バイエル薬品 経口抗凝固剤「イグザレルトⓇ錠2.5mg」および末梢動脈疾患に対する適応追加の承認を取得

  • 下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患(PAD)への有用性が示された初めての抗凝固剤
  • 2つの経路でアプローチする新たな治療選択肢
  • 4つの適応と4つの剤形を持つ唯一の直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)

 

大阪、2022年6月20日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)は、選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤(経口抗凝固剤)イグザレルト®(一般名:リバーロキサバン)について、新たに下肢血行再建術施行後のPADに対する適応および本適応に合わせた「イグザレルト®錠2.5mg」の追加承認を本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせします。イグザレルト®は、下肢血行再建術施行後のPADへの有用性が示された初めての抗凝固剤であり、抗凝固療法と抗血小板療法の2つの経路でアプローチする新たな治療選択肢を提供します。

 

PADは、動脈にプラークが蓄積し、手足への血流を制限する慢性進行性疾患であるアテローム性動脈硬化症が原因で起こります。PAD患者は、既存の治療にもかかわらず、脳梗塞、心筋梗塞、突然死などの心血管イベントのリスクが依然として高いままです。下肢血行再建術施行後のPAD患者では、患肢の再発リスクに加え、対側肢のPAD発症リスク、心血管イベントや死亡のリスクにも注意が必要です。こうしたアンメット・メディカル・ニーズへ対応するための新たな治療選択肢として、イグザレルト®を用いた2つの経路でのアプローチ、つまりアスピリンによる抗血小板療法に、抗凝固療法としてほかの成人適応より少ない用量のイグザレルト®を上乗せする治療法が可能になりました。

 

イグザレルト®の下肢血行再建術施行後のPADに対する適応は、下肢血行再建術施行後の症候性PAD患者6,500人以上が参加した第Ⅲ相臨床試験VOYAGER PADのデータに基づき承認されました。VOYAGER PAD試験では、アスピリン(100mg 1日1回投与)に、ほかの成人適応より少量のイグザレルト®(2.5mg 1日2回投与)を上乗せした場合、安全性主要評価項目(TIMI分類に基づく重大な出血事象)の発現を増やさずに、有効性主要評価項目の複合エンドポイント(急性下肢虚血、血管系の病因による大切断、心筋梗塞、虚血性脳卒中または心血管死)の発現を15%有意に低下させることが示されました。本データは、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されています1

 

バイエル薬品は血栓症領域に注力しています。イグザレルト®を2012年に日本発売して以降も、患者さんと医療関係者のニーズに対応するため適応拡大と剤形追加を続け、発売10周年を迎えたイグザレルト®は4適応、4剤形を持つ唯一のDOACとなりました。また、血栓症領域におけるより安全性の高い薬剤へのニーズを捉え、第Ⅺ因子阻害剤の臨床開発を進めており、バイエル薬品は患者さんのQOL向上へさらなる貢献を目指します。

イグザレルト®について

バイエル薬品は、選択的直接作用型第Ⅹa因子阻害剤イグザレルト®を2012年より日本で販売しています。非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中・全身性塞栓症の発症抑制、深部静脈血栓症(DVT)・肺血栓塞栓症(PE)患者の治療・再発抑制の成人適応に加え、DOACでは初めて、小児に対する静脈血栓塞栓症(VTE)の治療・再発抑制、および、下肢血行再建術施行後の成人PAD患者に対する血栓・塞栓形成の抑制について、それぞれ承認を取得しました。また、イグザレルト®は、患者さんのニーズや用途に合わせて選択いただける錠剤、細粒分包、OD(口腔内崩壊)錠、ドライシロップ小児用の4剤形を提供しています。

 

PADについて

PADは、「足梗塞」「足の狭心症」と呼ばれることもある疾患ですが、認知度は高くありません。日本ではPADの中でも、動脈硬化が原因で、脚(足)の血管が細くなったり詰まったりする下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)の患者数が多く、近年特に患者数が増加しています2。LEADになると、脚が壊疽になり脚を切断しなければならないことがありますが、それ以上に、心筋梗塞や脳卒中で命を落とす危険が高くなります2。LEADの初期は自覚症状を認めませんが、進行すると順に、間欠性跛行(歩くと脚、特にふくらはぎが痛くなって歩けなくなるものの、しばらく休憩するとまた歩けるようになる)、安静時疼痛(酸素をそれほど必要としない安静時においても血液供給が不足し、安静時にも痛みを生じる)、さらに足趾(足の指)や足部を中心とする潰瘍や壊疽の症状が現れます。

<イグザレルト®の概要> 下線部追加
販売名 イグザレルト®錠10mg、同錠15mg、同細粒分包10mg、同細粒分包15mg、同OD錠10mg、同OD錠15mg、同ドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mg、同錠2.5mg
一般名 リバーロキサバン(rivaroxaban)
効能・効果

イグザレルト®錠10mg、同錠15mg、同細粒分包10mg、同細粒分包15mg、同OD錠10mg、同OD錠15mg

成人

  • 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
  • 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

小児

  • 静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制

イグザレルト®ドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mg

静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制

イグザレルト®錠2.5mg

下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制

用法・用量

イグザレルト®錠10mg、同錠15mg、同細粒分包10mg、同細粒分包15mg、同OD錠10mg、同OD錠15mg

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。
〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
成人
通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。
小児
通常、体重30kg以上の小児にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。

イグザレルト®ドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mg

通常、体重2.6kg以上12kg未満の小児には下記の用量を1回量とし、1日3回経口投与する。体重12kg以上30kg未満の小児にはリバーロキサバンとして5mgを1日2回、体重30kg以上の小児には15mgを1日1回経口投与する。いずれも空腹時を避けて投与し、1日1回、2回及び3回投与においては、それぞれ約24時間、約12時間及び約8時間おきに投与する。

用法・用量(イグザレルト®ドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mg)

イグザレルト®錠2.5mg

通常、成人にはリバーロキサバンとして2.5mgを1日2回経口投与する。

製造販売承認日 イグザレルト®錠2.5mg 2022年6月20日
製造販売元 バイエル薬品株式会社

 

References:
1 Bonaca MP et al. N Engl J Med 2020; 382:1994-2004
2 日本循環器学会/日本血管外科学会合同ガイドライン「2022 年改訂版末梢動脈疾患ガイドライン」

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社について

バイエル薬品株式会社は本社を大阪に置き、医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業からなるヘルスケア企業です。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に注力しています。コンシューマーヘルス部門では、プレナタルサプリメントや腟カンジダ抗真菌剤に注力しています。同社は、技術革新と革新的な製品によって、日本の患者さんの「満たされない願い」に応える先進医薬品企業を目指しています。詳細はwww.pharma.bayer.jpご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2022年6月20日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。