- 静脈血栓塞栓症の治療・再発抑制に次ぐ2つ目の小児適応
バイエル薬品 経口抗凝固薬「イグザレルト®」の5つ目の適応としてフォンタン手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制に対する適応追加承認を取得
大阪、2023年11月24日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)は、選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤(経口抗凝固薬)イグザレルト®(一般名:リバーロキサバン)について、新たにフォンタン手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制に対する適応追加承認を本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせします。小児向けの用法・用量や小児に適した剤形の開発が期待される中、小児適応を持つ日本で唯一のDOACであるイグザレルト®に、2つ目の小児適応が加わりました。
フォンタン手術は、先天性心疾患の中でも、本来2つあるはずの心室のうち一方が使えない機能的単心室症に対して行われます。フォンタン手術を受けた患者さんには血栓症が多く発現し、血栓症は予後を規定する重要な因子となります1。血栓症の発現リスクは術後3~12カ月後まで高く、一時低下するものの5~10年後以降に再度上昇することから、血栓症の発症抑制のために抗血小板薬アスピリン*または抗凝固薬ワルファリンの投与が推奨されています1。ワルファリンは食事の影響や薬物相互作用に配慮しなければならず、さらに患者さんごとに至適投与量を調節するため、定期的な血液検査用の採血も必要です。採血は特に小児医療において患者さんや医療従事者の負担となっています。また、フォンタン手術後症例における抗血栓療法のエビデンスの不足も課題です。
こうしたアンメットメディカルニーズに応えるため、バイエル薬品は幼児も服用しやすいイグザレルト®ドライシロップ小児用を用いて、フォンタン手術を受けた小児患者112人を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験UNIVERSEを行いました。同試験は有効性に関して統計学的有意差を検証するための試験ではなかったものの、リバーロキサバン群ではアスピリン群と比べ血栓性イベントの発現割合が低く、安全性は同様であることが示されました2。本データに基づく今回の承認を受けて、バイエル薬品は食事や併用薬剤の制限が少なく、採血による定期的な凝固系モニタリングが不要な、小児の抗凝固療法における新たな治療選択肢を提供します。イグザレルト®ドライシロップ小児用以外に、患者さんの体重により同錠2.5mg、同錠10mg、同細粒分包10mg、同OD(口腔内崩壊)錠10mgもお使いいただけます。
バイエル薬品は血栓症領域に注力しています。イグザレルト®を2012年に日本発売して以降、小児から高齢者まで幅広い世代の患者さんと医療従事者のニーズに対応するため適応拡大と剤形追加を続け、イグザレルト®は5適応、4剤形を持つ唯一のDOACとなりました。また、血栓症領域におけるより安全性の高い薬剤へのニーズを捉え、第Ⅺa因子阻害薬の臨床開発を進めており、バイエル薬品は患者さんのQOL向上へさらなる貢献を目指します。
* アスピリンの小児への適応は「川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)」のみ
【イグザレルト®について】
バイエル薬品は、選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤イグザレルト®を2012年より日本で販売しています。非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中・全身性塞栓症の発症抑制、深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症患者の治療・再発抑制の成人適応に加え、DOACでは初めて、小児に対する静脈血栓塞栓症の治療・再発抑制、下肢血行再建術施行後の成人末梢動脈疾患患者に対する血栓・塞栓形成の抑制、および、小児に対するフォンタン手術施行後における血栓・塞栓形成の抑制についてそれぞれ承認を取得し、適応は計5つとなりました。また、イグザレルト®は、患者さんのニーズや用途に合わせて選択いただけるよう、錠剤、細粒分包、OD錠、ドライシロップ小児用の4剤形をそろえています。
【フォンタン手術について】
先天性心疾患の発生率は約1.36%と報告されています3。フォンタン手術は、先天性心疾患により本来2つあるはずの心室のうち一方が使えない単心室症に対して行われます。チアノーゼの改善を目的に、上半身の血液が戻ってくる「上大静脈」、下半身の血液が戻ってくる「下大静脈」の両方を肺動脈とつなぐ手術です。
References:
1. 日本循環器学会「先天性心疾患並びに小児期心疾患の診断検査と薬物療法ガイドライン(2018年改訂版)」
2. BW McCrindle, et al. J Am Heart Assoc. 2021;10:e021765. doi: 10.1161/JAHA.120.021765. Epub 2021 Sep 24.
3. 日本小児循環器学会「小児期発生心疾患実態調査2020集計結果報告書」
循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて
バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメットメディカルニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエルのミッションについて
世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というミッションの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2023年11月24日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。