本資料は11月5日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。
アフリベルセプト8mg、48週目において大多数の患者が16週ごとの投与間隔を維持し、視力および形態学的評価の継続的な改善を示したピボタル臨床試験の詳細データ
- アフリベルセプト8mgは最大89%の患者で16週ごとの投与間隔を維持し、48週目まで投与回数が5回と少なかった
- アフリベルセプト8mgはアイリーア®(アフリベルセプト2mg)に対して非劣性の視力改善を示した。新生血管(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)患者の83%、糖尿病黄斑浮腫(DME)患者の93%で48週を通して、12週以上の投与間隔を維持した
- nAMD患者で滲出液の管理に優れ、nAMD患者とDME患者で48週を通して適切に疾患を管理した
- 両試験とも、48週目の中心網膜厚(CRT)の平均変化量は、アフリベルセプト8mgを12週および16週ごとに投与した患者とアイリーアを8週ごとに投与した患者で同程度の低下を認めた
- アフリベルセプト8mgの安全性は、アイリーアの既知の安全性プロファイルと一致していた
ドイツ・ベルリン、2022年11月5日 ― ドイツ・バイエル社は本日、2つのピボタル臨床試験において、アフリベルセプト8mgの12週および16週ごとの投与レジメンがアイリーア®(アフリベルセプト2mg)の8週ごとの投与レジメンに対して48週目で持続的な視力および形態学的所見の改善を示したことを発表しました。新生血管(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)患者を対象とした第III相試験(PULSAR試験)および糖尿病黄斑浮腫(DME)患者を対象とした第II/III相試験(PHOTON試験)において、アフリベルセプト8mgの投与間隔を延長した2つのレジメンは、アイリーア8週ごとのレジメンに対して、主要評価項目である48週目の最高矯正視力(BCVA)において非劣性を示しました。投与間隔の延長はいずれも、複数回の月1回投与後に行われました。3つの異なる投与群に患者を無作為に割付した上で、アフリベルセプト8mg投与群については、臨床的な観点から患者の状態に応じた用法変更(DRM)基準を厳格に順守し、継続的に評価しました。アフリベルセプト8mg投与群は48週を通して、nAMD患者の77%、DME患者の89%で16週ごとの投与間隔を維持しました。
統合解析の結果、アフリベルセプト8mg投与群は、nAMD患者の83%、DME患者の93%で48週を通して12週以上の投与間隔を維持し、視力を維持したことを示しました。
試験結果の詳細は、第55回網膜学会年次学術集会(米国)の2つのレートブレーキング・セッションで発表されました。バイエルはこれらのデータを米国以外の規制当局に提出する予定です。
フランス・ボルドー大学病院眼科主任で治験責任医師のジャンフランソワ・コロベルニク教授は次のように述べています。「これらの結果は、加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫を有する患者さんにおいて、アフリベルセプト8mgのかつてない効果の持続性を示し、48週目における有意な形態学的所見の改善も示しました」
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「アイリーアは科学的なイノベーションに基づき高い影響力を持つ薬剤です。アイリーアには驚くべきストーリーがあり、依然として加齢黄斑変性および糖尿病黄斑浮腫に対する世界的な標準治療です。アフリベルセプト8mgのエビデンスは、患者さんや医療従事者の負担をさらに軽減する当社の取り組みを支持するものです。新たな治療薬候補として、アフリベルセプト8mgは有効性と安全性を損なうことなく投与間隔を延長できる可能性をもたらします。当社は規制当局と連携し、アフリベルセプト8mgが利用できるようになるのを期待しています」
網膜学会年次学術集会2022で発表されたとおり、nAMDを対象としたPULSAR試験において、48週目における最高矯正視力(BCVA)のベースラインからの算術平均変化量は、アイリーア8週ごとの投与群で+7.6文字だったのに対し、アフリベルセプト8mgの12週ごとの投与群で+6.7文字、アフリベルセプト8mgの16週ごとの投与群で+6.2文字でした。48週目までの平均投与回数は、アイリーア8週ごとの投与群では6.9回だったのに対し、アフリベルセプト8mgの16週ごとの投与群では5.2回、12週ごとの投与群では6.1回に減少しました。48週目にBCVA文字スコア(ETDRS1 文字スコアで測定)が増加した患者の割合は、投与群間で同様でした。
また、PULSAR試験では主な副次的評価項目も達成し、16週目の網膜滲出液の形態学的所見の改善において、アフリベルセプト8mgはアイリーアに対する優越性を示し(p=0.0002)、48週目まで維持されました。特に注目すべき点として、48週目に中心窩領域に網膜滲出液が認められないnAMD患者の割合は、アイリーア8週ごとの投与群では59%だったのに対して、アフリベルセプト8mgの12週および16週ごとの投与群では、それぞれ71%および67%でした。中心窩領域に網膜滲出液が認められなくなるまでの時間(中央値)は、アイリーア投与群では8週だったのに対して、アフリベルセプト8mgの12週および16週ごとの投与群では4週でした。アフリベルセプト8mgを12週および16週ごとに投与した患者では、アイリーア8週ごとの投与群と比較して、48週目における中心網膜厚(CRT)のベースラインからの平均変化量において、同様の低下を示しました。
