が深刻ながんや免疫疾患に対する精密医療薬の標的解明に取り組んでいます。同社のプラットフォームは、さまざまな疾患に関与する十分に検証された標的タンパク質における数百個の未知の機能部位を同定できることから、同時にそれらの部位と極めて選択的に相互作用する化合物を独自の共有結合型化合物ライブラリーから同定しています。同社は独自のケモプロテオミクスプラットフォームを活用し、がんや免疫の領域においてこれまで創薬不可能とされてきた価値の高い標的について、選択性の高い低分子治療薬の多様なパイプラインの研究を進めています。詳細はwww.vividion.comをご参照ください。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。


バイエル薬品株式会社
2024年2月15日、大阪

将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。