バイエル製品が生み出される工場は、安定的なビジネスを継続していくうえで重要な拠点です。一方、世界的に環境負荷低減が進められる中で、特にSDGs(持続可能な開発目標)の目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献すべく、具体的な目標を掲げて温室効果ガス削減を目指しています。目標達成に向け、バイエルの医薬品の製造拠点である滋賀工場においてチーム一丸となり温室効果ガス削減に取り組む一宮善和さん、上西宣輝さんにサステナビリティ推進にかける想いについて聞きました。

滋賀工場チームのお写真

左から
エンジニアリング インフラストラクチャーサービス
リード 上西 宣輝さん
エンジニアリング インフラストラクチャーサービス
一宮 善和さん

―サステナビリティの推進に向けて、滋賀工場が掲げている目標や具体的な取り組みについて聞かせてください。

バイエルグループの医薬品の製造拠点として重要な役割を担う滋賀工場では、原料の秤量から医薬品の包装までを一貫して行う生産体制を確立しています。また、日本市場の特性に適した革新的な製剤や包装設計を行う開発体制も備えています。そのため、日本の患者さんのニーズに沿った医薬品づくりを国内で行うことができ、期待に応える製品をお届けすることが可能となっています。

 

一方で、世界的に環境負荷低減の取り組みが進められる中でバイエルにおいても、2029年までに2019年と比較して、温室効果ガス排出量の42%削減を目指しています。これは滋賀工場や国内拠点のみならず、バイエルが世界各国の拠点と協働して達成を目指す共通目標となっています。滋賀工場では具体的な活動として、工場敷地内に太陽光パネルを設置し電力を自家消費する「オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)」の導入や、冷凍機システムの効率化などに取り組んでいます。

 

製薬企業として医薬品の安定供給に努めるのはもちろんのこと、人々が健康的に安心して生活できる環境づくりに貢献するため、温室効果ガス削減をはじめとするサステナビリティ活動にも積極的に取り組むことが、バイエル薬品のミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」の具現化につながると考えています。

―滋賀工場に導入されたオンサイトPPAとは、どのような設備ですか?また、実際に稼働するまでに直面した課題について聞かせてください。

滋賀工場では、2024年7月より工場敷地内に太陽光パネルを設置し電力を自家消費する「オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)」を導入しました。滋賀工場で使用する電力の約10%をオンサイトPPAがまかない、年間約300トンの温室効果ガス削減を目標に掲げています。電力の使用量や温室効果ガスの削減量は、工場の食堂が入っている建物1階ホールに設置しているデジタルサイネージで確認できるため、工場で働くすべての社員が常に取り組み状況を確認、意識しながら日々の業務にあたっています。

オンサイトPPA、デジタルサイネージの写真

一方、オンサイトPPAが実際に稼働するまでにはさまざまな課題がありました。たとえば、太陽光パネル設置工事を行うには、年に一度、点検のために工場の稼働を停止するタイミングに合わせる必要があります。しかし、昨今の社会情勢の影響を受け、必要な資材や人員が不足していたことにより、工場停止スケジュールとさまざまなタイムラインの調整が困難でした。また、設置後もパネルのメンテナンスや防火のための安全点検が欠かせません。しかし、青空の下に広がる太陽光パネルが力強くエネルギーを生み出している様子を目にして、課題を乗り越え稼働までこぎつけたことがチームにとって大きな自信につながりました。

―省エネを推進するため、滋賀工場ではその他にどのような取り組みをしていますか?

滋賀工場チームの会議風景

医薬品の製造拠点では、温度や湿度の管理が重要であり、工場で最も多くのエネルギーを使用します。なかでも、冷水をつくるための冷凍機は多くのエネルギーを必要とします。そこで、OE(Operational Excellence)改善活動による流量計による冷水流量調整、インバーターの適正運転、システム全体の効率化を進めることが省エネルギー(省エネ)につながります。たとえば、効率の低い機械を動かさないようにするため蓄熱システムの切り替え操作をかつては夜間に人を介して行っていましたが、過去のデーターから運転切替しても問題ない条件を見出し、無人で切り替えできるよう制御回路を改造。最も効率の良い運転をすることに成功し、省エネのみならずリソースの観点からも効率化を図ることができました。そのほか、劣化設備の更新による省エネにも取り組んでいます。

 

※電圧や周波数を変えることでモーターの回転を制御、省エネルギー効果をもたらすことも可能な装置

―滋賀工場のどのような特徴がサステナビリティの推進を支えているのでしょうか?

滋賀工場では、月1回、「省エネ推進委員会」を開いており、進捗や課題の共有のみならず、より良い活動の推進に向け新たなアイデアや情報を持ち寄りディスカッションしています。滋賀工場では長年、トップダウンではなく、個々の社員のオーナーシップを尊重するカルチャーがあり、年齢、勤続年数、ポジションなどにとらわれず、自由に意見交換する雰囲気があることが、日々の業務のみならずサステナビリティ活動の推進にも良い影響をもたらしていると感じています。今後も、工場で働くすべての社員がより一層、サステナビリティを意識するだけでなく、これまで以上にメールや会議などでアイデアや意見を積極的に共有し、実際の活動に生かす機会を増やしたいと考えています。

バイエル薬品 滋賀工場について

滋賀工場の外観写真

バイエル薬品 滋賀工場では、日本の皆さまの健康増進に寄与するため、革新的医薬品を高品質でお届けしています。患者さんに必要とされる医薬品の安定供給を使命とし、医薬品の品質のみならず服用のしやすさも追求し、たゆまぬ努力を重ねて日々の生産に従事しています。

 

バイエル薬品滋賀工場 品質への取り組み

*取材した社員の所属・役職の表記は取材当時のものです。