本資料は5月16日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。

バイエル、asundexianの心房細動プログラムが米国食品医薬品局よりファストトラック指定

  • asundexianを用いたOCEANIC-AF試験は、40カ国以上で被験者27,000人以上を組み入れる第Ⅲ相臨床試験プログラムOCEANICの1つ
  • asundexianは脳卒中発症抑制において出血リスクの増大を伴わずに有効性を示す全く新しいクラスの治療選択肢として開発中

 

ドイツ・ベルリン、2023年5月16日 ― ドイツ・バイエル社は、心房細動(AF)患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制薬候補として臨床開発中のasundexian(BAY2433334)について、米国食品医薬品局(FDA)がファストトラックの指定を行ったことを本日発表しました。asundexianは、非心原性虚血性脳卒中の発症後患者における脳卒中発症抑制に対して、2022年にFDAより最初のファストトラック指定を受けています。

 

asundexianは治験薬であり、審査当局によって使用が承認された国や適応症はありません。asundexianは現在、1日1回投与の経口血液凝固第Ⅺa因子(FⅪa)阻害剤候補として検討されています。血栓症発症抑制において、出血に対する身体の対応能力を維持しつつ、血栓形成を抑制することを目指しています。

 

ファストトラック指定は、重篤な疾患の治療やアンメット・メディカル・ニーズを満たす医薬品候補の開発を促進し、審査を迅速化することを目的としています。このプログラムの目的は、重要な新薬をより早く患者さんに届けることです。ファストトラック指定を受けた医薬品候補は、開発計画について米国FDAとのより頻繁なやり取りが可能となり、関連する基準を満たした場合には、迅速承認や優先審査の対象となる可能性があります。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者であるクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「asundexianの2つ目のファストトラック指定は、心房細動と診断された方々の脳卒中や全身性塞栓症の発症抑制に対するメディカルニーズを強調しています。この指定は、asundexianの開発を加速させ、患者さんのニーズに迅速に対応する機会となります。治療法は大きく進歩しましたが、出血リスクへの潜在的な懸念は、血栓症マネジメントのいまなお大きな課題です。血液凝固の選択的な阻害を作用機序とするasundexianは、出血の懸念がある患者さんに対処し、現在の抗凝固療法が使用できない適応症にも焦点を当てた全く新しいクラスの抗血栓療法の選択肢候補として現在開発中です」

 

対象となる患者さんの最大40%は、直接作用型経口抗凝固薬による治療を受けていないか、治療が不十分であると推定されており、これは患者さんが、血栓症発症抑制の必要性よりも出血を経験するリスクのほうが大きいと認識しているためです1。asundexianによるFⅪaの阻害により、出血リスクの増大を伴わずに血栓性イベント発症を抑制する可能性があります。

【OCEANICプログラムについて】

OCEANIC臨床試験プログラムは、脳卒中リスクのある心房細動患者、および急性非心原性虚血性脳卒中・高リスク一過性脳虚血発作(TIA)患者を対象に、経口FⅪa阻害剤asundexianの使用について検討するよう設計されており、ベネフィットとリスクのプロファイルを既存の治療選択肢より改善することを目指しています。本プログラムは、2つの大規模国際共同試験(OCEANIC-AF試験、OCEANIC-STROKE試験)から開始されました。40カ国以上より27,000人以上の被験者組み入れが予定されており、バイエルが実施してきた最大規模の第Ⅲ相臨床試験プログラムの1つとなります。

 

【OCEANIC-AF試験とOCEANIC-STROKE試験について】

OCEANIC-AF試験は、脳卒中または全身性塞栓症の発症抑制に関してasundexianの安全性と有効性を評価するため、脳卒中リスクのある心房細動患者を対象に、asundexianとアピキサバン(非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬)を比較検討する多施設共同、無作為化、実薬対照、二重盲検、ダブルダミー、二群間並行群間比較、第Ⅲ相国際共同試験です。

 

OCEANIC-STROKE試験は、非心原性虚血性脳卒中またはハイリスクTIAの発症後患者を対象に、虚血性脳卒中の発症抑制に関し、標準治療の抗血小板療法に上乗せしたときのasundexianの有効性と安全性をプラセボと比較検討する多施設共同、国際共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、イベント主導型第Ⅲ相臨床試験です。

 

【FⅪa阻害剤とasundexianについて】

FⅪは血液中のタンパク質で、血液凝固カスケードの一部として活性酵素型(第Ⅺa因子)に変換されます。FⅪa阻害剤は、病的な血栓形成に関与するFⅪaタンパク質を標的として特異的に作用する一方、生理的な血管壁の創傷治癒に関与する経路には作用しません。asundexianは、直接作用型経口FⅪa阻害剤として血液凝固カスケードに選択的に作用するため、出血リスクの増大を伴わずに脳卒中などのイベントの発症を抑制する可能性があります。asundexianは現在、血栓症発症抑制における新しい治療選択肢として検討されており、抗血栓療法の新しいアプローチとなる可能性があります。asundexianは1日1回経口投与の治験薬であり、審査当局によって使用が承認された国や適応症はありません。

 

【心房細動について】

心房細動は、最も一般的な持続性心調律異常(不整脈)の1つです。心房細動は、心臓の上室(心房)の急速で無秩序な電気信号によって生じ、心房のけいれんや急速かつ不規則な収縮を引き起こします。その結果、心房が完全に空にならず、血液が適切に流れなくなり、血栓が形成されます。このような血栓は、はがれて脳に移動し、脳卒中を引き起こすことがあります2

References:

1. E, Wolff A, Lip GY, Lane DA. Optimising stroke prevention in patients with atrial fibrillation: application of the GRASP-AF audit tool in a UK general practice cohort. Br J Gen Pract. 2015 Jan;65(630):e16-23. doi: 10.3399/bjgp15X683113. PMID: 25548312; PMCID: PMC4276003. 
2. NHS choices. Atrial fibrillation complications. Available at: https://www.nhs.uk/conditions/atrial-fibrillation/complications/ Accessed: May 2023

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエルのビジョンについて

世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というビジョンの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。

 

 

バイエル薬品株式会社
2023年5月26日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。