本資料は11月6日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。

経口抗凝固療法が不適格とされた心房細動患者を対象としたasundexianの新たな第Ⅲ相臨床試験

  • 出血リスクが高く経口抗凝固療法が不適格とされた虚血性脳卒中・全身性塞栓症の発症リスクが高い65歳以上の心房細動患者を対象とした新たな試験
  • OCEANIC-AFINA試験は本集団を対象にasundexianを検討するOCEANIC臨床試験プログラム最新の第Ⅲ相臨床試験
  • OCEANIC-AFINA 試験は現在進行中の OCEANIC-AF 試験を補完し、40カ国以上より30,000人近い被験者を組み入れることでバイエルの画期的なasundexianの臨床試験プログラムをさらに拡大
  • asundexian は脳卒中発症抑制の治療選択肢として評価中であり、血栓症管理で全く新しいクラスの治療選択肢の一翼を担う

ドイツ・ベルリン、2023年11月6日 ― ドイツ・バイエル社は、治験薬asundexian(BAY2433334)の第Ⅲ相臨床試験プログラムOCEANICを拡大し、3つ目の臨床試験としてOCEANIC-AFINA試験を開始します。OCEANIC-AFINA試験は、出血のリスクが高く担当医師により経口抗凝固療法が不適格と判断された脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクが高い心房細動患者(65歳以上)を対象に、治療薬の候補としてasundexianを検討する第Ⅲ相臨床試験です。OCEANIC-AFINA試験は、脳卒中発症リスクのある心房細動患者を対象に、脳卒中または全身性塞栓症の発症抑制に関してasundexianの有効性と安全性を検討している進行中の第Ⅲ相臨床試験OCEANIC-AFを補完します。OCEANIC-AFINA試験とOCEANIC-AF試験の両結果より、虚血性脳卒中と全身性塞栓症、重大な出血事象の双方のリスクが高い患者さんを含む幅広い心房細動患者において、asundexianの有効性と安全性の確かなエビデンスを得ることを目指しています。

心房細動患者の3人に1人は、経口抗凝固薬による治療が十分でないか、未治療であると報告されており 、治療中に出血リスクをこれ以上増加させない効果的な治療法に対するアンメットニーズが高まっています。出血リスクの高い高齢の心房細動患者や、血液透析を受けている末期腎不全の心房細動患者は、ガイドラインで推奨されている用量よりも低用量で治療されることが多くなります。さらに、経口抗凝固薬を中止した患者さんは、中止後に虚血性脳卒中を発症するリスクが高くなります。asundexianによる血液凝固Ⅺa因子(FXIa)の阻害により、出血リスクを増加させることなく血栓性イベントの発症を抑制できれば、こうしたアンメットニーズに対処できる可能性があります。

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者であるクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「これまでに得られた有望な臨床試験結果は、asundexianがより幅広い患者さんにとって抗血栓療法の新たな選択肢となり得ることを示しています。われわれのビジョンは、これまで経口抗凝固薬による治療が不適格とされていた患者さんを含め、心房細動の患者さんを支援することです。患者さんに新たな治療選択肢を提供することにより、出血リスク増加の可能性に対する不安を軽減し、生活の質を向上させ、医師が自信を持って患者さんを守るための抗血栓療法を処方できるようにすることを目指しています。OCEANIC-AFINA試験では、脆弱な未治療の患者集団を対象にasundexianを評価します」

マウントサイナイアイカーン医科大学教授で、インターベンショナル心血管研究・臨床試験部長のロクサーナ・メヘラーン氏は次のように述べています。「出血リスクが高く、現在使用可能な経口抗凝固薬が適さない心房細動の患者さんに対する治療選択肢を検討する際に、医師は厳しい臨床的決断を迫られることがあります。こうした患者さんは見過ごされがちで、臨床試験から除外されることが多いため、バイエルが本試験を実施することを喜ばしく思います」

