- EOB・プリモビスト造影MRIの読影補助を行うことで放射線科医の負担を軽減
- 画像診断領域のAIを活用したデジタルソリューションをさらに拡充
大阪、2023年4月10日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)と株式会社HACARUS(本社:京都市、代表取締役CEO:藤原健真、以下「HACARUS」)は共同開発を行ったAIを活用したオンプレミス型の画像解析ソフトウェアCal.Liver.Lesion(カルリバーリージョン)の情報提供活動を開始します。なお、Cal.Liver.Lesionの販売はバイエル薬品が行います。
Cal.Liver.Lesionは、磁気共鳴画像診断装置(以下「MRI」)から提供されたEOB・プリモビスト造影MRI画像から腹部肝臓領域の情報をコンピューター処理し、処理後の画像情報を診療のために提供するプログラムです。MRI画像より事前学習モデルから周囲と比べて信号値の異なる領域を自動で抽出し、当該領域をカラー表示したカラーマップを作成することにより、医師による読影の支援を行います。
国内での肝がんの年間罹患者数(2019年)は37,296人(男性25,339人、女性11,957人)、年間死亡者数(2020年)は24,839人(男性16,271人、女性8,568人)であり、男性の主な部位別がん罹患者数が5番目に多く、死亡者数でも男女計、男性ともに5位となっています1。また、国内で発生する肝がんの90%以上は肝細胞がんと言われています1。肝細胞がんはMRIなどによる画像診断で早期発見を行うことが可能ですが、肝特異性造影剤EOB・プリモビストを用いたMRIで多血性肝細胞がんを診断する場合、およそ10種類の異なる条件での撮像が必要となります。1種類の画像データだけからはさまざまな腫瘍を区別することができない場合が多く、読影を行う医師は1人の患者さんにつき、何百枚という画像データから総合的に判断します。また、EOB・プリモビスト造影MRI画像の読影を正確に行うには熟練を要し、公益社団法人日本放射線学会放射線科専門医制度委員会により認定を受けた放射線科医が行うことが望ましいとされています。しかし、今日の日本においては、実施されているMRI検査数に比して放射線科医の数が十分ではなく、読影医に大きな負担がかかっているのが現状です。撮像した画像の信号値の異なる領域にカラーマップを作成することで、読影の効率や精度を向上させ、医師の負担を軽減することを目的に、本製品の開発を行いました。なお、本製品は医師の読影および診断の補助を行うものであり、解析結果のみで確定診断を行うものではありません。
HACARUSは、医療・製薬分野、製造業・インフラ分野において、独自のスパースモデリング技術の強みを活かしたAIソリューションの提供を行っています。ドイツ・バイエル社が革新的なデジタルテクノロジーを持つイノベーター企業を支援するグローバルプログラム「G4A」の日本版としてバイエル薬品が開催した「G4A Tokyo Dealmaker2019」において、HACARUSが助成プログラムに採択されたことを機に、コラボレーションを開始しました。HACARUSは国立大学法人神戸大学大学院医学研究科 放射線診断学分野と「肝細胞がんのMRI画像解析と診断支援AI」について共同研究契約を締結し、開発を進めてきました。バイエル薬品は、HACARUSをはじめAIやデジタル領域におけるパートナー企業と共に、製品の開発、サービスおよびサポートについて連携して、画像診断領域におけるトータルソリューションを提供しています。今後も、画像診断領域においてAIを活用したデジタルソリューションをさらに拡充し、放射線科医ならびに関連するすべての医療従事者の皆さんと共に、患者さんの健康を守ることに貢献していきます。