大阪、2022年12月14日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)は、選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤(経口抗凝固薬)イグザレルト®(一般名:リバーロキサバン)について、5つ目の適応としてフォンタン手術後の先天性心疾患患者に対する適応追加を本日、承認申請しましたのでお知らせします。
フォンタン手術は、本来2つあるはずの心室のうち一方が使えない場合に行われます。上半身の血液が戻ってくる「上大静脈」、下半身の血液が戻ってくる「下大静脈」の両方を肺動脈とつなぐ手術です。フォンタン手術を受けた先天性心疾患患者には血栓症が多く発現し、血栓症は予後を規定する重要な因子となります1。血栓症の発現リスクは術後3~12カ月後まで高く、一時低下するものの5~10年後以降に再度上昇することから、血栓症発症抑制のためにアスピリン*またはワルファリンの投与が推奨されています1。ワルファリンは食事の影響や薬物相互作用への配慮が必要で、至適投与量をコントロールするための血液検査用に定期的な採血が必要ですが、採血は特に小児医療において患者さんや医療従事者の負担となっています。また、フォンタン手術後症例における抗血栓療法のエビデンスの不足も課題です。
今回のイグザレルト®の適応追加承認申請は、フォンタン手術を受けた小児患者112人を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験UNIVERSEのデータに基づき行いました。同試験は有効性に関して統計学的有意差を検証するための試験ではなかったものの、リバーロキサバン群ではアスピリン群と比べ血栓性イベントの発現割合が低く、安全性は同様であることが示されました2。本データは、医学誌ジャーナル・オブ・アメリカン・ハート・アソシエーションに2021年9月に掲載されました。
バイエル薬品は血栓症領域に注力しています。イグザレルト®を2012年に日本で発売して以降、患者さんと医療従事者のニーズに対応するため適応拡大と剤形追加を続け、本年発売10周年を迎えたイグザレルト®は4適応、4剤形を持つ唯一の直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)となりました。今回の承認申請により、5つ目となる適応の承認取得を目指します。また、血栓症領域におけるより安全性の高い薬剤へのニーズを捉え、第Ⅺ因子阻害剤の臨床開発を進めており、バイエル薬品は患者さんのQOL向上へさらなる貢献に取り組みます。