本資料は9月2日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

ケレンディア®(フィネレノン)、米国の添付文書に心血管系アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの知見が追加

  • 米国食品医薬品局(FDA)が2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDから得られた知見を加えるケレンディア®(フィネレノン)の添付文書改訂を承認
  • FIGARO-DKD試験では2型糖尿病を合併するCKD患者約7,400人を対象に心血管系疾患の罹患率と死亡率の低下に関して標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの有効性と安全性を検討
  • FIGARO-DKD試験にはアルブミン尿を伴うステージ1-4のCKDを含め2型糖尿病を合併する早期から後期まで幅広い重症度のCKD患者さんが参加

 

ドイツ・ベルリン、2022年9月2日 ― ドイツ・バイエル社は、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、心血管系アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDから得られた知見を加えるケレンディア®(フィネレノン)の添付文書改訂について、米国FDAより承認を取得したことを本日発表しました。第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDのデータより、フィネレノンが2型糖尿病を合併する成人CKD患者における心血管イベントのリスクを有意に低下させることが示されました。本試験の結果は、欧州心臓病学会(ESC)学術集会2021で発表されると同時に、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されました。

 

2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病単独患者より心血管系イベントで亡くなる可能性が約3倍高くなります。FIGARO-DKD試験は、アルブミン尿を伴う早期のCKD(推算糸球体濾過量[eGFR])60ml/min/1.73m2以上と定義されるCKDステージ1-2)が大部分を占める患者集団において、心血管系への有用性を示した第Ⅲ相臨床試験です。本試験の知見が加わることにより、米国の添付文書には、FIDELIO-DKD試験およびFIGARO-DKD試験に基づく2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上の臨床試験データが反映されています。

 

ドイツ・バイエル社チーフ・メディカル・オフィサーで、医療用医薬品部門メディカルアフェアーズ&ファーマコビジランス責任者のマイケル・デヴォイは次のように述べています。「CKDの進行を防ぐために、2型糖尿病を合併するCKD患者さんは定期的に検査を受け、早期に治療を受ける必要があります。患者さんの予後を改善し、心血管系の合併症や死亡の予防につながる可能性があるからです。バイエルは、患者さんにとって臨床的に意義のある治療法を提供することに全力を尽くしています。本日発表した米国での添付文書の改訂では、心血管系イベントのリスク低下に関する第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDのデータが反映されており、ケレンディア®が2型糖尿病を合併するCKD患者さんの予後を改善する治療アルゴリズムにおける基本的な柱となることが再確認されました」

 

ケレンディア®は、CKDの進行と心血管障害に寄与するミネラルコルチコイド受容体(MR)の過剰活性化を抑制することにより、2型糖尿病を合併するCKDの治療に新たな選択肢を提供します。ケレンディア®は、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づき、2型糖尿病を合併する成人CKD患者におけるeGFRの持続的低下、末期腎不全、心血管死、非致死的心筋梗塞および心不全による入院のリスク抑制について、2021年7月に米国FDAより販売許可を取得していました。

 

ケレンディア®は、2022年2月に欧州委員会、2022年6月に中国国家薬品監督管理局(NMPA)よりそれぞれ承認されました。いずれの承認も、FIDELIO-DKD試験の結果に基づいていました。バイエルは、フィネレノンの販売許可拡大に向けて欧州医薬品庁(EMA)に、FIGARO-DKD試験のデータに基づき、2型糖尿病を合併する早期CKDの追加を求めるタイプⅡバリエーション申請を2022年3月に行いました。また、ケレンディア®は2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、2022年3月に日本の厚生労働省より承認されました。さらに他の複数の国で審査当局の承認が得られたほか、現在販売認可の承認申請中です。

 

ケレンディア®(フィネレノン)について

ケレンディア®は非ステロイド型選択的MR拮抗薬で、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。

 

フィネレノンを用いた第Ⅲ相臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FINEARTS-HF、FIND-CKD、FIONAという5つの第Ⅲ相臨床試験と、第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。

 

2型糖尿病を合併するCKDを対象としたフィネレノンの第Ⅲ相臨床試験プログラムは、世界中の2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上が無作為割り付けされた2試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、いずれも結果発表済み)で構成されています。2試験では、腎臓および心血管系の両アウトカムに関し、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの効果が検討されました。FIDELIO-DKD(FInerenone in reducing kiDnEy faiLure and dIsease prOgression in Diabetic Kidney Disease)試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者約5,700人を対象に、腎不全および腎臓病の進行抑制に関して、標準治療に上乗せしたときのフィネレノンの有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。FIGARO-DKD(FInerenone in reducinG cArdiovascular moRtality and mOrbidity in Diabetic Kidney Disease)試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者約7,400人を対象に、心血管疾患の罹患率と死亡率の低減に関して、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの有効性と安全性を検討しました。

 

FIDELIO-DKD試験とFIGARO-DKD試験を含むFIDELITY(FInerenone in chronic kiDney diseasE and type 2 diabetes:Combined FIDELIO-DKD and FIGARO-DKD Trial programme analYsis)は、2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上を対象に、心腎アウトカムを検討した最大規模の第Ⅲ相臨床試験プログラムです。事前規定された統合解析FIDELITYは、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、CKDの進行および致死的・非致死的な心血管イベントのリスク低減に関するフィネレノンの有効性と安全性を検討し、CKDステージ(ベースライン時点のKidney Disease:Improving Global Outcomesのリスク分類に基づく)と心血管系と腎特有の複合評価項目に対するフィネレノンの効果との関係について知見を示しました。

 

バイエルは2021年11月に、高度タンパク尿の増加を伴う小児CKD患者約200名を対象に、標準治療に上乗せしたフィネレノンの有効性と安全性、および薬物動態/薬力学(PK/PD)を検討する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ相臨床試験FIONAの開始を発表しました。

 

2021年9月には、高血圧症や慢性糸球体腎炎(腎臓の炎症)などの非糖尿病性CKD患者1,500人以上を対象に、CKDの進行に関して、ガイドラインで推奨されている治療に上乗せしたフィネレノンの有効性と安全性を検討する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ臨床試験FIND-CKDの開始を発表しました。

 

バイエルは、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第Ⅲ相床試験FINEARTS-HFの開始を2020年6月に発表しました。本試験は、左室駆出率が維持されている、つまり左室駆出率40%以上の症候性心不全(HF)患者(NYHA心機能分類Ⅱ-Ⅳ度)約6,000人を対象に、フィネレノンとプラセボを比較検討します。本試験の主要目的は、心血管死およびすべての(初発および再発)HFイベント(HFによる入院またはHFによる緊急受診と定義)の複合評価項目の発現率減少に関して、プラセボに対するフィネレノンの優越性を検証することです。

 

バイエルは2022年2月に、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、フィネレノンとSGLT2阻害薬エンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、フィネレノン単剤療法、エンパグリフロジン単剤療法と比較検討する3群比較の第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEの開始を発表しました。本試験の主要目的は、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の低下に関し、フィネレノンとエンパグリフロジンを同時に開始する併用療法について、エンパグリフロジン単剤療法またはフィネレノン単剤療法に対する優越性を検証することです。

 

2型糖尿病を合併するCKDについて

CKDは一般的な疾患であり、死に至る可能性がありますが、広く認知されていません。CKDは静かに、予測不可能に進行し、多くの症状は疾患がかなり進行するまで現れません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の1つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。CKDは、世界中で1億6,000万人以上の2型糖尿病患者に影響を及ぼしていると推定されています。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が約3倍高くなります。

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2022年9月9日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。