- ESCガイドラインは2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者にフィネレノンおよび/またはナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬による治療をクラスⅠエビデンスレベルA(ⅠA)で推奨1
- フィネレノンは2型糖尿病を合併するCKD患者の心不全(HF)による入院リスク低下にもⅠAで推奨2
- 2型糖尿病を合併するCKD患者は2型糖尿病患者と比べ心血管系の原因で亡くなる可能性が3倍高い3
大阪、2023年9月15日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:フリオ・トリアナ、以下「バイエル薬品」)は、ESCが発表した2件のガイドラインに、2型糖尿病を合併するCKDの治療薬である非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)ケレンディア®が、いずれもⅠAで推奨されたことをお知らせします。
糖尿病患者における心血管疾患の管理に関するESCガイドライン2023年版では、2型糖尿病を合併するCKD患者に対し、標準治療への上乗せにより心血管系と腎不全のリスクを低下させることが反映され、フィネレノンおよび/またはSGLT2阻害薬による治療がⅠAとして推奨されました1。また、同ガイドラインは糖尿病患者に対し、推算糸球体濾過量(eGFR)と尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を測定することにより、CKDのスクリーニングを少なくとも年1回行うことを推奨しています1。さらに、急性・慢性HFの診断と治療に関するESCガイドライン2021年版のフォーカスアップデート版では、2型糖尿病を合併するCKD患者のHFによる入院リスクの低下に関し、フィネレノンがⅠAとして推奨されました2。
ESCガイドラインの定義において、ⅠAの推奨は、当該治療が有益・有効であることを証明するエビデンスが存在する、またはコンセンサスが形成されているとともに、複数の無作為化臨床試験またはメタ解析から得られたデータがエビデンスになっていることを意味します。
フィネレノンに対するESCガイドラインの推奨は、心腎アウトカムを検討したこれまでで最大規模の第Ⅲ相臨床試験プログラムを構成する第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDに基づいています。これら2試験には、早期から進行したCKD患者を含め、世界中の2型糖尿病を合併する幅広い重症度のCKD患者15,000人以上が無作為割り付けされました。本プログラムでは、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、心血管死、非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、HFによる入院の発現率低下、また、腎不全および腎疾患の進行抑制に関し、標準治療に上乗せしたときのフィネレノンの有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。
ケレンディア®は日本において、2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、厚生労働省より「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く」を効能・効果として2022年3月に承認され、同6月よりバイエル薬品が販売しています。
かわぐち心臓呼吸器病院副院長の佐藤直樹先生は次のように述べています。「2型糖尿病を合併するCKDの患者さんが高い心血管リスクを有していることを認識すべきです。2型糖尿病とCKDを合併している患者さんは、CKDを合併しない2型糖尿病の患者さんと比較して、心血管系が原因で亡くなる可能性が少なくとも3倍高くなります。その際、eGFRだけでなく、尿中アルブミンの定量をしっかり行うことが大切です。治療法を選択する際には、CKDの進行を遅らせるだけでなく、心血管リスクを低下させることができるかが重要になります。この点がESCガイドラインに反映されたことは、今後の2型糖尿病を合併するCKD患者のマネジメントにおいて重要です」
ドイツ・バイエル社チーフメディカルオフィサーで、医療用医薬品部門メディカルアフェアーズ&ファーマコビジランス責任者のマイケル・デヴォイは次のように述べています。「ESCによるこれらの推奨をうれしく思います。2型糖尿病を合併するCKDの患者さんのHFによる入院リスクを低下させる可能性を含め、心血管系だけでなく腎臓に対するフィネレノンの有用性が認められました。これらの最新ガイドラインは、臨床試験から得られた最新のエビデンスに基づき、臨床医が患者さんをスクリーニングし、治療成績を向上させるための戦略となります。また、心腎連関とともに、心血管疾患や合併症の複雑さも示しています」