新たな欧州心臓病学会心不全臨床コンセンサスステートメントがベルイシグアト(ベリキューボ®)を心不全増悪イベント後に推奨

  • 新たなコンセンサスステートメントは心不全増悪イベント後の左室駆出率(LVEF)45%未満の症候性患者に対して「治療の柱」と並びベルイシグアトを推奨1
  • 欧州心臓病学会(ESC)心不全協会(HFA)による初の心不全増悪管理に関する臨床コンセンサスステートメント
  • ベルイシグアトは心不全増悪イベント後の心血管死または心不全による初回入院の複合リスクを有意に減少

 

大阪、2023年7月19日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)は、ESC HFAの新しい臨床コンセンサスステートメントにおいて、心不全増悪イベント後のLVEF45%未満の症候性心不全患者では「左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)治療の4本柱」に、慢性心不全治療剤ベリキューボ®錠(一般名:ベルイシグアト)の追加が推奨されたことをお知らせします。ベリキューボ®錠は成人HFrEF患者において、心血管死または入院のリスクを低下させる可能性があることが、同コンセンサスステートメントで提言されました。

 

心不全の既往患者では心不全増悪イベントにより、心不全の兆候や症状が悪化し、治療の強化が必要となります。ESC HFAガイドラインで推奨されている4剤併用療法(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬[ARNI]/アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、ベータ遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]、ナトリウム・グルコース共輸送体[SGLT]2阻害薬)を受けていても、心不全増悪イベントや死亡のリスクは残っており、ベリキューボ®錠のような追加治療の必要性が指摘されています。心不全患者は平均して1年に1回入院し、心不全増悪が起こるたびに心機能は悪化します2。治療の進歩にもかかわらず、心不全と診断された患者さんの約30%は1年以内に亡くなります3

 

ESC HFAの新しい臨床コンセンサスステートメントは、同学会が発行した初めての心不全増悪に特化したステートメントです。心不全増悪は医療制度にとって大きな負担であり1、心不全増悪イベントの発症抑制は心不全治療の重要な目標です。心不全増悪イベントの後、患者さんの56%が30日以内に再入院しています4

 

ベリキューボ®錠は、心不全の適応症で承認された初の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤です。ガイドラインで推奨されているほかの治療薬とは異なる作用機序を有し、慢性心不全に対して追加の選択肢を提供します。ベリキューボ®錠は、心不全増悪イベント後の左室駆出率が低下した症候性慢性心不全患者の治療に、海外のガイドラインで推奨されています1,5,6。ベルイシグアトはMerck & Co., Inc, Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)と共同開発されています。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門心臓病メディカルアフェアーズのラース・シュヴィヒテンベルグは次のように述べています。「心不全の増悪は、疾患の進行や入院を繰り返すという負のスパイラルの始まりであり、再発抑制のために患者さんのケアを再評価する重要な機会となります。今回のESC HFAの新たなコンセンサスステートメントでは、ベルイシグアトがハイリスク患者集団における入院や死亡のリスクを低下させることが臨床データで示されていることから、心不全増悪イベント後の適切な患者にベルイシグアトを用いるべきと評価されています」

【ベリキューボ®錠について】

ベリキューボ®錠2.5mg、5mg、10mgは、1日1回経口投与のsGC刺激剤であり、sGCは一酸化窒素(NO)のシグナル伝達経路に重要な役割を果たしています。NOとsGCが結合すると触媒作用によって細胞内の環状グアノシン一リン酸(cGMP)が合成され、セカンドメッセンジャーとして血管緊張や心筋収縮、心臓リモデリングを制御する役割を担います。NOの産生能低下およびsGC活性低下が、心筋や血管の機能不全の原因と考えられ、心不全との関連が示されています。ベリキューボ®錠はNOと独立、かつ相乗的にsGCを直接刺激することで、細胞内cGMPの産生レベルを高めます。日本では、「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果として2021年6月に厚生労働省より承認され、バイエル薬品が同年9月より販売しています。

 

【バイエルとMSDの全世界における提携】

2014年10月より、バイエルとMerck & Co., Inc, Rahway, NJ, USA(米国とカナダ以外ではMSD)はsGCモジュレーター領域において世界規模で提携しています。両社はアンメット・メディカル・ニーズが高い領域で広くsGCモジュレーターによる治療の可能性を評価します。ベルイシグアトプログラムは、バイエルとMerck & Co., Inc, Rahway, NJ, USAが共同で開発を行っています。Merck & Co., Inc, Rahway, NJ, USAがベルイシグアトの米国内における販売権を有し、バイエルが米国以外の国における独占的販売権を有します。ベルイシグアトの開発費は両社で等分に負担しています。

References:

1. Metra M et al. EJHF. 2023 https://doi.org/10.1002/ejhf.2874
2. Groenewegen A, et al. EHJ. (2020) 22, 1342–1356
3. Virani SS et al. Circulation. 2021 Feb 23;143(8):e254-743
4. Butler J, et al. J Am Coll Cardiol. 2019;773(8):935-944
5. Heidenreich PA, et al. Circulation. 2022;145:e895–e1032
6. McDonagh TA et al. Eur Heart J 2021;42:3599–3726

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、「Science for a better life」をお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメット・メディカル・ニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は507億ユーロ、従業員数は約101,000名(2022年)。特別項目計上前の研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエルのビジョンについて

世界中のバイエル社員は、「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」というビジョンの実現に向け、革新的な製品とサービスを通じて、医療と食糧へのアクセス向上に貢献しています。私たちは、飢餓をなくし、すべての人々が健康的な生活を送れるよう疾病の予防、緩和、治療を支えると同時に、持続可能な農業と生態系の保護を目指しています。詳細はwww.bayer.jpをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社について

医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎臓領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社
2023年7月19日、大阪

将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述(Forward-Looking Statements)が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。