OCEANIC-AFINA試験は、多施設、国際共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、二群間並行群間比較、第Ⅲ相臨床試験です。担当医師により経口抗凝固療法が不適格と判断された脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクが高い心房細動患者(65歳以上)を対象に、asundexianとプラセボを比較検討します。OCEANIC-AFINA試験の有効性主要評価項目は、虚血性脳卒中または全身性塞栓症が最初に発現するまでの期間であり、asundexian群とプラセボ群を比較します。安全性主要評価項目は、ISTH(国際血栓止血学会)基準による重大な出血事象が最初に発現するまでの期間であり、asundexian群とプラセボ群を比較します。本試験には2,000人近い心房細動患者の組み入れが予定されています。

asundexianは治験薬であり、審査当局によって使用が承認された国や適応症はありません。asundexianは、病的な血栓形成を抑制する一方で、止血のための血栓形成は可能な1日1回投与の経口FⅪa阻害薬候補として現在検討されています。
 

【OCEANIC臨床試験プログラムについて】
OCEANIC臨床試験プログラムは、脳卒中発症リスクのある心房細動患者、および急性非心原性虚血性脳卒中・高リスク一過性脳虚血発作(TIA)の発症後患者を対象に、経口FⅪa阻害薬asundexianの使用について検討するよう設計されており、ベネフィットとリスクのプロファイルを標準治療より改善することを目指しています。本プログラムは、2つの大規模国際共同試験(OCEANIC-AF試験、OCEANIC-STROKE試験)から開始されました。40カ国以上より30,000人近い被験者組み入れが予定されており、バイエルが実施してきた最大規模の臨床試験プログラムの1つとなります。

米国食品医薬品局(FDA)は、心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、ならびに急性非心原性虚血性脳卒中の発症後患者における脳卒中発症抑制のための治療薬候補として、asundexianをファストトラック指定しました。

【OCEANIC-AF試験、OCEANIC-STROKE試験およびOCEANIC-AFINA試験について】
OCEANIC-AF試験は、多施設共同、国際共同、無作為化、実薬対照、二重盲検、ダブルダミー、二群間並行群間比較、第Ⅲ相臨床試験です。脳卒中または全身性塞栓症の発症抑制に関してasundexianの安全性と有効性を評価するため、脳卒中発症リスクのある心房細動患者を対象に、asundexianとアピキサバン(非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬)を比較検討します。

OCEANIC-STROKE試験は、多施設共同、国際共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、イベント主導型、第Ⅲ相臨床試験です。急性非心原性虚血性脳卒中または高リスクTIA/軽度脳卒中の発症後患者を対象に、虚血性脳卒中の発症抑制に関し、標準治療の抗血小板療法に上乗せしたときのasundexianの有効性と安全性をプラセボと比較検討します。

OCEANIC-AFINA試験は、多施設共同、国際共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、第Ⅲ相臨床試験です。担当医師により経口抗凝固療法が不適格と判断された脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクが高い心房細動患者(65歳以上)を対象に、asundexianとプラセボを比較検討します。

【FXIa阻害薬とasundexianについて】
血液凝固第XI因子は血液中のタンパク質で、血液凝固カスケードの一部として活性酵素型(第Ⅺa因子)に変換されます。FⅪa阻害薬は、病的な血栓形成に関与するFⅪaタンパク質を標的として特異的に作用する一方、止血は保たれます。asundexianは、直接作用型経口FⅪa阻害薬として血液凝固カスケードに選択的に作用するため、現在の標準治療のように出血リスクを増加させることなく、脳卒中などのイベントの発症を抑制する可能性があります。asundexianは現在、血栓症発症抑制における治療選択肢候補として検討されており、抗血栓療法の新しいアプローチとなる可能性があります。asundexianは1日1回経口投与の治験薬であり、審査当局によって使用が承認された国や適応症はありません。

【心房細動について】 
心房細動は、最も一般的な持続性心調律異常(不整脈)の1つです。心房細動は、心臓の上室(心房)の急速で無秩序な電気信号によって生じ、心房のけいれんや急速かつ不規則な収縮を引き起こします。その結果、心房が完全に空にならず、血液が適切に流れなくなり、血栓が形成されます。このような血栓は、はがれて脳に移動し、脳卒中を引き起こすことがあります。

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエルのミッションについて

世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というミッションの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2023年11月14日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。