オンコロジー(がん)にフォーカスした取り組み
現在、世界中で5,000万人以上ががんを患っており、その数は増加し続けています(2050年までにがん発生率は77%上昇するとされています)1。科学面、環境面、人口動態面での変化により、今までよりも若い世代および疾患の早期で診断される患者さんが増えつつあります。患者さんの治療期間が長期化することが多くなり、副作用や薬剤耐性が今まで以上に問題となることがあります。
バイエルには、がんと共に生きる人々の生活の改善と生存期間の延長に役立つ新薬を開発する情熱と決意があります。バイエルは革新的なプレシジョン・オンコロジー治療薬に注力しており、さらに有効性と忍容性を兼ね備えた「より患者さんに優しい」医薬品の開発を目指しています。
バイエルは、腫瘍固有経路、標的アルファ線治療、次世代腫瘍免疫学、ケモプロテオミクスなどの分野で豊富な専門知識を有し、これら領域において次世代がん治療薬のパイプラインを構築しています。また副作用を抑えながら生存期間を延長することを目標に、早期から進行期までの前立腺がん治療を推進しています。
日本でも患者数が急増している前立腺がん
前立腺がんは、男性特有の臓器である前立腺に発生するがんで男性ホルモン(アンドロゲン)の刺激により増殖する悪性腫瘍の1つです。前立腺がんは欧米人に非常に多いがんとして知られていましたが、近年は日本でも患者さんの数が急増しています。前立腺がんの罹患数は、日本人男性がかかるがんの第1位となり2、約9人に1人の男性が生涯で前立腺がんにかかると推定されています。多くの場合比較的ゆっくり進行し、早期に発見して適切な治療を行えば、完治を目指すことも可能です。
前立腺がんは、進行すると精のうや膀胱、直腸など周囲の組織に浸潤することがあります。また、リンパ節や骨、さらに肺、肝臓、脳などに転移することもあります。前立腺がんが少し進んだ状態で見つかっても、治療法が進歩した現在では、多数の選択肢から治療法を選ぶことができるようになっています。前立腺がんで命を落とさないためにも、50歳になったら定期的に前立腺がん検診を受けることが大切です。
神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌
トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)融合を有するがんは、NTRK遺伝子が別の遺伝子と融合し、通常とは異なるTRKタンパク質を生じることで発生します。TRK融合タンパク質は、体内の発生部位にかかわらず、がん患者のがんの増殖を促進する発がん性ドライバーとして作用すると考えられます。TRK融合のあるがんは、様々ながん種で異なる頻度で発生しますが、一般的には稀であると考えられています。
現在、トロポミオシン受容体キナーゼ阻害剤などのがんの増殖を促す分子を直接標的とした治療により、腫瘍の種類や患者さんの年齢にかかわらず、治療成績を改善する可能性を有しています。
バイエルのオンコロジーフランチャイズには、さまざまな適応症を持つ複数の製品と、臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物があります。
1 GLOBOCAN 2022: Latest global cancer data shows rising incidence and stark inequities | UICC
2 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録)
バイエルの次世代がん治療薬のパイプライン
腫瘍固有経路:
腫瘍固有経路は、腫瘍の分子および細胞特性を考慮し、個々の患者に合わせた、最終的により効果的な治療法の開発を可能にする治療パラダイムです。バイエルでは、がんの発生と生存に関与する細胞内腫瘍シグナル伝達経路を標的としています。
標的アルファ線治療(TAT):
TATとは、体内の腫瘍に直接アルファ線を照射する新しいがん治療法です。この分野のパイオニアかつリーダ
ーであるバイエルは、2013年に前立腺がん患者さんに対する標的放射性核種療法を承認取得した初めての企業であり、TAT治療法における世界的な開発、製造、および商業化における卓越性を実証しました。
バイエルが開発中の標的α療法のポートフォリオには、アルファ放出核種を抗体、ペプチド、低分子などの異なる標的部分と組み合わせる新しいターゲティングアプローチが含まれており、複数のがんの適応症での使用を目的としています。
次世代腫瘍免疫学(IO):
免疫系を活性化して腫瘍細胞を死滅させることを目的としています。免疫療法は、高度に進行したがんにおいても非常に有効であることが示されています。 承認されたIO治療で持続的な効果が得られる患者はわずか20%程度であることから、この分野には大きな成長の可能性があると考えています。バイエルでは、がん免疫サイクルのさまざまな段階に関与する次世代のIOアプローチを開発し、患者の免疫システムをサポートすることで、体内からがんと闘う手助けをしています。
ケモプロテオミクス:
バイエルは、プラットフォーム企業であるVividion社を介して、従来では創薬不可能とされていた新たな治療法を開発しています。バイエルは、弊社の低分子化合物R&Dにおける専門性と合わせて、高いアンメットメディカルニーズが存在するがんの適応でファーストイン・クラスの可能性のある新規化合物を開発しています。
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