本資料は11月11日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

バイエル、早産児における未熟児網膜症の治療薬として欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会(CHMP)よりアイリーア®に対する肯定的な見解を取得

  • 第Ⅲ相FIREFLEYE試験の結果および継続試験であるFIREFLEYE NEXT試験データに基づく推奨
  • 未熟児網膜症(ROP)は重度の視覚障害や失明の原因となる可能性のある疾患
  • バイエルは、欧州委員会がアイリーア®の適応拡大承認の決定を採択した後、アイリーア®の有効成分であるアフリベルセプトの6カ月の特許期間延長を申請する予定

 

ドイツ・ベルリン、2022年11月11日 ― 欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)は、未熟児網膜症(ROP: retinopathy of prematurity)を有する早産児を対象としたアイリーア®(アフリベルセプト)硝子体内注射液の適応拡大に肯定的な見解を採択しました。この適応拡大に関する欧州委員会の最終決定は、今後数カ月以内に行われる予定です

現在、ROPに対する治療選択肢は限られています。従来のレーザーによる網膜光凝固術は、網膜組織の破壊と関連しており、高度近視(近眼)や周辺視野欠損など、長期の重大な合併症をきたすおそれがあります。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「未熟児網膜症を有する早産児のご家族が、重度の視覚障害や失明から患者さんを救うことができる、有効で忍容性の良好な新たな治療選択肢を待ち望んでいることを、バイエルは認識しています。この脆弱な小児患者集団には適時の治療が不可欠であり、当社が新たな治療選択肢をまもなく提供できるようになるのを期待しています。」

 

毎年、世界で約50,000人の新生児期を生き延びた早産児が、視力を脅かすROPを発症すると推定されています。より重篤な症例では、ROPは網膜剥離に伴う失明につながるおそれがあります。

 

ドイツのグライフスヴァルト大学医療センターの眼科責任者であるアンドレアス・シュタール教授は次のように述べています。「非常に幼い患者さんのご家族は、早産の深刻な影響だけでなく、お子さんが重度の視覚障害を抱えて生きるリスクにも直面します。FIREFLEYE試験では、アフリベルセト0.4mgは重度の未熟児網膜症を有する早産児において、ほとんどの場合に各眼単回注射で高い治療奏効確率を示しました。」

 

バイエルは、欧州委員会がアイリーアの適応拡大承認の決定を採択した後、アイリーアの有効成分であるアフリベルセプトの欧州での6カ月の特許期間延長を申請します。この適応拡大により、特許期間は2025年11月まで延長される可能性があります。

 

バイエルとリジェネロン社は、アフリベルセプトの国際共同開発を行っています。リジェネロン社はアイリーアの米国内での独占販売権を保有しています。バイエルは米国以外での独占販売権を有し、その利益は両社で均等分配されます。

 

未熟児網膜症(ROP)について

日本では、アイリーア®(アフリベルセプト)硝子体内注射液40mg/mLが、早産児における未熟児網膜症(ROP)の治療薬として、2022年9月に承認を取得しました※※。未熟児網膜症(ROP)は、早産児の未熟な網膜に発現する血管疾患で、不完全な血管増殖を特徴とし、眼内の血管内皮増殖因子(VEGF: vascular endothelial growth factor)の発現亢進や異常な血管増殖を引き起こします。主なリスク因子は、少ない在胎週数や出生体重などです。軽度のROPは通常、自然に治癒しますが、重度のROPには適時の治療が必要です。従来のレーザー療法(網膜光凝固術)では、網膜組織が破壊され、高度近視(重度の近眼)や周辺視野欠損などの合併症をきたすおそれがあります。VEGF阻害薬であるアフリベルセプトは、硝子体内注射することで、眼内に過剰に発現したVEGFを標的とします。

 

血管内皮増殖因子(VEGF)とアイリーア®(アフリベルセプト硝子体内注射液)について

アフリベルセプト硝子体内注射液2mgは、アイリーア®の製品名でも知られ、約100か国で成人用の5つの適応で承認されています。これには、滲出型加齢黄斑変性 (wet AMD)の治療や網膜静脈閉塞症(RVO、網膜静脈分枝閉塞症または網膜中心静脈閉塞症)による黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫(DME)、病的近視における脈絡膜新生血管(CNV)を原因とする視覚障害の治療が含まれます※※※。世界発売以来、5,800万を超えるアイリーア®のバイアル/プレフィルドシリンジが販売されており、800万観察人年の実績があります。アフリベルセプト8 mgは開発中であり、その安全性および有効性は、まだ規制当局による評価を受けていません。

 

血管内皮増殖因子(VEGF: vascular endothelial growth factor)は、生体内に存在する天然のタンパク質で、組織や器官の成長を支える新しい血管の形成(血管新生)を促す役割を果たします。一方で、眼内における異常な血管新生にも関与しており、血管透過性が異常に亢進することで、浮腫を誘発します。

 

アフリベルセプト硝子体内注射液は、ヒトVEGF受容体1と受容体2の細胞外ドメインの一部をヒトIgG1のFcドメインと融合させた遺伝子組換え融合糖タンパク質で、アフリベルセプト硝子体内注射液は硝子体内への投与が可能となるよう等張化された注射液として開発されました。アイリーア®は、可溶性のデコイ(おとりの)受容体としてVEGFの一種であるVEGF-Aと胎盤成長因子(PlGF: placental growth factor)に結合することにより、本来のVEGF受容体への結合および活性化を阻害することができます。

 

※EUではROPを適応とする承認はまだ受けていません。
※※日本ではバイアル製剤のみ承認を取得しています。
※※※日本では血管新生緑内障に対する適応も取得しています。

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2022年12月2日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

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