本資料は7月28日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。
開発中の選択的抗凝固剤fesomersenとosocimab 末期腎不全患者を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験が終了
ドイツ・ベルリン、2022年7月28日 ― ドイツ・バイエル社は、2つの後期第Ⅱ相臨床試験(RE-THINC ESRD試験およびCONVERT試験)の終了を本日発表しました。RE-THINC ESRD試験は、血液透析を受けている末期腎不全患者を対象に、バイエルが開発中のリガンド結合アンチセンス(LICA)オリゴヌクレオチドfesomersenを皮下投与したときの安全性を評価する試験です。一方、CONVERT試験は、バイエルが開発中のヒトモノクローナルIgG1抗体osocimabについて、血液透析を受けている末期腎不全患者における安全性と忍容性を検討する試験です。
両試験のデータは、今後開催される学術集会で発表される予定です。
fesomersenおよびosocimabは治験段階の薬で、どの適応症においてもまだ承認されていません。fesomersenは、米国アイオニス ファーマシューティカルズ社が創製し、開発に着手しました。バイエルは本化合物をさらに開発・商業化するための独占的ライセンスを供与されています。
後期第Ⅱ相臨床試験RE-THINC ESRDについて
RE-THINC ESRD試験は、血液透析中の末期腎不全患者を対象に、fesomersenの安全性、薬物動態、薬力学を検討する無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅱ相臨床試験です。末期腎不全患者は、血管内に血栓が形成(血栓症)されて血流が妨げられ、心臓発作や脳卒中などの生命を脅かす疾患を引き起こすリスクが高く、また、抗血栓薬による治療を受けていない場合でも出血のリスクが高いとされています。本試験の詳細はwww.clinicaltrials.gov(National Clinical Trial number NCT04534114)よりご覧いただけます。
fesomersenについて
fesomersen(IONIS-FXI-LRx)は、開発中のLICAオリゴヌクレオチドで、肝臓での血液凝固第XI因子(FXI)の生成を抑制するように設計されています。fesomersenは、病的な血栓形成に関与するタンパク質を標的として特異的に作用する一方、生理的な血管創傷治癒に関与する経路には作用しないことにより、出血リスクの増大を伴わずに、血栓塞栓症の発症を抑制する可能性があると考えられています。fesomersenは、月1回投与の皮下注射製剤であり、アイオニス ファーマシューティカルズ社によって創製、開発に着手されました。
アンチセンス技術について
アンチセンス技術は、標的遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)と相補的な、合成された核酸の短い断片(オリゴヌクレオチド)を使用する技術です。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的分子のmRNAに結合し、その機能を調節します。FXIのアンチセンスヌクレオチドの場合、FXI mRNAに結合することで、FXIの肝合成を阻害します。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、週1回から月1回の頻度で皮下投与されます。
後期第Ⅱ相臨床試験CONVERTについて
CONVERT試験は無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅱ相用量設定試験であり、血液透析/血液濾過透析で安定している状態の末期腎不全患者を対象に、osocimabの2つの投与レジメン(高用量:負荷用量210mgを投与後、維持用量105mgを月1回投与、または、低用量:負荷用量105mgを投与後、維持用量52.5mgを月1回投与)について、プラセボと比較検討しました。主要評価項目は、「重大な出血事象」と「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象」の複合、および「中等度、重度の有害事象」「重篤な有害事象」の複合でした。CONVERT試験は、血液透析/血液濾過透析で安定している状態の末期腎不全患者におけるosocimab皮下注射製剤の安全性、忍容性、薬物動態および薬力学を検討する初めての反復投与試験です。現在、定期的に血液透析/血液濾過透析を受けている末期腎不全患者を対象に、血栓塞栓性イベントを抑制するために承認された抗凝固療法はありません。本試験の詳細は、www.clinicaltrials.gov(National Clinical Trial number NCT04523220)よりご覧いただけます。
osocimabについて
osocimab(BAY 1213790)は完全ヒトモノクローナルIgG1抗体で、活性化血液凝固第XI因子(FXIa)に特異的に結合します。FXIaの活性部位に隣接して結合することにより、FXIaの天然基質への結合能を変化させ、血液凝固カスケードの伝播を抑制し、最終的に血栓の形成と安定化を補助します。
末期腎不全について
末期腎不全とは、腎機能が永久に停止し、長期の透析や腎移植が必要となる病態を指します。末期腎不全の原因にはさまざまな疾患がありますが、中でも糖尿病や高血圧症によるアテローム性血管疾患は最も一般的な疾患の1つです。定期的な血液透析を必要とする末期腎不全患者は、致死的・非致死的な心血管系合併症(脳卒中、心筋梗塞、全身性塞栓症など)のリスクが高く、予防のための抗凝固療法が必要な場合があります。しかし、血液透析を受けている末期腎不全患者は、血小板減少症、貧血、ヘパリン使用、併存疾患などが頻発するため、重大な出血事象のリスクも高くなります。こうした素因により、ビタミンK拮抗薬や非ビタミンK拮抗経口抗凝固剤など、現在使用可能な抗凝固剤の使用が制限されており、出血リスクの増大を伴わない抗凝固剤が必要とされています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2022年8月8日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。