本資料は8月29日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

事前規定された統合解析FIDELITYから得られた最新データが欧州心臓病学会(ESC)学術集会2022で発表:

2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者の死亡率に対するケレンディアⓇ(フィネレノン)の効果を示す新データ

  • 第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDの事前規定された統合解析FIDELITYから得られたデータよりケレンディア®(フィネレノン)が心臓突然死の発現を減少させる可能性が示された
  • FIDELITYの全体集団では全死亡および心血管死に対するフィネレノンの効果は統計的有意差にわずかに至らなかったものの、事前規定されたon-treatment解析から得られた新データではフィネレノンがプラセボと比べ全死亡および心血管死を減少
  • 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者は2型糖尿病単独患者と比べ心血管系疾患で亡くなる可能性が約3倍高い

 

ドイツ・ベルリン、2022年8月29日 ― ESC学術集会2022で本日発表された最新データは、2型糖尿病を合併する早期から後期まで幅広い重症度のCKD患者において、ケレンディア®(フィネレノン)がプラセボと比べ、心臓突然死の発現を有意に減少させる可能性を示しています。

 

FIDELITYの全体集団では、全死亡および心血管死に対するフィネレノンの効果は統計的有意差にわずかに至りませんでしたが、FIDELITYの事前規定した探索的on-treatment解析から得られた新データによると、本集団ではフィネレノンがプラセボと比べ、全死亡および心血管死をともに減少させたことが示されました。全死亡に対するフィネレノンの効果は、ベースライン時点の推算糸球体濾過率(eGFR)や尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の値にかかわらず、2型糖尿病を合併する早期から後期まで幅広い重症度のCKD患者で一貫しており、ベースライン時点のeGFRが高い集団でより顕著にみられました。FIDELITYで最も多い死因は心血管死でした。

 

ギリシャのアテネ国立カポディストリアン大学循環器学教授で、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDの共同治験責任医師であるガラシモス・フィリパトス教授は次のように述べています。「CKDは一般的でありながらも広く認識されておらず、死に至る可能性がある疾患です。CKDになると、糖尿病患者さんの寿命はCKDあるいは糖尿病のいずれでもない集団と比べ、最大16年短くなる可能性があります1。本日発表されたデータは、腎臓および心血管疾患に対するフィネレノンの有用性を示した一連の臨床エビデンスに基づき、2型糖尿病を合併する幅広い重症度のCKD患者の罹患率と死亡率に対するフィネレノンの効果を示しています」

 

FIDELITYの患者背景は平均年齢64.8歳で、男性が69.8%を占めました。ベースライン時点の平均eGFRは57.6ml/min/1.73m2、UACR中央値は515mg/gでした。心血管疾患の治療薬がほとんどの被験者に使用されていました(レニンアンジオテンシン系阻害薬99.8%、スタチン72.2%、β遮断薬49.9%)。全体集団における全死亡の発現率は、フィネレノンが8.5%、プラセボが9.4%でした(HR 0.89[95%CI:0.79- >1.00];p=0.051)。死因は、心血管死(フィネレノン群4.9%、プラセボ群5.6%)が最多であり、次いで感染症(1.5%、1.4%)、悪性腫瘍(1.2%、1.6%)でした。

 

フィネレノンはプラセボと比べ、心臓突然死を有意に減少させました(HR 0.75[95%CI:0.57- <1.00];p=0.046)。事前規定したon-treatment解析では、フィネレノンはプラセボと比べ、全死亡の発現率(HR 0.82[95%CI:0.70-0.96]; p=0.014)および心血管死の発現率(HR 0.82[95%CI:0.67-0.99];P=0.040)を有意に減少させることが示されました。追跡期間4年時点での心血管死までの時間に関するイベント確率解析では、ベースライン時点のeGFRおよびUACRに関係なくフィネレノンの有用性は一貫しており、eGFRが60ml/min/1.73m2以上の場合、プラセボと比べより顕著なフィネレノンの効果が示されました。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者であるクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「最適な血糖値や血圧に管理しているにもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者さんの多くは腎不全に移行し、心血管死のリスクが著しく高くなっています。本日発表された探索的解析は、このような脆弱な患者さんの死亡リスクを低下させ、より長く健康な状態を維持するフィネレノンの可能性を示しています」

 

