本資料は3月8日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。

アフリベルセプト8mgの臨床試験データがThe Lancetに掲載

  • アイリーア®8mg(アフリベルセプト8mg)の12週または16週ごと投与は、新生血管(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)患者において、治療1年目(48週目)で標準治療であるアイリーア®2mg(アフリベルセプト2mg)の固定された8週ごとの投与に比べた視力改善において非劣性を示した
  • アイリーア®8mgは、迅速かつ持続的な滲出液のコントロール、標準治療であるアイリーア®2mgと同様の安全性プロファイルを示した治療薬
  • アイリーア®8mgでの投与間隔延長により、患者の治療負担を大幅に軽減し、眼科領域の医療従事者による患者管理を改善させる可能性がある

ベルリン、2024年3月8日 ― The Lancetは、新生血管(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)を対象とした第III相PULSAR試験および糖尿病黄斑浮腫(DME)を対象とした第II/III相PHOTON試験から得られた治療1年目(48週目)のアイリーア®8mg(アフリベルセプト8mg)に関する臨床試験データを掲載しました。

両試験で、月1回複数回投与後、延長した2つの投与間隔(12週または16週ごと)でアイリーア®8mgは、標準治療である投与間隔が8週ごとに固定されたアイリーア®2mgに比べ、48週目の最高矯正視力(BCVA)の変化量が非劣性であることが示され、主要評価項目を達成しました。アイリーア®8mgは、大多数の患者において持続性を示し、77%のnAMD患者および89%のDME患者は、48週間にわたりアイリーア®8mgの16週ごと投与を維持して平均5回の投与を受けました(アイリーア®2mgは固定された8週ごと投与で7~8回投与)。また、12週ごと投与群では、79%のnAMD患者および91%のDME患者が、48週間にわたりアイリーア®8mgの12週ごと投与を維持して平均6回の投与を受けました。アイリーア®8mgの安全性プロファイルは、アイリーア®2mgと一貫していました。

イタリアウディネ大学眼科教授・チェアマンであり、治験運営委員会メンバーであるパオロ・ランツェッタ氏は、次のように述べています。「アイリーア®8mgは、臨床試験で持続的な疾患コントロールをもたらす重要かつ臨床的に意義のあるベネフィットを示しました。投与間隔延長、迅速かつ持続的な滲出液のコントロール、およびアイリーア®2mgと同様の安全性プロファイルにより、特有の視力改善効果の持続を発揮します」

英国ロンドンのムーアフィールド眼科病院の眼科教授兼コンサルタントであり、治験運営委員会メンバーであるソバ・シヴァプラサド氏は、次のように述べています。「網膜疾患患者さんは、頻繁に注射を受け、眼科を受診する必要があるため、治療へのアドヒアランスや継続は依然として重要な課題です。アイリーア®8mgは、投与間隔を延長することで、その疾病負担を軽減する可能性があります。それにより、治療のアドヒアランスや継続が改善され、結果として患者さんの転帰を改善することが期待されます」

PULSAR試験およびPHOTON試験は、アイリーア®8mgと標準治療であるアイリーア®2mgをnAMDおよびDMEの治療薬として比較検討した初めての無作為化実薬対照試験です。
The Lancetで概説されたPULSAR試験およびPHOTON試験の結果は、投与間隔を延長したアイリーア®8mgが48週間にわたりアイリーア®2mgと同様の視力・解剖学的転帰を達成したことを裏付ける有力なエビデンスとなりました。

両試験で、アイリーア®8mg(12週または16週ごと投与)は、標準治療であるアイリーア®2mg(8週ごと投与)に比べ、最高矯正視力(BCVA)の48週目時点におけるベースラインからの平均変化量が非劣性であることが示され、有効性に関する主要評価項目を達成しました。PULSAR試験では、アイリーア®2mg投与群が+7.0文字の改善であったのに対し、アイリーア®8mg 12週ごと投与群は+6.1文字、アイリーア®8mg 16週ごと投与群は+5.9文字の改善でした。PHOTON試験では、アイリーア®2mg投与群が+8.7文字の改善であったのに対し、アイリーア®8mg 12週ごと投与群は+8.1文字、アイリーア®8mg 16週ごと投与群は+7.2文字の改善でした。

また両試験で、視力に加え、解剖学的転帰も副次評価項目として評価されました。PULSAR試験では、アイリーア®8mgの12週ごとおよび16週ごと投与群の併合群では、16週時に中心窩領域の滲出液が認められなかった患者が63%であり、アイリーア®2mg投与群の52%に対して統計学的に有意な滲出液コントロールを示しました。強力な滲出液のコントロール効果は、48週目まで維持されました。

