大阪、2023年2月27日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下バイエル薬品)は、経口アンドロゲン受容体阻害剤(ARi)であるニュベクオ®(一般名:ダロルタミド)について、遠隔転移を有する前立腺癌の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を、24日付で取得したことをお知らせします。
今回の承認は、遠隔転移を有する前立腺癌患者を対象とした第Ⅲ相ARASENS試験の良好な結果に基づくものです。同試験では、アンドロゲン遮断療法(ADT)+ドセタキセルにダロルタミドを加えた併用療法が、ADT+ドセタキセルの併用療法と比較して死亡リスクを有意に32.5%低減することが示されました1。これらの結果は、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されました1。
近年、日本国内の前立腺癌患者数は急増しており、日本人男性がかかる癌の第1位となっています2。前立腺癌は他の癌に比べると進行がゆっくりで予後が良いと言われていますが3、ホルモン療法の治療効果が徐々に薄れていく去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に進行する場合や、癌が周囲の臓器に広がり、骨や内臓に転移(遠隔転移)する場合もあり、依然として高いアンメット・メディカル・ニーズが存在します。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、オンコロジー・ストラテジック事業部責任者であるクリスティーン・ロスは次のように述べています。「前立腺癌は、日本人男性にとって最も罹患数の多い癌です2。近年の進歩にもかかわらず、遠隔転移を有する前立腺癌患者の多くは、2~3年の内に病状が進行すると言われています。日本の前立腺癌の患者さんに、疾患の進行を遅らせ、生存期間を延長し、QOLの維持につながる可能性がある、新たな治療選択肢を提供できることを嬉しく思います。バイエルは、前立腺癌と共に生きる人々が、大切な人とより充実した時間を過ごせるよう貢献し、前立腺癌と共に生きる意味を再定義することをミッションとしています」
ダロルタミドは転移性ホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)の適応に対して複数の国や地域において申請中で、米国では既に承認されています。本剤は、mHSPCを対象とした第Ⅲ相試験(ARANOTE試験)や、再発リスクが非常に高い限局性前立腺癌の術後補助療法としてダロルタミドを評価するANZUP主導の第Ⅲ相試験(DASL-HiCaP試験、ANZUP1801)など、さまざまな病期の前立腺癌を対象とした他の試験でも検討が進められています。
ダロルタミドは、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌患者(nmCRPC)の治療薬として、ニュベクオ®の製品名で、米国、欧州連合(EU)、日本および中国を含めた世界の80以上の地域で承認されています。本製品は、バイエルとフィンランドを拠点としたグローバル製薬企業であるオリオン・コーポレーションが共同で開発を行いました。