本資料は2月10日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

ケレンディア®(フィネレノン)が2型糖尿病を合併する幅広い慢性腎臓病患者へ欧州連合で適応を拡大

  • 2型糖尿病を合併する早期の慢性腎臓病(CKD)へケレンディア®を適応拡大し、心血管アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの知見を追記する添付文書改訂を欧州委員会(EC)が承認
  • 2型糖尿病を合併するステージ1-4を含む幅広い重症度のCKD患者約7,400人が参加したFIGARO-DKD試験ではケレンディア®がプラセボと比べ2型糖尿病を合併する成人CKD患者の心血管イベントリスクを有意に減少
  • ケレンディア®の欧州連合(EU)における改訂された添付文書には第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDに基づく2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上のデータが反映

 

ドイツ・ベルリン、2023年2月10日 ― ECは、第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの心血管アウトカムに関する結果を基に、ケレンディア®(一般名:フィネレノン)のEUにおける適応拡大を承認しました。本試験では、2型糖尿病を合併するステージ1-4の幅広いCKD患者において、ケレンディア®が心血管イベントのリスクを低下させることが示されました。非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)ケレンディア®(10mg/20mg)は2型糖尿病を合併する早期*のCKDにも適応拡大され、ケレンディア®の適応症は2型糖尿病を合併する成人CKD(アルブミン尿を伴う)となりました。

 

第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの結果は、2021年の欧州心臓病学会(ESC)学術集会で発表されると同時に、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されました。FIGARO-DKD試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者約7,400人を対象に、標準治療に上乗せしたフィネレノンまたはプラセボについて、心血管疾患の罹患率と死亡率の減少に関して有効性と安全性を比較検討しました。FIGARO-DKD試験から得られたデータより、2型糖尿病を合併する成人CKD患者においてフィネレノンはプラセボと比べ、心血管イベントのリスクを有意に減少させることが示されました。

 

デンマーク・コペンハーゲンにあるステノ糖尿病センター合併症研究部門責任者であるピーター・ロシング教授は次のように述べています。「CKDの患者さんは心血管イベントのリスク上昇に直面しています。CKDは静かに進行し、初期には症状が出ないことが多いため、2型糖尿病患者さんはCKDの初期症状がないか定期的に主治医の診断を受ける必要があります。CKDと診断された場合は心血管系の合併症や死亡のリスクを減らすために、包括的な治療を受ける必要があります」

 

ミネラルコルチコイド受容体(MR)の過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。ケレンディア®はMRに選択的に結合し、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することから、新たな治療選択肢を提供します。

 

ドイツ・バイエル社チーフ・メディカル・オフィサーで、医療用医薬品部門メディカルアフェアーズ&ファーマコビジランス責任者のマイケル・デヴォイは次のように述べています。「2型糖尿病を合併するCKD患者さんは、血糖や血圧のコントロールが良好であってもCKDの進行や心血管イベントのリスクが高いことに変わりはありません。ケレンディア®は、ほかの治療薬では対応しない疾患進行の主な原因に対応し、患者さんを腎障害や心血管イベントから守るための明確な方法を医師に提供します。ケレンディア®は第Ⅲ相臨床試験において、幅広い重症度のCKDを対象に腎臓および心血管系への有用性が示されたことから、本日の適応拡大承認は、2型糖尿病を合併する早期*のCKD患者さんに対しても本剤の使用を支持しています」

 

ケレンディア®は、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づき2022年2月に、ECより2型糖尿病を合併する成人CKD(アルブミン尿を伴うステージ3-4)の適応症で最初の販売許可を取得しました。ECによる今回の承認後、ケレンディア®の改訂されたEUの添付文書には、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDの2試験に基づき、2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上から得られたデータが反映されます。

ケレンディア®(フィネレノン)について

ケレンディア®はMRAで、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に寄与します。

 

第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの結果に基づきケレンディア®は、2021年7月に米国食品医薬品局(FDA)、2022年2月にEC、2022年6月に中国国家薬品監督管理局(NMPA)よりそれぞれ販売認可を取得しました。バイエルは、心血管アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの知見を盛り込んだケレンディア®の添付文書改訂について、米国FDAより承認を取得したことを2022年9月に発表しました。2023年2月に、第Ⅲ相臨床試験FIGARO-DKDの知見に基づき、2型糖尿病を合併する早期のCKDを追加するケレンディア®の添付文書改訂がECより承認されました。また、2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、ケレンディア®は2022年3月に日本の厚生労働省より承認されました。さらに、他の複数の国で審査当局より承認が得られたほか、現在販売許可の承認申請中です。

 

フィネレノンを用いた第Ⅲ相臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FINEARTS-HF、FIND-CKD、FIONAという5つの第Ⅲ相臨床試験と、第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。

 

2型糖尿病を合併するCKDを対象としたフィネレノンの第Ⅲ相臨床試験プログラムは、世界中の2型糖尿病を合併するCKD患者13,000人以上が無作為割り付けされた2試験(FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、いずれも結果発表済み)で構成されています。2試験では腎臓および心血管系の両アウトカムに関し、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対するフィネレノンの効果が検討されました。

 

事前規定されたFIDELIO-DKD試験とFIGARO-DKD試験の統合解析FIDELITYは、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、CKDの進行および致死的・非致死的な心血管イベントのリスク低下に関するフィネレノンの有効性と安全性を検討し、CKDステージ(ベースライン時点のKDIGOのリスク分類に基づく)と、心血管系および腎特有の複合評価項目に対するフィネレノンの効果との関係について知見を示しました。

2型糖尿病を合併するCKDについて

CKDは一般的な疾患であり、死に至る可能性がありますが、広く認知されていません。CKDは静かに、予測不可能に進行し、多くの症状は疾患がかなり進行するまで現れません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の1つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。CKDは、世界中で1億9,000万人以上の2型糖尿病患者に影響を及ぼしていると推定されています。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が約3倍高くなります。

 

* KDIGO分類に基づくCKDステージ1-2、推算糸球体濾過量(eGFR) 60ml/min/1.73m2以上

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は441億ユーロ、従業員数は約100,000名(2021年)。特別項目計上前の研究開発費は53億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

 

バイエル薬品株式会社
2023年2月13日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

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