本資料は1月10日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。
バイエル:開発中のMRI用の造影剤(ガドクアトラン)が第III相ピボタル試験で主要評価項目と主な副次評価項目を達成
- 臨床開発プログラムQUANTIでは、幅広い適応症と小児および成人患者を対象に、開発中のMRI用の造影剤(ガドクアトラン)の有効性と安全性を評価
- QUANTI試験においてガドクアトランは、既存の環状型ガドリニウム造影剤(0.1mmol Gd/kg)との比較において、ガドリニウム用量を60%低減した投与量で造影効果の評価項目を達成
ベルリン、2025年1月10日 - 画像診断領域のリーディングカンパニーとしてドイツ・バイエル社は、磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)用に開発中の環状型ガドリニウム造影剤(GBCA)、ガドクアトランの有効性および安全性を評価する第III相ピボタルQUANTI試験の良好なトップライン結果を発表しました。すべてのQUANTI試験では、ガドクアトランを0.04mmol Gd/kgの用量で検討しました。これは、0.1mmol Gd/kgで投与される既存の環状型GBCAsに比べガドリニウムの用量において60%の低減になります。ガドクアトランは、すべてのQUANTI試験の主要評価項目および主な副次評価項目を達成しました。
臨床開発プログラムQUANTIは、成人患者を対象とした2つの第III相試験、QUANTI CNS試験(中枢神経領域が対象)およびQUANTI OBR試験(その他の身体領域が対象)に加え、あらゆる身体領域における生後から18歳未満の小児患者を対象とした薬物動態と安全性を評価するQUANTI Pediatric試験から構成されています。
QUANTI CNS試験およびQUANTI OBR試験では、ガドクアトラン(0.04mmol Gd/kg)を使用したMRI検査において、既知または疑われる疾患の描出および検出能力を、造影剤を投与しない場合および既存の環状型GBCAs(0.1mmol Gd/kg)を使用した場合のそれぞれに対して比較検討しました。トップラインの結果では、ガドクアトランが描出パラメータと病変検出を評価する試験の主要評価項目および主な副次評価項目を達成したことが示されました。QUANTI Pediatric試験の結果では、小児におけるガドクアトランの薬物動態は成人と同様であることが示されました。
QUANTI試験における成人および生後から18歳未満の小児患者の安全性プロファイルは、ガドクアトランおよび他の環状型GBCAsに関するこれまでのデータと概ね一致していました。新たな安全性に関する懸念は認められませんでした。
ドイツのボン大学病院の主任研究員ジュリアン・A・ロートケンス教授は次のように述べています。「造影剤を使用したMRIは重要な診断ツールであり、特にがん、心血管疾患、中枢神経系関連疾患などの重篤な疾患の可能性がある患者さんに対する治療方針を決定するうえで重要です。」「臨床開発プログラムQUANTIは、臨床現場における患者さんへの低用量のガドリニウム投与を模索するうえで重要なステップであり、臨床試験において対照薬である既存の環状型GBCAsと非劣性の有効性を示しています。低用量の投与は、造影MRI検査を繰り返し行う必要のある患者さんや、小児患者などの脆弱な集団にとって特に重要です。」
ドイツ・バイエル社ラジオロジー研究開発部門の責任者であるコンスタンツ・ディーフェンバッハ医師は次のように述べています。「画像診断領域のリーディングカンパニーとして、私たちはガドリニウムの用量を低減する可能性のある選択肢を含め、患者さんの利益となるような技術革新を推進することにコミットしています。」「QUANTI試験のトップラインの結果が良好であったことを嬉しく思います。また、このデータをサイエンティフィック・コミュニティと共有できることを楽しみにしています。」
バイエルは、QUANTI試験の結果を含む包括的なデータパッケージを世界各国の保健当局に提出し、販売承認の取得を目指します。
【ガドクアトランの第III相臨床開発プログラムについて】
臨床開発プログラムQUANTIは、2つの大規模多施設共同、無作為化、前向き二重盲検、クロスオーバー第III相試験(QUANTI CNS試験およびQUANTI OBR試験)とQUANTI Pediatric試験から構成されています。合計で15か国の808人の患者がこのプログラムに参加しました。
QUANTI CNS試験では、造影MRI検査を受ける中枢神経系の疾患が既知またはその可能性が高い成人患者を対象に、ガドクアトランの有効性および安全性を評価しました。 脳腫瘍、転移性脳腫瘍、多発性硬化症などの一般的な中枢神経系疾患では、診断と治療方針の決定においてMRIが重要な役割を果たします。
QUANTI OBR試験では、頭頸部、胸部(乳房および心臓を含む)、腹部、骨盤、四肢、および磁気共鳴血管造影(MRA)による血管を含む、あらゆる身体領域における造影MRI検査におけるガドクアトランの有効性および安全性を評価しました。
QUANTI Pediatric試験では、造影MRI検査を受ける生後から18歳未満の小児を対象に、ガドクアトランの薬物動態と安全性を評価しました。
第III相臨床開発プログラムの設計と投与量は、ガドクアトランの有効性および安全性を評価する第II相試験で得られた、体重1kgあたり0.04mmolのガドリニウム投与量における良好なデータに基づいて行われました。第II相試験は、造影MRI検査のために紹介された中枢神経系病変が既知または強く疑われる成人患者を対象として盲検読影を行う、ガドクアトラン単回静脈内投与の多施設共同、単盲検、用量設定試験でした。
【ガドクアトランについて】
ガドクアトランは、バイエルが開発中のMRI用の環状型細胞外液性造影剤です。このガドリニウム造影剤は、高い緩和能および安定性を有する四量体構造が特徴とされています。
【MRIについて】
世界中で年間推定6,500万件の検査が行われている※造影MRIは、医療の継続において重要な役割を果たしています。造影MRIは、放射線を使用することなく非侵襲的に身体の詳細な画像が得られる検査で、臓器や組織内の異常の鑑別や同定に役立ち、病変の検出、特性評価や経過観察において医師による医学的判断を支援します。
※IQVIA, Contrast Media Industry Group and Clarivateなどの社内外のデータに基づく
【バイエルの画像診断領域について】
画像診断領域で100年以上の歴史をもつ真のライフサイエンス企業として、バイエルは医療の効率化と最適化に向けて革新的な製品から高品質なサービスまで、効率的で最適化された患者ケアをサポートする優れた製品を提供することに注力しています。バイエルは、コンピューター断層撮影(CT)、X線撮影、および磁気共鳴画像診断(MRI)用の造影剤の主要なポートフォリオを提供しています。また、造影剤を正確に投与するための自動注入装置、インフォマティクス・ソリューション、人工知能(AI)を含めた各種アプリケーションを活用することができる医用画像診断プラットフォームも提供しています。バイエルの画像診断製品の売上高は、2023年時点で約20億ユーロでした。バイエルは研究開発に非常に力を入れており、AIの活用や医用画像の革新を推進しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎・代謝領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook, YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2025年1月15日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。