DMEを対象としたPHOTON試験では、48週目におけるBCVAのベースラインからの算術平均変化量は、アイリーア8週ごとの投与群では+9.2文字だったのに対し、8mgの12週ごとの投与群では+8.8文字、アフリベルセプト8mgの16週ごとの投与群では+7.9文字でした。48週目までの平均投与回数は、アイリーア8週ごとの投与群の患者では7.7回だったのに対し、アフリベルセプト8mgの16週ごとの投与群の患者では4.9回、12週ごとの投与群の患者では5.7回でした。PHOTON試験の探索的解析においてDME患者では、蛍光眼底造影検査におけるフルオレセイン漏出合計面積のベースラインからの平均低下量は、アイリーア投与群(n=167)では9mm2だったのに対して、アフリベルセプト8mgの12週ごとの投与群(n=328)および16週ごとの投与群(n=136)ではそれぞれ14mm2および9mm2でした。疾患活動性の測定項目として用いられるフルオレセイン漏出の低下は、疾患の改善に関連しています。アイリーアを8週ごとに投与した患者と比較して、アフリベルセプト8mgを12週および16週ごとに投与した患者においても48週目における中心網膜厚(CRT)のベースラインからの平均変化量に同様の低下が認められました。
アフリベルセプト8mgの安全性は、アイリーアの既知の安全性プロファイルと一致していました。48週を通して注射前眼圧(IOP)は、どの時点でもベースラインからの値と同様でした。アフリベルセプト8mg投与群とアイリーア投与群を比較したところ、投与前もしくは投与後どの時点でもIOP≥35mmHgとなった患者の割合は、PULSAR試験ではそれぞれ0.6%および0.3%、PHOTON試験では0.2%および1.2%でした。48週目における眼内炎症反応の発現割合は、PULSAR試験ではアフリベルセプト8mg群で0.7%、アイリーア群で0.6%、PHOTON試験ではそれぞれ0.8%および0.6%でした。さらに、両試験ともに閉塞性網膜血管炎または眼内炎の発現例はなく、眼以外の有害事象は全ての投与群で均衡しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
2022年9月に、PULSAR試験とPHOTON試験のデータを初めて発表し、米国眼科学会年次学術集会で初めて詳細を発表しました。
バイエルとリジェネロン社は、アフリベルセプト8mgの共同開発を行っています。リジェネロン社はアイリーアおよびアフリベルセプト8mgの米国内での独占販売権を保有しています。バイエルは米国以外での独占販売権を有し、アイリーアの利益は両社で均等分配されます。
アフリベルセプト8mgは開発中であり、その安全性および有効性は、まだ規制当局による評価を受けていません。
PULSAR試験とPHOTON試験のデザインについて
nAMD患者を対象とした第III相試験(PULSAR試験)およびDME患者を対象とした第II/III相試験(PHOTON試験)では、アフリベルセプト8mgの12週(8q12)および16週(8q16)ごとの投与レジメンの有効性と安全性を、アイリーア®(アフリベルセプト2mg)8週ごとの投与レジメン(2q8)と、48週目における主要評価項目で比較評価しました。両試験において、患者は3つの異なる投与群(8q12、8q16、2q8)に無作為に割付されました。アフリベルセプト8mg投与群のすべての患者を16週目から、臨床的な観点から患者の状態に応じた用法変更(DRM)基準を厳格に順守し、継続的に評価しました。8q12群もしくは8q16群の患者が16週もしくは20週目でDRM基準を満たした場合、投与間隔を2q8と同じ8週まで短くしました。8q16群の患者が24週目でDRM基準を満たした場合、投与間隔を8q12と同じ12週まで短くしました。アフリベルセプト8mg投与群の患者が次回の医療機関訪問時にDRM基準を満たした場合、投与間隔をさらに短縮し、最短8週まで短くしました。投与間隔を短くした患者については、1年目には投与間隔を延長しませんでした。PULSAR試験のDRM基準は、nAMDの継続もしくは悪化による「BCVA文字数が12週目から5文字超の減少」、かつ「CRTが12週目から25µm超の増加、又は新たな中心窩出血が発現、又は新たな中心窩新生血管が発現」でした。PHOTON試験のDRM基準は、「DMEの持続又は悪化による、BCVA文字数が12週目から10文字超の減少」、かつ「CRTが12週目から50µm超の増加」でした。
滲出型加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)について
滲出型加齢黄斑変性(nAMD)は急速に進行する眼の疾患であり、治療を行わずに放置すると、わずか3か月で視力の喪失に至る可能性があります。nAMDは世界中で、回復不可能な失明や視力障害の主な原因の1つとなっています。nAMDは加齢の影響を受ける可能性があります。異常な血管が新生し、中心視力を調節し鮮明な視力を維持するのに深く関わる黄斑下に滲出液が漏出することで起きます。この滲出液は黄斑に傷をつけ損傷させることで、視力低下を引き起こします。世界で1億9600万人がAMDを発症しており、2040年までには2億8800万人に増加すると予測されています。
糖尿病黄斑浮腫(DME)は、糖尿病患者によく見られる眼の合併症です。高血糖が眼内の血管を傷つけ、滲出液が黄斑内に漏出することで発症します。視力低下を引き起こし、場合によっては失明に至ります。世界で1億4600万人が糖尿病網膜症(DR)を発症しており、より深刻な疾患であるDMEを引き起こす可能性があります。
1 ETDRS:糖尿病網膜症早期治療研究
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2022年11月9日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。