バイエル薬品、統合解析FIDELITYのアジア人集団における「ケレンディアⓇ」の有効性・安全性解析結果を発表

  • 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の適応を持つ唯一の非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬
  • ベースラインの腎障害の程度にかかわらずCKD進行抑制および心血管イベント減少傾向を示す
  • 高カリウム血症による投与中止や急性腎障害の頻度は全体集団と同様

大阪、2024年6月13日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:イン・チェン、以下「バイエル薬品」)は、2型糖尿病を合併するCKD(ただし、末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の適応を持つ唯一の非ステロイド型選択的MR拮抗薬「ケレンディア®」(一般名:フィネレノン)の有効性・安全性について、事前規定された統合解析FIDELITYの日本人を含むアジア人集団を対象とするサブグループ解析の結果をお知らせします。本結果は、6月13~16日に開催されるアジア太平洋腎臓学会(Asian Pacific Congress of Nephrology)2024で発表されました。

ケレンディア®は、2型糖尿病を合併するCKD患者計13,000人以上が参加した2つの大規模臨床試験(FIGARO-DKD、FIDELIO-DKD2)のデータに基づき承認されました。FIGARO-DKD試験は、比較的重症度の低い集団を含むCKD患者が対象である一方、FIDELIO-DKD試験は、比較的進行したCKD患者が対象でした。FIDELITYはこれら2試験の事前規定された統合解析です3

アジア人集団(10カ国・地域)を対象としたFIDELITYの新たなサブグループ解析(事後解析)では、有効性および安全性評価項目の詳細が検討されました。その結果、有効性の解析(対象2,858人)において、腎複合評価項目(腎不全の発症、4週間以上持続するベースライン時点から57%以上の持続的な推算糸球体濾過量[eGFR]、腎臓死)はフィネレノン群105人(2.56%、100人年当たりの発生率)、プラセボ群170人(4.12%、同)に発現し、低下が認められました(HR 0.64; 95%CI 0.50-0.82)。心血管複合評価項目(心血管死または非致死的心血管イベント[非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院])は、フィネレノン群121人(2.85%、同)、プラセボ群138人(3.19%、同)に発現し、低下傾向が認められました(HR 0.90; 95%CI 0.70-1.15)。これらの腎および心血管複合評価項目で観察された傾向は、ベースラインのeGFR(60mL/min/1.73m2未満・60mL/min/1.73m2以上)および尿アルブミン/クレアチニン比(UACR、300mg/gCr未満・300mg/gCr以上)によって変わりませんでした(交互作用のP値は有意ではありませんでした)。

一方、安全性の解析(対象2,854人)において、フィネレノン群での高カリウム血症の発現頻度は全体集団と比較してアジア人集団で高かったものの、血清カリウム値が5.5および6.0mmol/Lを超える頻度は両集団で同様でした。高カリウム血症により投与中止に至る頻度は、アジア人集団および全体集団ともに低率でした(アジア人集団1.5%、全体集団1.7%)。また、急性腎障害の頻度も、アジア人集団および全体集団ともに低率でした(アジア人集団2.1%、全体集団3.4%)。アジア人集団の安全性プロファイルは全体集団と同様でした。

バイエル薬品株式会社カントリーメディカルディレクター・メディカルアフェアーズ&ファーマコビジランス本部長の山中聡は、本解析について次のように述べています。「バイエルでは『Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)』というミッションの実現に向け、患者さんを第一に考え、人々の健康増進に貢献するための取り組みを進めております。今回の解析結果から、日本人を含むアジア人集団において、ベースラインの腎障害の程度にかかわらずフィネレノンが心腎アウトカムを改善させることや、安全性プロファイルは全体集団と同様であることが示唆されました。引き続き私たちは、より多くの患者さんに貢献できるよう努めてまいります」

【ケレンディア®について】
ケレンディア®(一般名:フィネレノン)は、ドイツ・バイエル社が創製した1日1回経口投与の非ステロイド型選択的MR拮抗薬です。ケレンディア®は、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に関与します。ケレンディア®は日本において、2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、厚生労働省より「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。」を効能・効果として2022年3月に承認され、同6月よりバイエル薬品が販売しています。

ケレンディア®の臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、心不全(HF)とCKDをそれぞれ対象とした10件の第Ⅲ相臨床試験で構成されています。CKDのTHUNDERBALLプログラムは、FIDELIO-DKD試験、FIGARO-DKD試験、FIND-CKD試験、FIONA試験、FIONA-OLE試験、FINE-ONE試験、および第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。一方、HFのMOONRAKERプログラムには、FINEARTS-HF試験、REDEFINE-HF試験、CONFIRMATION-HF試験、FINALITY-HF試験が含まれています。

【2型糖尿病を合併するCKDについて】

日本には約1,480万人のCKD患者がいると推定されています4,5。CKDは死に至る危険がありますが、あまり認識されていません。CKDは、糖尿病に起因する最も多い合併症の1つであり、心血管疾患の独立した危険因子でもあります。2型糖尿病患者の最大40%がCKDを発症します。ガイドラインに基づく治療にもかかわらず、2型糖尿病を合併するCKD患者は、CKDの進行および心血管イベント発現のリスクが依然として高いままです。2型糖尿病を合併するCKDは、生存のために透析または腎移植を必要とする末期腎不全の主な原因です。2型糖尿病を合併するCKD患者は、2型糖尿病のみの患者さんよりも心血管系疾患で亡くなる可能性が3倍高くなります6

References:

1. Pitt B, et al. N Engl J Med. 2021 Dec 9;385(24):2252-2263.
2. Bakris GL, et al. N Engl J Med. 2020 Dec 3;383(23):2219-2229.
3. Agarwal R, et al. Eur Heart J. 2022 Feb 10;43(6):474-484.
4. 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
5. Nagai K, et al. Clin Exp Nephrol 2021;25:885–92
6. Afkarian M, et al. J Am Soc Nephrol. 2013;24(2):302-308

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名(2023年)。特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社について

医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎・代謝領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。

 

 

バイエル薬品株式会社
2024年6月13日、大阪

将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。