本資料は5月10日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

バイエル、アフリベルセプト8mgについて網膜静脈閉塞症患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験を開始

  • 国際共同第Ⅲ相試験(QUASAR試験)において、網膜静脈閉塞症(RVO)による黄斑浮腫に対するアフリベルセプト8mgの有効性および安全性を評価
  • 血管新生(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)を対象とした第Ⅲ相試験(PULSAR試験)および糖尿病黄斑浮腫(DME)を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験(PHOTON試験)から得られた良好なデータを受けて本試験を実施
  • QUASAR試験は27カ国で約800例の患者さんを登録予定
  • 本試験はアフリベルセプト8mgの開発プログラムに追加されるもので、新たな患者集団において投与間隔を延長しつつ視力改善を達成する可能性を検討

 

ベルリン、2023年5月10日 ― バイエルはこのほど、アフリベルセプト8mgについて、網膜静脈閉塞症(RVO)による黄斑浮腫を対象にした第Ⅲ相試験(QUASAR試験)の開始を発表しました。投与間隔を延長して投与するアフリベルセプト8mgの有効性および安全性を、標準治療であるアイリーア®(アフリベルセプト2mg)と比較検討します。

 

QUASAR試験では、月1回複数回投与後に、投与間隔を延長してアフリベルセプト8mgを投与する患者と、アイリーア(アフリベルセプト2mg)を4週ごとに投与する患者を対象に、主要評価項目である36週目の最高矯正視力(BCVA)の変化量を測定します。36週目以降、さらに投与間隔を延長することが可能なデザインになっています。アフリベルセプト8mgは、視力に対する有効性や安全性を損なうことなく投与間隔を延長することを目指し開発中です。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「続発性の黄斑浮腫は、網膜静脈閉塞症における失明で最も一般的な原因です。未治療のまま放置すると、重度の視力低下を引き起こし、車の運転や階段を下りること、読書など簡単な作業も困難になる可能性があります。血管新生加齢黄斑変性および糖尿病黄斑浮腫の患者さんにおいて、投与間隔を延長したアフリベルセプト8mgから良好な結果が得られており、網膜静脈閉塞症においてもその可能性を評価することが重要です。」 

 

カナダのマックマスター大学、ハミルトン地域眼科研究所の眼科科長兼外科教授でもあるDr.Varun Chaudharyは次のように述べています。「滲出性網膜疾患の患者さんにとって、頻回注射の治療負担の大きさが治療アドヒアランス低下につながり、視力喪失の一因となることがわかっています。こうした理由から私たちは、視力において最高の結果を達成しつつ、患者さんや医療制度の負担を軽減できるような、投与間隔を延長する新たな研究を歓迎します。」

 

アイリーア(アフリベルセプト2mg)は、RVOによる黄斑浮腫の標準治療薬であり、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)および網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の治療薬として世界100カ国以上で承認を取得しています。

 

EUや日本などの市場においてアフリベルセプト8mgを、nAMDおよびDMEの治療薬として規制当局へ承認申請したことに引き続き、RVOによる黄斑浮腫を対象とした第Ⅲ相試験(QUASAR試験)を実施します。これらの申請は、nAMDを対象とした第Ⅲ相試験(PULSAR試験)およびDMEを対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験(PHOTON試験)の有効性および安全性に関する良好なデータに基づいています。両試験とも、月1回の複数回投与後のアフリベルセプト8mgの2つの投与間隔延長レジメン(12週ごとおよび16週ごと)は、アイリーア(アフリベルセプト2mg)の8週ごとの投与と比較して、主要評価項目である48週時点のBCVAにおいて非劣性を達成しました。

 

バイエル社とリジェネロン社は、アフリベルセプト8mgの国際共同開発を行っています。リジェネロン社はアイリーアとアフリベルセプト8mgの米国内での独占販売権を保有しています。バイエル社は米国以外での独占販売権を有し、その利益は両社で均等分配されます。

 

アフリベルセプト8mgは開発中であり、その安全性および有効性は、まだ規制当局による詳細な評価を受けていません。

【QUASAR試験について】

QUASAR試験は、網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫を対象にアフリベルセプト8mgを投与間隔延長レジメンで投与したときの有効性および安全性を評価する国際共同、無作為化、二重遮蔽、実薬対照第Ⅲ相試験です。本試験の主要評価項目は、無作為化時点から投与36週目までにおけるEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)文字スコアを用いて評価したBCVAの変化量です。本試験では、月1回複数回投与後、投与間隔を延長したアフリベルセプト8 mg投与群と、アイリーア(アフリベルセプト2mg)の4週ごと投与群を、BCVAの変化量について比較します。治療効果に応じて、投与間隔をさらに調整することも可能です。投与は60週目まで行い、その後64週目まで観察します。本試験には約800例の患者さんを登録する予定です。

【RVOについて】

RVOは慢性疾患で、現在、世界全体で2,800万人の成人が罹患しており、突然の急速な視力喪失に至る可能性があります。RVOには、CRVOとBRVOの2種類があります。CRVOでは、視神経の網膜の主要な静脈が閉塞し、網膜からの血液の排出が障害されることで、視力の喪失に至る可能性があります。BRVOは細い網膜静脈分枝が閉塞するもので、CRVOの6倍も多くみられます。RVOによる閉塞で網膜への酸素供給量が低下し、血管内皮増殖因子(VEGF)および胎盤増殖因子(PlGF)の産生が増加します。 閉塞した静脈により滲出液と血液が網膜に漏出し、その結果、視力に関与している網膜の中心部である黄斑の腫脹が生じます。この腫脹は黄斑浮腫と呼ばれ、VEGFはこの病態の促進に重要な役割を果たしています。

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエルのビジョンについて

世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というビジョンの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社について

医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。

 

 

バイエル薬品株式会社
2023年5月19日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。