PHOTON試験では、アイリーア®8mg 12週ごと投与または16週ごと投与を受けたDME患者は、48週目の中心網膜厚がアイリーア®2mg投与群と同様に減少(ベースラインからの平均変化量)していたことが認められました。

両試験で、アイリーア®8mgの安全性プロファイルは、アイリーア®2mgと一貫していました。眼内炎症反応が発現した患者数はすべての投与群で少なく、眼内炎および網膜血管炎の発現は報告されていません。アイリーア®2mgに比べ、眼圧上昇の発現割合に差はありませんでした。

PULSAR試験およびPHOTON試験の主な治験依頼者は、それぞれバイエルならびにリジェネロン社でした。

Elyea HD(アフリベルセプト8mg)は、2023年8月に米国食品医薬品庁(FDA)により承認されています。アイリーア®8mg硝子体内注射液114.3mg/mlは、nAMDおよびDMEの治療薬として、EU、英国、日本で承認されています。バイエルは、その他の市場においてもアフリベルセプト8mgの製造販売承認を申請しています。バイエルとリジェネロン社は、アイリーア®8mg(アフリベルセプト8mg)の共同開発を行っています。リジェネロン社はアイリーア®2mg(アフリベルセプト2mg)とElyea HDの米国内での独占販売権を保有しています。バイエルは米国以外での独占販売権を有し、アイリーア®2mgとアイリーア®8mgの利益は両社で均等配分されます。

 

【PULSAR試験およびPHOTON試験について】


PULSAR試験およびPHOTON試験は、無作為化二重遮蔽実薬対照試験です。両試験は、同様の試験デザインおよび評価項目で世界各地の複数の医療機関で実施されました。nAMDを対象とした第III相試験(PULSAR試験)およびDMEを対象とした第II/III相試験(PHOTON試験)では、1か月ごとの複数回投与後に、アフリベルセプト8mgの12週および16週ごとの投与の有効性および安全性を、アイリーア®(アフリベルセプト2mg)の8週ごとの投与と比較検討しました。また、主要評価項目である48週目における最高矯正視力の変化量に関する非劣性を評価しました。2年目の結果は、投与間隔を最長24週まで延長可能な遮蔽期間終了時(96週目)のものであり、それ以降は、156週目まで非遮蔽下で治療を1年間継続することができました。両試験においてベースライン時に、患者は3つの異なる投与群に無作為に割付されました。両試験でアフリベルセプト8mgが1,164例の患者に投与されました。アフリベルセプト8mg投与群のすべての患者は、16週目から試験期間を通して、臨床的な観点から患者の状態に応じた用法変更(DRM)基準を厳格に順守し、継続的に評価されました。アフリベルセプト8mg投与群の患者は、1年目に疾患の増悪に関連したDRM基準を満たした場合、投与間隔を最短8週に短縮することが可能でした。投与間隔の延長は、1年目を超えるまで行うことができませんでした。1年目を超えてからは、アフリベルセプト8mg投与群の患者がDRM基準を満たした場合、投与間隔の短縮または延長が可能でした。両試験ともに試験期間中、すべてのアイリーア®(アフリベルセプト2mg)投与群の患者は、固定された8週ごとの投与間隔を維持しました。PULSAR試験およびPHOTON試験の主な治験依頼者は、それぞれバイエルならびにリジェネロン社でした。
 

【新生血管(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)について】

新生血管(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)は急速に進行する眼の疾患であり、治療を行わずに放置すると、数か月で視力の喪失に至る可能性があります。nAMDは世界中で、回復不可能な失明や視力障害の主な原因の1つとなっています。nAMDは加齢の影響を受ける可能性があります。異常な血管が新生し、中心視力を調節し鮮明な視力を維持するのに深く関わる黄斑下に滲出液が漏出することで起きます。この滲出液は黄斑に傷をつけ損傷させることで、視力低下を引き起こします。世界で1億9,600万人が加齢黄斑変性(AMD)を発症しており、2040年までには2億8,800万人に増加すると予測されています。AMD患者の約10~15%が進行型であるnAMDを発症しています。

DMEは、糖尿病患者によく見られる眼の合併症です。高血糖が眼内の血管を傷つけ、滲出液が黄斑内に漏出することで発症します。視力低下を引き起こし、場合によっては失明に至ります。世界で1億4,600万人が糖尿病網膜症を発症しており、より深刻な疾患であるDMEを引き起こす可能性があります。DMEの患者数は、世界で約2,100万人と推計されています。
 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。


バイエル薬品株式会社
2024年3月11日、大阪

 

将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。