本資料は12月16日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

2型糖尿病を合併する幅広い慢性腎臓病患者へのフィネレノン添付文書改訂について欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会が肯定的見解

  • ヒト用医薬品委員会(CHMP)の見解は2型糖尿病を合併するステージ1-4の幅広い慢性腎臓病(CKD)患者約7,400人を対象に心血管アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの結果に基づく
  • FIGARO-DKD試験データでは2型糖尿病を合併する成人CKD患者においてフィネレノンが心血管イベントのリスクを有意に減少
  • 新たに公表された国際的腎臓病ガイドライン機構(KDIGO)の「CKDにおける糖尿病管理のための診療ガイドライン(Clinical Practice Guideline for Diabetes Management in Chronic Kidney Disease)」改訂版では2型糖尿病を合併するCKD患者への包括的治療計画の一環としてケレンディア®を腎臓および心血管系への有用性が示された現在唯一の非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)として提案

 

ドイツ・ベルリン、2022年12月16日 ― ドイツ・バイエル社は、欧州医薬品庁(EMA)のCHMPがケレンディア®(一般名:フィネレノン、10mg/20mg)の添付文書に、第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDから得られた心血管アウトカムに関する結果の追記を推奨する肯定的見解を採択したことを発表しました。本試験では、2型糖尿病を合併するステージ1-4の幅広いCKD患者において、フィネレノンが心血管イベントのリスクを低下させたことが示されました。CHMPはケレンディア®(10mg/20mg)について、2型糖尿病を合併する早期のCKDへの適応拡大、すなわち、「ケレンディア®は2型糖尿病を合併する成人CKD(アルブミン尿を伴う)の治療に適応する。腎臓および心血管イベントに関する試験結果についてはセクション5.1を参照のこと」とすることについて、承認を勧告しました。欧州連合(EU)での販売承認を認可する欧州委員会(EC)の最終決定は、2023年の早い時期になる見込みです。

 

第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの結果は、2021年の欧州心臓病学会(ESC)学術集会で発表されると同時に、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されました。FIGARO-DKD試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者7,400人を対象に、標準治療に上乗せしたフィネレノンまたはプラセボについて、心血管疾患の罹患率と死亡率の減少に関して有効性と安全性を比較検討しました。FIGARO-DKD試験から得られたデータは、フィネレノンが2型糖尿病を合併する成人CKD患者において、心血管イベントのリスクを有意に減少させることを示しました。

 

デンマーク・コペンハーゲンにあるステノ糖尿病センター合併症研究部門責任者であるピーター・ロシング教授は次のように述べています。「2型糖尿病を合併するCKDの早期ステージにおいて、患者さんはすでに心血管イベントのリスク上昇に直面しています。心血管イベントのリスクは腎機能の低下とともに高まっているため、CKDの進行を抑え、心血管系の合併症や死亡を予防するためには、タイムリーな診断と治療が重要です。FIGARO-DKD試験は、アルブミン尿を伴う早期のCKDが大部分を占める2型糖尿病を合併するCKD患者において、心血管系への有用性を示した第Ⅲ相臨床試験です」

 

ミネラルコルチコイド受容体(MR)の過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。ケレンディア®はMRに選択的に結合し、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することから、新たな治療選択肢を提供します。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者であるクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「2型糖尿病を合併するCKDの患者さんは、2型糖尿病のみの患者さんより心血管イベントで亡くなる可能性が約3倍高くなります。これらの患者さんには、腎疾患の進行を遅らせるとともに、心血管イベントのリスクを低減する治療選択肢が必要です。バイエルは、患者さんにとって臨床的に意義のある治療法を提供することに全力を尽くしています。CHMPによる添付文書改訂の勧告は、ケレンディア®が2型糖尿病を合併する幅広いCKD患者集団を対象に腎臓および心血管系への有用性を示した特徴的な治療選択肢であることを強調しています」

 

KDIGOの「CKDにおける糖尿病管理のための診療ガイドライン」が10月に改訂され、医学誌キドニー・インターナショナルに掲載されました。本ガイドライン改訂版では、2型糖尿病を合併するCKD患者への包括的治療計画の一環として、腎臓および心血管系への有用性が示された非ステロイド型MRAとしてケレンディア®が提案されています。「レニンアンジオテンシン系阻害薬の最大忍容量にもかかわらず、推算糸球体濾過量(eGFR)が25ml/min/1.73m2以上、血清カリウム値が正常、アルブミン尿が30mg/g以上(3mg/mmol以上)の場合、2型糖尿病合併患者を対象に腎臓または心血管系への有用性が示された非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を提案(2A)」

 

ケレンディア®は第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づき2022年2月に、ECより「2型糖尿病を合併する成人CKD(アルブミン尿を伴うステージ3-4)」の適応で最初の販売許可を取得しました。ECにより販売許可の拡大が承認されると、ケレンディア®のEUにおける添付文書には、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDに基づき2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上から得られたデータが反映されます。

ケレンディア®(フィネレノン)について

ケレンディア®はMRAで、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。

 

バイエルは、フィネレノンの販売許可拡大に向けてEMAへ、FIGARO-DKD試験のデータに基づき2型糖尿病を合併する早期CKDの追加を求めるタイプⅡバリエーション申請を2022年3月に行いました。第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づきケレンディア®は、2021年7月に米国食品医薬品局(FDA)、2022年2月にEC、2022年6月に中国国家薬品監督管理局(NMPA)よりそれぞれ販売認可を取得しました。バイエルは、心血管アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの知見を盛り込んだケレンディア®の添付文書改訂について、米国FDAより承認を取得したことを2022年9月に発表しました。また、2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、ケレンディア®は2022年3月に日本の厚生労働省より承認されました。さらに、他の複数の国で審査当局より承認が得られたほか、現在販売許可の承認申請中です。

 

フィネレノンを用いた第Ⅲ相臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FINEARTS-HF、FIND-CKD、FIONAという5つの第Ⅲ相臨床試験と、第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。

 

2型糖尿病を合併するCKDを対象としたフィネレノンの第Ⅲ相臨床試験プログラムは、世界中の2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上が無作為割り付けされた2試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、いずれも結果発表済み)で構成されています。2試験では腎臓および心血管系の両アウトカムに関し、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの効果が検討されました。

 

事前規定されたFIDELIO-DKD試験とFIGARO-DKD試験の統合解析FIDELITYは、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、CKDの進行および致死的・非致死的な心血管イベントのリスク低下に関するフィネレノンの有効性と安全性を検討し、CKDステージ(ベースライン時点のKGIGOのリスク分類に基づく)と、心血管系および腎特有の複合評価項目に対するフィネレノンの効果との関係について知見を示しました。

 

2型糖尿病を合併するCKDについて

CKDは一般的な疾患であり、死に至る可能性がありますが、広く認知されていません。CKDは静かに、予測不可能に進行し、多くの症状は疾患がかなり進行するまで現れません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の1つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。CKDは、世界中で1億6,000万人以上の2型糖尿病患者に影響を及ぼしていると推定されています。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が約3倍高くなります。

 

i KDIGO分類に基づくCKDステージ1-2、eGFR 60ml/min/1.73m2以上

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2022年12月23日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。