本資料は4月3日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はhttps://media.bayer.comをご参照ください。
バイエル、心房細動患者を対象にasundexianの安全性に関する初の第Ⅱb相臨床試験の結果を発表
- 脳卒中リスクを有する心房細動患者において第XIa因子阻害剤asundexianは、重大な出血事象および重大ではないが臨床的に問題となる出血事象(国際血栓止血学会[ISTH]分類)の発現率がアピキサバンよりも低いことがPACIFIC-AF試験のデータより示された
- asundexian 20mgと50mgはいずれも忍容性が良好であり、アピキサバンと比較して出血事象の発現率が低く、第XIa因子をほぼ完全に阻害することが医学誌ランセットにも本日同時掲載
- 本試験は用量設定第Ⅱ相臨床試験としてデザインされており、血栓性イベントの発現率の差を識別し、検証するための検出力はなかった
ドイツ・ベルリン、2022年4月3日 ― ドイツ・バイエル社は本日、心房細動患者を対象に、経口第XIa因子(FXIa)阻害剤asundexianと非ビタミンK拮抗経口抗凝固剤アピキサバンの安全性を比較したPACIFIC-AF試験より得られたデータを発表しました。本データより、主要評価項目である出血リスク(ISTH分類の「重大な出血事象」および「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」)は、asundexian群ではアピキサバン群よりも67%低減することが示されました(発現率の比0.33*)。1日1回投与のFXIa阻害剤asundexianは、血液凝固反応を選択的に調節することにより、血栓形成抑制の新たな治療選択肢として検討されています。本結果は、ACC.22で本日発表されると同時に、ランセット誌にも掲載されました。
*出血リスク67%低減は、asundexian各用量群の統合データをアピキサバンと比較した際の発現率の比0.33に相当
デューク大学循環器内科チーフ、ハートセンター共同ディレクターで、リチャード・S・スタック特別栄誉教授のマネッシュ・パテール氏は次のように述べています。「心房細動患者における脳卒中発症抑制に対するニーズは満たされていません。心房細動患者に対して経口抗凝固療法を推奨するガイドラインがあるにもかかわらず、心房細動患者の約40%は推奨より少ない投与量による不十分な治療を受けている、あるいは全く治療を受けていないのが現状です。 このため、脳卒中などの人生を変え得る血栓塞栓症が発症しやすい状況にあります。PACIFIC-AF試験のデータより、脳卒中リスクがある心房細動患者において、asundexianはアピキサバンと比べて出血が少なく、FXIaをほぼ完全に阻害するレベルに達することが示されました。この新しい治療が、患者さんの治療に大きな前進をもたらすと期待しています」
PACIFIC-AF試験は、脳卒中リスクを有する心房細動患者を対象に、FXIa阻害剤と非ビタミンK拮抗経口抗凝固剤(NOAC)の出血リスクを比較検討した初の直接比較試験です。本試験の主要目的は、心房細動患者において、asundexianによる治療がアピキサバンと比較して、重大な出血事象および重大ではないが臨床的に問題となる出血事象(ISTH分類)の発現を抑制するかどうかを検討することでした。また、心房細動患者におけるasundexian の至適用量(20mgまたは50mg 1日1回投与)を決定することも目的としていました。本試験は、血栓性イベントの発現率の差異を識別し、検証するための検出力はありませんでした。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者であるクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「本日の研究成果は、心房細動の患者さんにおけるasundexianの作用機序と安全性プロファイルをさらに裏付けるものです。バイエルはFXI(a)阻害剤のプログラムにより、循環器疾患の影響を受ける患者さんとご家族のために、革新的な次世代治療法を開発してまいります」
PACIFIC-AF試験について
PACIFIC-AF試験は、無作為化、二重盲検、用量設定第Ⅱ相臨床試験で、CHA2DS2-VAScスコアが男性2点以上、女性3点以上の出血リスクが高い心房細動患者において、asundexian 20mgまたは50mg 1日1回投与とアピキサバン1日2回投与を比較検討しました。主要評価項目は、重大な出血事象、または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象の複合でした。本試験には被験者755人(平均年齢73.7歳)が組み入れられました。asundexian 20mgまたは50mgの投与により、FXIa活性はトラフ値において81~90%、ピーク値において92~94%それぞれ阻害されました。また、asundexian 20mgまたは50mgの投与はいずれも、アピキサバンと比較して出血事象の発現が低く(各用量群の統合データにおける発現率の比0.33)、生体内のFXIaをほぼ完全に阻害することが示されました。
asundexianとFXIa阻害剤について
asundexian(BAY2433334)は、病的な血栓形成に関与するタンパク質を標的として特異的に作用する一方、生理的な血管創傷治癒に関与する経路には作用しないことにより、出血リスク増大を伴わずに血栓塞栓症の発症を抑制する可能性があると考えられています。asundexianの作用機序は、血栓形成抑制における新たな治療選択肢となる可能性があります。PACIFIC臨床試験プログラムは、asundexianによるFXIaの阻害が、出血リスク増大を伴わずに、脳卒中や心筋梗塞などの血栓性イベントリスクを低減させるという仮説をさらに裏付けることができるように設計されています。
asundexianは1日1回経口投与の治験薬であり、審査当局によって使用が承認された国や適応症はありません。
FXIa臨床試験プログラムについて
asundexianは現在、第Ⅱ相臨床試験プログラムPACIFICにおいて検討されています。PACIFICは、心房細動(不整脈)、急性非心原性虚血性脳卒中、急性心筋梗塞(心臓発作)のいずれかの疾患を対象とする3つの第Ⅱb相臨床試験で構成されています。これら3試験は、世界で最も幅広いFXIaの第Ⅱb相臨床試験プログラムの一部を構成し、これまでに4,000人以上の被験者が組み入れられています。PACIFICは、血栓症領域において過去最大規模かつ最も幅広く検討が行われたリバーロキサバン研究プログラムで築いた知見を継承するとともに、治療が行き届いていない循環器疾患患者が増える中で、アンメットニーズに対応するというバイエルのコミットメントを実現するものです。
これらの臨床試験に関する詳細情報は、http://www.clinicaltrials.gov/よりご覧いただけます。これらの臨床試験のNational Clinical Trial番号は、PACIFIC-AF試験(心房細動)がNCT04218266、PACIFIC-STROKE試験(非心原性虚血性脳卒中)がNCT04304508、PACIFIC-AMI試験(心筋梗塞)がNCT04304534です。
心房細動について
心房細動は、最も一般的な持続性心調律異常です。心房細動では、心臓の上室(心房)が不規則に収縮します。その結果、心房が完全に空にならず、血液が適切に流れなくなり、血栓が形成される可能性があります。このような血栓は、はがれて脳に移動し、脳卒中を引き起こすことがあります。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
バイエル薬品株式会社は本社を大阪に置き、医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業からなるヘルスケア企業です。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に注力しています。コンシューマーヘルス部門では、プレナタルサプリメントや腟カンジダ抗真菌剤に注力しています。同社は、技術革新と革新的な製品によって、日本の患者さんの「満たされない願い」に応える先進医薬品企業を目指しています。詳細はwww.pharma.bayer.jpご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2022年4月4日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。