本資料は3月23日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.press.bayer.comをご参照ください。
バイエル 前立腺癌を対象とするダロルタミドのグローバル臨床プログラムを拡大
- ベースライン時に従来の画像診断で転移のエビデンスがなく、PSMA PET/CTが陽性であった生化学的再発(BCR)のリスクが高い患者を対象に、ホルモン感受性前立腺癌の第III相試験であるARASTEP試験を開始
- アンドロゲン受容体阻害剤(ARi)ダロルタミドの5番目の主要臨床試験で、早期から転移期の前立腺癌が対象
ベルリン、2023年3月23日 ― バイエルは、前立腺癌を対象とする経口アンドロゲン受容体阻害剤(ARi)であるダロルタミドのグローバル臨床開発プログラムをさらに拡大します。今回の新たな第III相臨床試験であるARASTEP試験では、ベースライン時に従来の画像診断で転移のエビデンスがなく、PSMA PET/CT陽性だった生化学的再発(BCR)のリスクが高いホルモン感受性前立腺癌患者さんを対象として、ダロルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)の有効性をADT単独と比較検討します。BCRは、一次治療(手術または放射線療法)後の前立腺特異抗原(PSA)倍加時間が12カ月未満と定義します1,2。ダロルタミドは、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌および遠隔転移を有する前立腺癌患者さんの治療薬としてニュベクオ®の商標名で既に承認されています。バイエルは、ニュベクオのピーク売上高が30億ユーロを超えると推定しています。
ドイツ・バイエル社のシニア・バイス・プレジデント、オンコロジー開発責任者であるTara Frenkl, M.D.は次のように述べています。「手術または放射線療法後にPSA値が上昇している多くの患者さんでは、転移が発生するリスクが高くなります。私たちはARASTEP試験により、より早期の患者さんを支援できる可能性に期待しています。ダロルタミドは既に、第III相ARAMIS試験で転移発生のリスクが高い非転移性去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)に対して、第III相ARASENS試験で遠隔転移を有するホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)に対して有効性と安全性を示しています。私たちの目標は、可能な限り多くの患者さんがこの治療法からベネフィットを得られるようにすることです。より早期の病期においてダロルタミドの可能性を引き続き評価していきます」
本試験はダロルタミドの頑健な臨床開発プログラムの一部です。本化合物については海外で、遠隔転移を有するホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)を対象としてダロルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)の併用療法とADT単独とを比較評価する第III相試験であるARANOTE試験や、再発の可能性が非常に高い限局性前立腺癌の術後補助療法としてダロルタミドを評価するオーストラリア・ニュージーランド泌尿生殖器・前立腺癌治験グループ(ANZUP)が主導する国際第III相共同グループDASL-HiCaP(ANZUP1801)試験など、さまざまな病期の前立腺癌を対象としたさらなる試験での検討も進められています。
ダロルタミドは、バイエルと、フィンランドを拠点としたグローバル製薬企業であるオリオン・コーポレーションが共同で開発を行っています。
【ARASTEP試験について】
ARASTEP試験は、ベースライン時に従来の画像診断で転移のエビデンスがなく、PSMA PET/CT陽性であった生化学的再発(BCR)のリスクが高いホルモン感受性前立腺癌患者さんを対象として、ダロルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)をプラセボ+ADTと比較検討する、第III相無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験です。本試験の主要評価項目は、独立中央審査により評価されたPSMA PET/CTにより測定される放射線学的無増悪生存期間(rPFS)です。本試験には約750人の患者さんを登録する予定で、ADTに加えて標準治療であるダロルタミド600 mgを1日2回投与するダロルタミド群と、ADTに加えてプラセボを投与するプラセボ群に無作為に割り付けます。
【ホルモン感受性前立腺癌と生化学的再発(BCR)について】
前立腺癌は世界の男性における癌の中でも2番目に多く、2020年には世界で推定140万人が前立腺癌と診断され、およそ37万5千人が死亡しました3。
ホルモン感受性前立腺癌は、増殖にアンドロゲン(男性ホルモン)を必要とする前立腺癌の一種で、アンドロゲンが存在しないと増殖が止まります。早期前立腺癌のほぼすべてがアンドロゲン依存性です4。
前立腺癌患者さんの最大50%で、一次療法(手術および/または放射線療法)後に血中前立腺癌特異的抗原(PSA)値の上昇が発現します5。この病態を生化学的再発(BCR)といいます。生化学的再発を有する前立腺癌患者さんに対する現在の治療選択肢には、根治を目的とする前立腺切除術があります。これらの治療が無効であった場合、アンドロゲン遮断療法(ADT)が病勢コントロールのための選択肢となります2。
