バイエル、患者さんのためのイノベーションを加速

  • 長期的な成長を牽引する大きな可能性を持つ後期開発プログラム
  • イノベーションのフォーカスを明確にし、オンコロジー、循環器、神経系・希少疾患、免疫領域における初期開発パイプラインを強固にする新たな研究開発戦略およびオペレーションモデル
  • 前立腺がん、慢性腎臓病の治療におけるリーダーとしての地位を構築
  • 細胞・遺伝子治療、ケモプロテオミクスの革新的なアプローチの進展
  • 人工知能(AI) の活用によるバイエルのラジオロジー事業の拡大 

 

大阪、2023年3月31日 ― ドイツ・バイエル社は、3月24日に開催した「Pharma Media Day(ファーマ・メディア・デー)2023」において、医療用医薬品部門のトランスフォーメーションに関する最新の進捗状況を発表しました。患者さん向けの革新的なヘルスケアソリューション創出の加速と、企業としての長期的かつ持続可能なビジネスの成長に焦点を当てたものです。

 

ドイツ・バイエル社経営委員会委員で医療用医薬品部門代表のシュテファン・エルリヒは次のように述べています。「当社の医療用医薬品事業のトランスフォーメーションは順調に進行しています。業界をリードするテクノロジープラットフォーム企業への積極的な投資により、研究開発能力を強化し、初期開発パイプラインの拡充を実現させることができました。今後、特に米国でのオンコロジー領域と循環器領域の成長にリソースを充当します。当社の戦略は、新薬を患者さんにより早く届け、主要な注力領域を通して持続可能な成長を促進することを目的としています」 

 

Pharma Media Day 2023では、戦略的なテクノロジープラットフォームへの投資が、いかに医療とデジタルのイノベーションを加速させ、循環器、オンコロジー、ラジオロジー領域におけるバイエルのリーダーシップを前進させるかについて説明しました。さらに、注力領域における研究開発の能力強化を含むバイエルのイノベーション戦略についての見通しを解説しました。 

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門経営委員会委員で研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「サイエンスとテクノロジーの進歩と共に、患者さんのニーズや、疾患の複雑性に対処する個別化治療も急速に進化しています。そのため、研究開発戦略とオペレーションモデルを進化させ、差別化された付加価値の高い革新的な医薬品に注力していく必要があります。オンコロジー、循環器、神経系・希少疾患、免疫といった、当社が患者さんに最大のインパクトをもたらし得るコア戦略領域に、今後初期の研究活動をフォーカスしていきます」

■オンコロジー領域におけるリーダーとしての地位を確立し、大きな成長を実現

 

バイエルは、過去5年間においてオンコロジー領域のポートフォリオを倍増させてきました。また、開発パイプラインの新規化合物の約3分の1が、がん治療に特化しており、臨床開発の全フェーズにおいて進められています。特に、男性のがんとして2番目に多く診断される前立腺がんの治療をリードするための計画を強調しました。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門経営委員会委員でオンコロジー・ストラテジック事業部責任者のクリスティーン・ロスは、次のように述べています。「私たちは、がん患者さんに革新的な医薬品を届けるというコミットメントを果たすために十分な環境を整えています。当社は、オンコロジー領域においてトップ企業になるという明確な目標を掲げています。現在治療選択肢がほとんどない、あるいは全くないさまざまながんの治療に革新をもたらし得る画期的な治療法やモダリティに投資しています」

 

バイエルは、がん患者さんのアンメットニーズに応える可能性のある3つのサイエンス分野においてオンコロジー領域の研究開発を進めています。これには、標的アルファ線療法に代表される標的放射性医薬品、次世代のがん免疫療法、プレシジョンオンコロジーのアプローチ(がん個別化治療)が含まれます。これらの分野において、真にファースト・イン・クラスとなる非常に革新的なプロジェクトを進めています。

 

最近行った大規模な投資により、当社はオンコロジー領域におけるイノベーションの原動力を大幅に強化しました。1億4千万ドルを投じた新施設バイエル・リサーチ&イノベーションセンター(Bayer Research and Innovation Center, BRIC)は、米国マサチューセッツ州ボストン・ケンブリッジの中心部に位置し、バイエルのプレシジョン分子オンコロジー研究グループの拠点として、マサチューセッツ工科大学・ハーバード大学 ブロード研究所(Broad Institute of Harvard and MIT、以下「ブロード研究所」)を含む、米国の優れたイノベーションハブでのコラボレーションを促進しています。 

 

当社が15億ドルで買収したVividion Therapeutics社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い適応症において、ファースト・イン・クラスの新薬候補を生み出すために、創薬が困難とされる標的について未知の結合ポケットを特定する最先端のケモプロテオミクスのプラットフォームを有しています。このテクノロジーに、画期的なアームズ・レングスのユニークなオペレーションモデルのアプローチを組み合わせることにより、新薬候補を臨床段階へと進めるまでの時間を短縮させる可能性を生み出しています。

■次世代の循環器疾患治療法を開発

 

循環器領域における短・中期的なビジネスの成長は、主に既存のアセットからもたらされます。

 

