眼科領域(網膜疾患)にフォーカスした取り組み
網膜疾患は、世界人口の高齢化と増加に伴い、世界的に大きな健康問題となっています。WHOの報告によると、現在少なくとも10 億人が、防ぐことができたか、まだ対処できていない視力障害を抱えて生活していると推定しています1。
さらに世界では現在1億9600万の人々が、高齢化が進む日本においても約70万もの人々が、加齢黄斑変性とともに生活しているといわれています1,2。病気が進行すると視力の低下、物がゆがんで見える、視野の一部が欠けるなどの症状が表れ、日常生活に大きな影響を及ぼします。
バイエルとリジェネロンが共同で取り組み開発した眼科用VEGF阻害剤は、2011年加齢性黄斑変性治療薬として米国で初めて承認、その後糖尿病黄斑浮腫などにも適応が拡大され、これまでに110カ国以上の国・地域で患者さんの治療に貢献しています。
加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫などの網膜疾患の治療法はレーザー照射や手術、薬剤とレーザーを併用する治療法などがありましたが、薬剤を硝子内注射して黄斑の新生血管や浮腫を退縮させる抗VEGF療法が行われるようになり、症状の悪化を抑えるだけでなく、視力の改善も見られるまでに進歩しています。
さらにバイエルは抗VEGF療法による硝子体内投与を必要とされる患者さんおよび医療従事者のアンメットニーズを満たす、投与間隔の延長と投与回数の減少を実現する薬剤を開発し提供しています。持続可能な疾患コントロールを実現することで、投与間隔を延長するとともに患者さんの負担を軽減することができ、これらの疾患の新たな標準治療薬となることが期待されています。
患者数の増加が予測される「新生血管(滲出型)加齢黄斑変性」
新生血管(滲出型)加齢黄斑変性(nAMD)は急速に進行する眼の疾患であり、治療を行わずに放置すると、数か月で視力の喪失に至る可能性があります。nAMDは世界中で、回復不可能な失明や視力障害の主な原因の1つとなっています。nAMDは加齢の影響を受ける可能性があります。異常な血管が新生し、中心視力を調節し鮮明な視力を維持するのに深く関わる黄斑下に滲出液が漏出することで起きます。この滲出液は黄斑に傷をつけ損傷させることで、視力低下を引き起こします。世界で1億9,600万人が加齢黄斑変性(AMD)を発症しており、2040年までには2億8,800万人に増加すると予測されています。AMD患者の約10~15%が進行型であるnAMDを発症しています。
糖尿病網膜症の合併症として深刻な糖尿病黄斑浮腫
糖尿病黄斑浮腫(DME)は、糖尿病網膜症の合併症として黄斑部がむくむ病気です。糖尿病患者によく見られる眼の合併症です。高血糖が眼内の血管を傷つけ、滲出液が黄斑内に漏出することで発症します。視力低下を引き起こし、場合によっては失明に至ります。世界で1億4,600万人が糖尿病網膜症を発症しており、より深刻な疾患であるDMEを引き起こす可能性があります。DMEの患者数は、世界で約2,100万人と推計されています。
1)WHO. 2019. World Report on Vision. Available at: https://www.who.int/publications-detail/world-report-on-vision.
2)Yasuda M et.al. Ophthalmology 2009;116: 2135-2140
PP-PF-OPHT-JP-0033-27-11