本資料は2月26日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。
ドイツ・バイエル社 HER2活性化変異を有する非小細胞肺がん治療薬として米国食品医薬品局(FDA)がBAY 2927088を画期的治療薬に指定
- 開発中の経口低分子チロシンキナーゼ阻害剤BAY 2927088はHER2活性化変異を有する非小細胞肺がん患者に対する新規分子標的治療薬となる可能性
- 画期的治療薬指定はアンメットメディカルニーズの高い領域において既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進するために定められた制度
ドイツ・ベルリン、2024年2月26日 ― ドイツ・バイエル社は、HER2(ERBB2)活性化変異を有する切除不能または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)で、前治療に全身療法を受けたことのある成人患者の治療薬として、米国FDAがBAY 2927088を画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定したことを本日発表しました。BAY 2927088は経口投与可能な可逆的チロシンキナーゼ阻害剤であり、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)エクソン20挿入変異やHER2点変異を含む変異型HER2および変異型上皮成長因子受容体(EGFR)を強力に阻害し、野生型EGFRに対して高い選択性を示します1、2。
肺がんは、世界中でがん関連死亡の主要因となっています3。NSCLCは肺がんで最も多く、85%以上を占めています4。HER2活性化変異は、進行NSCLCの2%~4%に認められます5。現時点で、HER2活性化変異を有する転移性・進行NSCLC患者に対し、米国で本承認された治療薬はありません。
今回の画期的治療薬指定は、HER2またはEGFR遺伝子変異を有する進行NSCLCの成人患者を対象に、BAY 2927088の安全性、薬物動態および予備的有効性を評価した非盲検、多施設共同、ファーストインヒューマンの第Ⅰ相臨床試験(NCT05099172)から得られた予備的な臨床エビデンスに基づいています。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門オンコロジー研究・早期開発責任者のドミニク・リュッティンガーは次のように述べています。「開発中の新規経口チロシンキナーゼ阻害剤BAY 2927088は、前治療の全身療法において進行し、現時点で他に本承認された治療法がないHER2遺伝子変異を有するNSCLC患者さんにとって、有用となる可能性が早期の臨床エビデンスより示されています。今回の画期的治療薬指定は、特異的なゲノムマーカーを特徴とする肺がんの革新的治療薬開発に対し、バイエルの絶え間ない努力における重要なマイルストーンです。BAY 2927088の臨床使用に向けてFDAと緊密に連携し、肺がん患者さんとその主治医へ、効果的な分子標的薬の治療選択肢を提供することを楽しみにしています」
FDAの画期的治療薬指定は、重篤、または生命に関わる疾患や病態を治療する薬剤候補の開発と審査の促進を目的としています。本指定の対象は、予備的な臨床エビデンスに基づき、1つ以上の臨床的に重要な評価項目において既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤です6。
BAY 2927088は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学のブロード研究所とバイエルの長年にわたる戦略的研究提携の成果です。
1. Siegel F, Karsli-Uzunbas G, Kotynkova K, et al, Preclinical activity of BAY 2927088 in HER2 mutant non-small cell lung cancer. [abstract]. In: Proceedings of the American Association for Cancer Research Annual Meeting 2023; Part 1 (Regular and Invited Abstracts); 2023 Apr 14-19; Orlando, FL. Philadelphia (PA): AACR; Cancer Res 2023;83(7_Suppl):Abstract nr 4035.
2. Siegel F, Siegel S, Graham K, et al. BAY 2927088: The first non-covalent, potent, and selective tyrosine kinase inhibitor targeting EGFR exon 20 insertions and C797S resistance mutations in NSCLC. European Journal of Cancer. 2022;174:S9-S10.
3. Sung, H. et al. Global cancer statistics 2020: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J. Clin. 71, 209–249 (2021).
4. Leiter, A., Veluswamy, R.R. & Wisnivesky, J.P. The global burden of lung cancer: current status and future trends. Nat Rev Clin Oncol 20, 624–639 (2023).
5. Stephens P, Hunter C, Bignell G, et al. Lung cancer: intragenic ERBB2 kinase mutations in tumours. Nature 2004;431:525-526.
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2024年3月5日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
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