バイエルは、後期開発プロジェクトを基盤に、循環器疾患のプレシジョン治療に向けた明確な方向性を打ち出し、多様なモダリティにわたって革新的なアプローチを探索しています。アンメットニーズの高い循環器疾患の患者さんのために、イノベーションの限界を押し上げ、生命を脅かす疾患の克服を目指しています。自社の専門性を外部パートナーとのコラボレーションで補完することにより、研究開発の専門性を充実させ、強固な循環器治療薬を開発することは、重要な戦略の1つです。特殊な循環器症状や希少な適応症を含む、幅広い適応症のアンメット・メディカル・ニーズに応えていくことを目指しています。

 

当社は、完全子会社であるAsklepios BioPharmaceutical社(以下「AskBio社」)を通じて、うっ血性心不全に対する新たな治療法となり得る遺伝子治療の開発を進めています。AskBio社の買収により、実用可能性が立証された、業界をリードする遺伝子治療プラットフォームと、世界水準の製造施設を利用することが可能になりました。現在、AskBio社はうっ血性心不全に加え、パーキンソン病、ポンペ病、ハンチントン病といった多様な疾患のメディカルニーズに対応する4つの候補治療の臨床開発と多数の候補治療の前臨床開発を進めています。 

 

バイエルの循環器領域における進歩は、バーチャル臨床試験、分散型臨床試験を含むより多様な臨床試験に加え、心不全におけるAccelerating Medicines Partnership(AMP)やブロード研究所のPrecision Cardiology Laboratoryなど、業界をリードするデータソースに関するパートナーシップによって実現しています。こうした取り組みは、新規分子の発見を加速させ、必要とする患者さんに新たな治療法を提供することを支えるものです。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門経営委員会委員で研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「循環器疾患は、患者さんの生活に重大な影響を与える可能性があります。患者さんの高いアンメット・メディカル・ニーズに応え、循環器領域の未来を切り開くために、非常に革新的なプロジェクトを進めています。当社のポートフォリオに含まれる画期的なアプローチや新規モダリティの数は、将来的に3倍に増加すると想定しています。それらによって、これまで創薬が不可能だった病態や疾患メカニズムを標的にすることができるようになります」

■診断と創薬にデジタルイノベーションを活用

 

バイエルは、デジタル医療用画像診断と人工知能(AI)に重点を置いて、ラジオロジー領域におけるイノベーション戦略を推進しています。医療用画像処理AI市場は、世界のラジオロジー業界全体で最も急速に成長している分野であり、市場の年平均成長率は26%以上、2026年には売上高が13.6億ドルに達すると推計されています1。当社のラジオロジー領域のイノベーション戦略の基盤となるのは、最近上市した、AI搭載アプリを含むデジタルアプリケーションへのアクセスを提供する医療用画像処理プラットフォームです。提携企業と自社の製品のエコシステムを構築することによって、放射線科医とそのチームに、疾患を起点にしたソリューションを提供することが可能になります。このプラットフォームは、患者さんの診断から治療まで、医療従事者のさまざまなプロセスを支援できるように設計されています。 

 

医療用画像処理AI市場における地位を強固にするため、当社は先般、画像AIプラットフォームおよびソリューションを世界的に展開するBlackford Analysis社(以下「Blackford社」)を買収し、確立されたアームズ・レングスのオペレーションモデルで運営しています。この買収によってBlackford社とバイエルのそれぞれが有するヘルスケアテクノロジーに関する専門性を組み合わせ、デジタルイノベーションの取り組みを加速させることで、放射線科医とそのチームに真の価値を提供し、患者さんに貢献していきます。 

 

ドイツ・バイエル社ラジオロジー事業部責任者のゲルド・クルーガーは次のように述べています。「診断から治療にいたる分野における、高度な医学的専門性を基盤として、当社は主要なラジオロジー領域をリードしています。ラジオロジー領域の包括的なポートフォリオの売上は2022年に約20億ユーロに達しています。AI分野への製品提供の拡大は、この市場における当社の強力なポジションをさらに前進させるものです。これは、疾患を起点としたソリューションで患者さんと医師に貢献するという私たちの使命に沿ったものです。ラジオロジー事業の変革と拡大は、当社のデジタルトランスフォーメーションの重要な要素であり、バリューチェーン全体でデータサイエンスと高度な分析を戦略的に活用するものです」

 

バイエルは、医薬品の創薬から生産にいたるまでのバリューチェーン全体において、データの力やAIのような急速に進化するテクノロジーを活用するために投資を行っています。当社は、Google Cloudといったテクノロジーの先進企業やRecursion Pharmaceuticalsといったバイオテクノロジーの先進企業をパートナーとして、イノベーションの新たな領域に進んでいます。さらに、開発、製造、オペレーション業務を変革し、革新的なソリューションで患者さん、医療従事者、医療システムのニーズによりよく応えるため、自社に幅広い専門性を構築しています。当社は、法規制および生命倫理上の要件に厳格に準拠しながら、あらゆるテクノロジーの可能性を追求することに取り組んでいます。

1. Signify Research 社: 医用画像処理における AI - 世界市場分析 2022年

【バイエルについて】

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

【バイエルのビジョンについて】

世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というビジョンの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。

 

【バイエル薬品株式会社について】

医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。

 

 

バイエル薬品株式会社
2023年3月31日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。