【ダロルタミド(ニュベクオ®)について】
ダロルタミドは、経口で投与するアンドロゲン受容体阻害剤(ARi)で、受容体と高い親和性で結合し、強力な阻害作用を発揮する独自の化学構造を持っています。ダロルタミドが血液脳関門を通過する可能性が低いことは、非臨床モデルおよび健康なヒトを対象とした神経画像データにより裏付けられています。これは、第III相ARAMIS試験で認められたように、中枢神経系(CNS)に関連した有害事象(AE)の発現率がプラセボと比較して全般的に低いことと6、第II相ODENZA試験のダロルタミド群で認められた言語学習および言語記憶の改善によって裏付けられています7。
本製品は、ニュベクオ®の商標名で、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌患者さんの治療薬として世界80カ国以上で承認されています。また、米国、日本、中国、EUなどのいくつかの市場では、遠隔転移を有する前立腺癌患者さんの治療薬としても承認されています。その他の国や地域の規制当局に対する製造販売承認は、申請中または申請予定です。
出典:
1. Simon NI, Parker C, Hope TA, Paller CJ, Best Approaches and Updates for Prostate Cancer Biochemical Recurrence. Am Soc Clin Oncol Educ Book. 2022 Apr;42: 1–8.
2. Fakhrejahani, F., Madan, R.A. & Dahut, W.L. Management Options for Biochemically Recurrent Prostate Cancer. Curr. Treat. Options in Oncol. 2017;18 (26).
3. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA: A Cancer Journal for Clinicians. https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.3322/caac.21660. Accessed March 2023.
4. National Cancer Institute. NCI Dictionary of Cancer Terms. Hormone-sensitive prostate cancer. https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/hormone-sensitive-prostate-cancer. Accessed March 2023.
5. Lin X, Kapoor A, Gu Y, Chow MJ, Xu H, Major P, et al. Assessment of biochemical recurrence of prostate cancer (Review). Int J Oncol. 2019 Dec;55(6):1194-212.
6. Fizazi, K et al. Darolutamide in Nonmetastatic, Castration-Resistant Prostate Cancer. N Engl J Med. 2019; 380:1235–1246.
7. Colomba et al. Objective computerized cognitive assessment in men with metastatic castrate-resistant prostate cancer (mCRPC) randomly receiving darolutamide or enzalutamide in the ODENZA trial. Ann Oncol. 2021; 32(5): S646-S647.
バイエルにおける前立腺癌について
バイエルは、革新的治療薬のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」を実現できるよう取り組んでいます。バイエルは熱意と決意をもって、癌と共に生きる人々の生活を向上し、生存期間を延長できるような新規医薬品の開発に取り組んでいます。前立腺癌は男性において2番目に多い癌であり3、バイエルの主要な重点疾患領域でもあります。バイエルの製品フランチャイズには、上市した2種類の製品(ニュベクオ®およびゾーフィゴ®)と、標的α線治療におけるユニークなアプローチを含む開発段階の化合物が複数あります。バイエルは、前立腺癌のさまざまな病期を通して生存期間を延長する治療薬を提供し、患者さんが毎日の活動を継続し、より良い人生をより長く生きられるよう、前立腺癌患者さん特有のニーズに対応することに注力しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエルのビジョンについて
世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というビジョンの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2023年4月4日、大阪
将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)
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