第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づきケレンディア®は、2021年7月に米国食品医薬品局(FDA)、2022年2月に欧州委員会(EC)、2022年6月に中国国家薬品監督管理局(NMPA)よりそれぞれ販売承認を取得しました。ケレンディア®はまた、2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、2022年3月に日本の厚生労働省より承認されました。さらに他の複数の国で審査当局の承認が得られたほか、現在販売認可の承認申請中です。

 

ケレンディア®(フィネレノン)について

ケレンディア®は、非ステロイド型選択的MR拮抗薬で、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。

 

フィネレノンを用いた第Ⅲ相臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FINEARTS-HF、FIND-CKD、FIONAという5つの第Ⅲ相臨床試験と、第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。

 

2型糖尿病を合併するCKDを対象としたフィネレノンの第Ⅲ相臨床試験プログラムは、世界中の2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上が無作為割り付けされた2試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、いずれも結果発表済み)で構成されています。2試験では、腎臓および心血管系の両アウトカムに関し、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの効果が検討されました。FIDELIO-DKD(FInerenone in reducing kiDnEy faiLure and dIsease prOgression in Diabetic Kidney Disease)試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者約5,700人を対象に、腎不全および腎臓病の進行抑制に関して、標準治療に上乗せしたときのフィネレノンの有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。FIGARO-DKD(FInerenone in reducinG cArdiovascular moRtality and mOrbidity in Diabetic Kidney Disease)試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者約7,400人を対象に、心血管疾患の罹患率と死亡率の低減に関して、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの有効性と安全性を検討しました。

 

FIDELIO-DKD試験とFIGARO-DKD試験を含むFIDELITY(FInerenone in chronic kiDney diseasE and type 2 diabetes:Combined FIDELIO-DKD and FIGARO-DKD Trial programme analYsis)は、2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上を対象に、心腎アウトカムを検討した最大規模の第Ⅲ相臨床試験プログラムです。事前規定された統合解析FIDELITYは、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、CKDの進行および致死的・非致死的な心血管イベントのリスク低減に関するフィネレノンの有効性と安全性を検討し、CKDステージ(ベースライン時点のKidney Disease:Improving Global Outcomesのリスク分類に基づく)と心血管系と腎特有の複合評価項目に対するフィネレノンの効果との関係について知見を示しました。

 

バイエルは2021年11月に、高度タンパク尿の増加を伴う小児CKD患者約200名を対象に、標準治療に上乗せしたフィネレノンの有効性と安全性、および薬物動態/薬力学(PK/PD)を検討する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ相臨床試験FIONAの開始を発表しました。

 

2021年9月には、高血圧症や慢性糸球体腎炎(腎臓の炎症)などの非糖尿病性CKD患者1,500人以上を対象に、CKDの進行に関して、ガイドラインで推奨されている治療に上乗せしたフィネレノンの有効性と安全性を検討する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ臨床試験FIND-CKDの開始を発表しました。

 

バイエルは、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ相床試験FINEARTS-HFの開始を2020年6月に発表しました。本試験は、左室駆出率が維持されている、つまり左室駆出率40%以上の症候性心不全(HF)患者(NYHA心機能分類Ⅱ-Ⅳ度)約6,000人を対象に、フィネレノンとプラセボを比較検討します。本試験の主要目的は、心血管死およびすべての(初発および再発)HFイベント(HFによる入院またはHFによる緊急受診と定義)の複合評価項目の発現率減少に関して、プラセボに対するフィネレノンの優越性を検証することです。

 

バイエルは2022年2月に、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、フィネレノンとSGLT2阻害薬エンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、フィネレノン単剤療法、エンパグリフロジン単剤療法と比較検討する3群比較の第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEの開始を発表しました。本試験の主要目的は、UACRの低下に関し、フィネレノンとエンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、エンパグリフロジン単剤療法またはフィネレノン単剤療法に対する優越性を検証することです。

 

2型糖尿病を合併するCKDについて

CKDは一般的な疾患であり、死に至る可能性がありますが、広く認知されていません。CKDは静かに、予測不可能に進行し、多くの症状は疾患がかなり進行するまで現れません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の1つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。CKDは、世界中で1億6,000万人以上の2型糖尿病患者に影響を及ぼしていると推定されています。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が約3倍高くなります。

 

References:
1 Wen CP, et al, Kidney Int. 2017 Aug;92(2):388-396. doi:10.1016/j.kint.2017.01.030.

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2022年8月30日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

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