本資料は6月27日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。
バイエル、新規造影剤gadoquatraneの第Ⅲ相臨床試験を開始
- Gadoquatraneは、安定性の高い磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)用の造影剤であり、高い緩和能によりガドリニウム用量を大幅に低減することが期待されています
- 臨床開発プログラムQUANTIでは、成人患者を対象とした2つの第Ⅲ相試験と小児患者を対象とした1つの試験によって、あらゆる身体領域と年齢層に対してgadoquatraneの造影MRIでの使用を検討します
- 画像診断領域のリーディングカンパニーとして、バイエルは放射線医療のイノベーションを促進します
ベルリン、2023年6月27日 ― ドイツ・バイエル社は、次世代型、細胞外液性、環状型ガドリニウム造影剤であるgadoquatraneの有効性および安全性を評価する第Ⅲ相の臨床開発プログラムであるQUANTIの開始を発表しました。本剤は高い緩和能により、ガドリニウム用量を大幅に低減することが期待される安定性の高い磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)用の造影剤です。
臨床開発プログラムQUANTIは、QUANTI CNS試験(中枢神経領域が対象)およびQUANTI OBR試験(その他の身体領域が対象)の2つの国際共同第Ⅲ相試験、並びに1つの小児臨床試験から構成されており、いずれの試験においてもgadoquatraneを0.04 mmol Gd/kgの用量で検討します。このガドリニウム用量は、既存のMRI用造影剤の標準的な用量に比べ60%の低減になります。良好な試験結果が得られた場合、gadoquatraneは細胞外液性MRI用造影剤の中で最もガドリニウム用量の低い造影剤となる見込みです。造影MRIは、放射線を使用することなく非侵襲的に身体の詳細な画像が得られる検査で、臓器や組織内の異常の鑑別や同定に役立ち、病変の検出、特性評価や経過観察において医師による医学的判断を支援します。
ドイツUniversity of EssenのInstitute of Diagnostic and Interventional Radiology and Neuroradiologyの所長であるマイケル・フォースティング教授は次のように述べています。「がんや心血管系疾患などの慢性疾患が増加する中、病変の検出、治療方針の判断、治療計画の策定において、医用画像診断のイノベーションがますます求められています。第III相の臨床開発プログラムQUANTIは、ガドリニウムの用量を大幅に低減しながら、画像の質を維持し、正確で適時に診断を支援する新たな選択肢を評価する上で重要な一歩となります。」
ドイツ・バイエル社ラジオロジー研究開発部門のグローバル責任者であるコンスタンツ・ディーフェンバッハ医師は次のように述べています。「造影MRI検査は世界で年間5900万件行われていると推計されており、医師による正確な診断の実現に貢献しています1。Gadoquatraneの広範な開発プログラムは、画像診断領域のリーディングカンパニーとして、患者とその医師の利益のためにイノベーションを推進するというバイエルの取り組みを表しています。当社は、gadoquatraneの開発プログラムを通じて、新規造影剤、新しい自動注入装置、AIを活用したソリューションをはじめとした医用画像診断領域のイノベーションを促進してまいります。」
【Gadoquatraneの第Ⅲ相臨床開発プログラムについて】
臨床開発プログラムQUANTIは、成人患者を対象とした2つの国際共同第Ⅲ相試験(QUANTI CNS試験およびQUANTI OBR試験)と小児患者を対象とした1つの試験から構成されており、すべての試験においてgadoquatraneを0.04 mmol Gd/kgの用量で検討します。
QUANTI CNS試験では、中枢神経系病変またはその疑いのため、造影MRI検査を受ける成人患者を対象に、gadoquatraneの有効性および安全性を評価します。主な中枢神経系病変は、診断や治療方針の決定にMRIが重要な役割を果たす悪性脳腫瘍や多発性硬化症などです。
QUANTI OBR試験では、頭頸部、胸部、腹部、骨盤、四肢など他のあらゆる身体領域の造影MRI検査における、gadoquatraneの安全性および有効性を評価します。
小児臨床試験では、造影MRI検査を受けるあらゆる年齢の小児における、gadoquatraneの薬物動態および安全性を評価します。
臨床開発プログラムQUANTIでは、17カ国から約800名の患者を登録する予定です。
第Ⅲ相試験の試験デザインおよび用量は、gadoquatrane 0.04 mmol Gd/kgの有効性ならびに良好な安全性プロファイルを示した第Ⅱ相試験のデータに基づき設定しています。第Ⅱ相試験は、中枢神経系の造影MRI検査が適用となるCNS病変を有するまたは強く疑われる成人患者を対象として盲検読影を行う、gadoquatrane単回静脈内投与の多施設共同、単盲検、用量設定試験でした。
【Gadoquatraneについて】
Gadoquatraneは、MRI用造影剤として開発されているバイエルの次世代型、細胞外液性造影剤です。この新規環状型ガドリニウム造影剤は、四量体構造を有しており、その高い安定性および緩和能から、造影MRI検査時に使用されるガドリニウム用量を低減することが期待されます。また、ガドリニウムは自然界で高純度の状態で得られず、分離するのが困難な希土類元素ですが、gadoquatraneはそのガドリニウムの使用量を低減することで長期的に持続可能な医療に貢献することが期待されます2。
【バイエルの画像診断領域について】
画像診断領域で100年以上の歴史をもつ真のライフサイエンス企業として、バイエルは医療の効率化と最適化に向けて革新的な製品から高品質なサービスまで、卓越したソリューションを提供することに注力しています。バイエルは、コンピューター断層撮影(CT)、X線撮影、および磁気共鳴画像診断(MRI)用の造影剤、造影剤を正確に投与する自動注入装置、インフォマティクス・ソリューション、人工知能(AI)を含めた各種アプリケーションを活用することができる医用画像診断プラットフォームなど、豊富なポートフォリオを有しています。バイエルの画像診断製品の売上高は、2022年時点で約20億ユーロでした。2030年までに、画像診断市場の年平均成長率5%を上回ることを目標に、当社はAIの活用や医用画像診断のイノベーションの促進をはじめとした研究開発活動に注力しています。これらのソリューションを通じて、診断や治療方針を左右する所見および明確な方向性を示すことが求められている放射線科医に効率的なツールを提供しています。
References:
1 社内データおよびIQVIA・Contrast Media Industry Group・Clarivate等による社外データに基づく。
2 Gadolinium (Gd). By: Podeszwa, Catherine, MS, Salem Press Encyclopedia of Science, 2021; The Institute for Rare Earths and Metals: https://en.institut-seltene-erden.de/seltene-erden-und-metalle/seltene-erden/gadolinium/ (閲覧日:2023年5月)
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエルのビジョンについて
世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というビジョンの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2023年7月5日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
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