OCEANIC-AF試験が有効性不十分により早期中止

本資料は11月19日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。

  • 独立データモニタリング委員会(IDMC)がOCEANIC-AF試験の中止を勧告
  • OCEANIC第Ⅲ相臨床試験プログラムの一つであるOCEANIC-AF試験は脳卒中リスクを有する心房細動患者を対象にasundexianとアピキサバンを比較検討
  • IDMCは第Ⅲ相臨床試験OCEANIC-STROKEについて計画通りの継続を勧告

ドイツ・ベルリン、2023年11月19日 ― 脳卒中リスクを有する心房細動患者を対象に、asundexianとアピキサバン(直接作用型経口抗凝固薬)を比較検討した第Ⅲ相臨床試験OCEANIC-AFが早期に中止されることになりました。asundexian群での有効性が対照群と比べ劣ることが示されたため、本試験で実施している監視体制の一環として設置されたIDMCの勧告に基づき、今回の決定を行いました。ドイツ・バイエル社は、本試験のデータをさらに解析して結果を理解し、データを公表する予定です。

本試験より得られた安全性データは、これまでに報告されたasundexianの安全性プロファイルと一貫しています。第Ⅲ相臨床試験OCEANIC-STROKEについては、計画通りに継続することをIDMCが勧告しています。OCEANIC-AF試験を終了するための適切な措置が講じられ、被験者には担当医師/治験責任医師が連絡して今後の方針を検討します。

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門の経営委員会メンバーで、研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「今回の解析結果はOCEANIC-AF試験の継続を支持しませんでしたが、バイエルはOCEANIC-STROKE試験においてasundexianの検討を継続するとともに、抗血栓療法を必要とする患者さんに対する他の適応について現在、再評価を行っています」

十分な治療選択肢がないとされるOCEANIC-STROKE試験の対象となり得る集団に対しては、標準治療に上乗せした抗凝固療法の有用性を示唆する他のエビデンスもあります。

asundexianは治験薬であり、規制当局によって使用が承認された国や適応症はありません。

【OCEANIC臨床試験プログラムについて】

OCEANIC臨床試験プログラムは、脳卒中発症リスクを有する心房細動患者、および急性非心原性虚血性脳卒中・高リスク一過性脳虚血発作(TIA)の発症後患者を対象に、経口第Ⅺa因子(FⅪa)阻害薬asundexianが標準治療と比較して、ベネフィットとリスクのプロファイルの改善をもたらすかについて評価することを目的とし、デザインされています。本プログラムは、3件の大規模国際共同試験(OCEANIC-AF試験、OCEANIC-STROKE試験、OCEANIC-AFINA試験)で構成されています。OCEANIC-AFINA試験はまだ、被験者の募集を開始していません。

【OCEANIC-AF試験、OCEANIC-STROKE試験およびOCEANIC-AFINA試験について】

OCEANIC-AF試験は、多施設共同、国際共同、無作為化、実薬対照、二重盲検、ダブルダミー、二群間並行群間比較第Ⅲ相臨床試験です。脳卒中または全身性塞栓症の発症抑制に関してasundexianの安全性と有効性を評価するため、脳卒中発症リスクを有する心房細動患者を対象に、asundexianとアピキサバン(非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬)を比較検討します。

OCEANIC-STROKE試験は、多施設共同、国際共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、イベント主導型第Ⅲ相臨床試験です。急性非心原性虚血性脳卒中または高リスクTIAの発症後患者を対象に、虚血性脳卒中の再発抑制に関し、標準治療の抗血小板療法に上乗せしたときのasundexianの有効性と安全性をプラセボと比較検討します。

OCEANIC-AFINA試験は、多施設共同、国際共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較第Ⅲ相臨床試験です。担当医師により経口抗凝固療法が不適格と判断された脳卒中または全身性塞栓症の発症リスクが高い心房細動患者(65歳以上)を対象に、asundexianとプラセボを比較検討します。OCEANIC-AFINA試験はまだ、被験者の募集を開始していません。バイエルはOCEANIC-AF試験に関する本決定を踏まえて今後、OCEANIC-AFINA試験の試験デザインを再検討する予定です。

【FⅪa阻害薬とasundexianについて】
血液凝固第Ⅺ因子は血液中のタンパク質で、血液凝固カスケードの一部として活性酵素型(第Ⅺa因子)に変換されます。FⅪa阻害薬は、病的な血栓形成に関与するFⅪaタンパク質を標的として特異的に作用する一方、止血は保たれます。asundexianは、直接作用型経口FⅪa阻害薬として血液凝固カスケードに選択的に作用するため、現在の標準治療のように出血リスクを増加させることなく、脳卒中などのイベントの発症を抑制する可能性があります。asundexianは現在、血栓症発症抑制における治療選択肢候補として検討されており、抗血栓療法の新しいアプローチとなる可能性があります。asundexianは1日1回経口投与の治験薬であり、規制当局によって使用が承認された国や適応症はありません。

【心房細動について】
心房細動は、最も一般的な持続性心調律異常(不整脈)の一つです。心房細動は、心臓の上室(心房)の急速で無秩序な電気信号によって生じ、心房のけいれんや急速かつ不規則な収縮を引き起こします。その結果、心房が完全に空にならず、血液が適切に流れなくなり、血栓が形成されます。このような血栓は、はがれて脳に移動し、脳卒中を引き起こすことがあります。

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

バイエルのミッションについて

世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というミッションの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。


バイエル薬品株式会社
2023年11月28日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

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