本資料は6月30日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

中国で2型糖尿病を合併する成人慢性腎臓病患者の治療薬としてケレンディアⓇ(フィネレノン)の承認を取得

  • 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者の多くは治療法があるにもかかわらず腎不全に進行し短命に
  • ケレンディア®(フィネレノン)は2型糖尿病を合併するCKD患者において腎・心血管系アウトカムの有用性を示した初めての非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬
  • 2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に腎・心血管系アウトカムに対するケレンディア®の有効性と安全性を検討した第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づく承認

 

ドイツ・ベルリン、2022年6月30日 ― ドイツ・バイエル社は、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より「ケレンディア®」の販売名でフィネレノンの販売承認を取得したと本日発表しました。非ステロイド型選択的MR拮抗薬ケレンディア®(10mg、20mg)の適応は、2型糖尿病を合併する成人CKD(アルブミン尿を伴う推算糸球体濾過量[eGFR]25~75mL/min/1.73m2以上)の治療で、持続するeGFR低下および末期腎臓病のリスクを低下させます。中国におけるケレンディア®の承認は、2020年10月に米国腎臓学会(ASN)腎臓週間2020で発表され、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに同時掲載された第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づいています。

 

世界では、2型糖尿病はCKDおよびCKD関連死における第2位の原因であり、2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症するといわれています。中国は成人糖尿病患者数が最も多い国で、1億4,000万人が糖尿病に罹患しており、7,300万人は糖尿病と診断されていないと推定されています。中国では、2型糖尿病の有病率が劇的に増加しています。また中国は、糖尿病を合併するCKDの負担が世界で最も大きい国であり、2型糖尿病を合併するCKDは中国における最も重要な健康危機の1つとなっています。

 

ドイツ・バイエル社チーフ・メディカル・オフィサーで、医療用医薬品部門メディカルアフェアーズ&ファーマコビジランス責任者であるマイケル・デヴォイは次のように述べています。「ケレンディア®の承認により、中国の2型糖尿病を合併するCKDを患う数多くの人々の治療パラダイムを変えるための重要なマイルストーンに到達しました。CKDの進行を遅らせることにより、患者さんの予後を改善する新しい疾患修飾薬を近く、医師に提供できることを誇りに思います」

 

フィネレノンは、CKDの進行や心血管障害の原因となるMRの過剰活性化を抑制することにより、CKD治療に新たな選択肢を提供します。

 

ケレンディア®は日本において2022年3月に、2型糖尿病を合併するCKDを対象としたフィネレノンの2つの第Ⅲ相臨床試験(FIGARO-DKD、FIDELIO-DKD)の結果に基づき、厚生労働省より承認されました。ケレンディア®は、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づき、2022年2月に欧州連合で販売承認され、2021年7月には米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。さらに、他の複数の国で審査当局の薬事承認が得られたほか、販売認可の承認申請中です。

 

ケレンディア®(フィネレノン)について

ケレンディア®は、非ステロイド型選択的MR拮抗薬で、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。

 

フィネレノンを用いた第Ⅲ相臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FINEARTS-HF、FIND-CKD、FIONAという5つの第Ⅲ相臨床試験と、第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。

 

2型糖尿病を合併するCKDを対象としたフィネレノンの第Ⅲ相臨床試験プログラムは、世界中の2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上が無作為割り付けされた2試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、いずれも結果発表済み)で構成されています。2試験では、腎臓および心血管系の両アウトカムに関し、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの効果が検討されました。FIDELIO-DKD(FInerenone in reducing kiDnEy faiLure and dIsease prOgression in Diabetic Kidney Disease)試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者約5,700人を対象に、腎不全および腎臓病の進行抑制に関して、標準治療に上乗せしたときのフィネレノンの有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。FIGARO-DKD(FInerenone in reducinG cArdiovascular moRtality and mOrbidity in Diabetic Kidney Disease)試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者約7,400人を対象に、心血管疾患の罹患率と死亡率の低減に関して、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの有効性と安全性を検討しました。

 

FIDELIO-DKD試験とFIGARO-DKD試験を含むFIDELITY(FInerenone in chronic kiDney diseasE and type 2 diabetes:Combined FIDELIO-DKD and FIGARO-DKD Trial programme analYsis)は、2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上を対象に、心腎アウトカムを検討した最大規模の第Ⅲ相臨床試験プログラムです。事前規定された統合解析FIDELITYは、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、CKDの進行および致死的・非致死的な心血管イベントのリスク低減に関するフィネレノンの有効性と安全性を検討し、CKDステージ(ベースライン時点のKDIGO[Kidney Disease: Improving Global Outcomes]のリスク分類に基づく)と心血管系と腎特有の複合評価項目に対するフィネレノンの効果との関係について知見を示しました。

 

バイエルは2021年11月に、高度タンパク尿の増加を伴う小児CKD患者約200名を対象に、標準治療に上乗せしたフィネレノンの有効性と安全性、および薬物動態/薬力学(PK/PD)を検討する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ相臨床試験FIONAの開始を発表しました。

 

2021年9月には、高血圧症や慢性糸球体腎炎(腎臓の炎症)などの非糖尿病性CKD患者1,500人以上を対象に、CKDの進行に関して、ガイドラインで推奨されている治療に上乗せしたフィネレノンの有効性と安全性を検討する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ臨床試験FIND-CKDの開始を発表しました。

 

バイエルはまた、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ相床試験FINEARTS-HFの開始を2020年6月に発表しました。本試験は、左室駆出率が維持されている、つまり左室駆出率40%以上の症候性心不全(HF)患者(NYHA心機能分類Ⅱ-Ⅳ度)5,500人以上を対象に、フィネレノンとプラセボを比較検討します。本試験の主要目的は、心血管死およびすべての(初発および再発)HFイベント(HFによる入院またはHFによる緊急受診と定義)の複合評価項目の発現率減少に関して、プラセボに対するフィネレノンの優越性を検証することです。

 

バイエルは2022年2月に、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、フィネレノンとSGLT2阻害薬エンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、フィネレノン単剤療法、エンパグリフロジン単剤療法と比較検討する3群比較の第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEの開始を発表しました。本試験の主要目的は、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の低下に関し、フィネレノンとエンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、エンパグリフロジン単剤療法またはフィネレノン単剤療法に対する優越性を検証することです。

 

2型糖尿病を合併するCKDについて

CKDは一般的な疾患であり、死に至る可能性がありますが、広く認知されていません。CKDは静かに、予測不可能に進行し、多くの症状は疾患がかなり進行するまで現れません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の1つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。CKDは、世界中で1億6,000万人以上の2型糖尿病患者に影響を及ぼしていると推定されています。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が3倍高くなります。

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2022年7月8日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。