本資料は9月1日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。
ハイリスク患者集団の心血管・腎アウトカムと死亡率に関するフィネレノンの統合解析の最新データが2024年欧州心臓病学会学術集会で発表
- 統合解析FINE-HEARTの主要評価項目である心血管死の発現割合はフィネレノン群でプラセボ群より低値だったものの統計学的有意差にはわずかに達せず
- FINE-HEARTはフィネレノンの完了したすべての第Ⅲ相臨床試験の事前規定された統合解析で、心・腎・代謝(CKM)疾患を有する幅広い層のハイリスク患者約19,000人が対象
- FINE-HEARTではフィネレノン群が全死亡、心血管および腎アウトカムをプラセボ群よりも改善
- FINE-HEARTの結果は医学誌ネイチャー・メディシンに同時掲載
ドイツ・ベルリン、2024年9月1日 ― フィネレノンの完了した第Ⅲ相臨床試験3試験(FINEARTS-HF試験、FIDELIO-DKD試験、FIGARO-DKD試験)の事前規定された統合解析FINE-HEARTにおいて、主要評価項目である心血管死の発現割合はフィネレノン群でプラセボ群より低値だったものの、統計学的有意差にはわずかに達しませんでした(相対リスク11%減少、ハザード比[HR]0.89[95%CI、0.78-1.01;p=0.076])。一方、重要な点としてFINE-HEARTの主要評価項目の事前規定された感度分析において、原因不明の死亡を加えて心血管死を評価した場合、フィネレノン群は心血管死のイベントの発現リスクを12%減少させました(相対リスク減少、HR 0.88[95%CI、0.79-0.98;p=0.025])。心血管死に対するフィネレノン群の効果は、FINE-HEARTで検討された16のサブグループで概ね一貫していました。また、全死亡、心血管および腎アウトカムについては、フィネレノン群はプラセボ群よりも改善を示しました。FINE-HEARTの結果より、心・腎・代謝疾患を含む幅広い層のハイリスク患者において、フィネレノン群の心腎ベネフィットが示されました。FINE-HEARTから得られた知見は、2024年欧州心臓病学会学術集会のホットラインセッションで発表され、医学誌ネイチャー・メディシンに同時掲載されました。
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院循環器専門医、心代謝性疾患実装科学センター共同ディレクターで、ハーバード大学医学部教授であるムタイア・バデュガーナサン氏は次のように述べています。「心・腎・代謝疾患は疫学的に大きく重複しており、メカニズム経路が共通していることを考えると、FINE-HEARTのデータは臨床医にとって歓迎すべきニュースです。フィネレノンが、心臓と腎臓の病態生理の基本的な要因に対処していることがわかり、素晴らしいと思います。フィネレノンを用いた個々の第Ⅲ相臨床試験では、主要なサブグループにおける心血管死や有効性を評価するための検出力が不足していましたが、FINE-HEARTでは解析に含めた被験者数が多かったため、これらのアウトカムを検討することができ、multimorbid(多疾患併存)の患者さんの治療に関し、臨床医にとって重要で勇気づけられる知見を得ることができました」
FINE-HEARTの主要評価項目である心血管死は統計学的有意差に達しませんでしたが、副次評価項目はすべて、プラセボ群と比較したときのフィネレノン群のベネフィットが示されています。中でも注目すべきは、フィネレノン群が全死亡を9%減少させ(HR 0.91[95%CI、0.84-0.99;p=0.027])、腎複合評価項目(腎不全の発症、4週間以上持続するベースライン時点から50%以上の持続的な推算糸球体濾過量[eGFR]低下、腎臓死の最初の発症までの時間)を20%減少させ(HR 0.80[95%CI、0.72-0.90;p<0.001])、HFによる入院の発現割合を17%低下させた(HR 0.83[95%CI、0.75-0.92;p<0.001])ことです。
FINE-HEARTは、幅広い層の心・腎・代謝疾患患者を対象に、フィネレノンの有効性と安全性を検討する最大規模の解析です。本統合解析は、第Ⅲ相臨床試験FINEARTS-HF、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDに登録されたHFおよび/または2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者約19,000人を対象としました。FINE-HEARTは、LVEF 40%以上のHF患者の主な特徴である併存疾患の負荷が高い患者さんを含め、HFおよび/または2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、心血管および腎臓のアウトカム対するフィネレノン(ケレンディアⓇ/Firialta™)の効果を検討するためにデザインされました。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「HF、CKD、2型糖尿病は共通のリスク因子を有します。第Ⅲ相臨床相試験3試験の被験者約19,000人を含むFINE-HEARTによって、フィネレノンのこれまでの良好な結果が補完され、裏付けられます。これらの知見は、フィネレノンがアンメットメディカルニーズの高い患者さんのアウトカムを改善できることを示しており、臨床医にとって非常に意義深い研究結果と考えられます」
フィネレノンは非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬です。フィネレノンはMRおよびレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰活性化を標的とすることにより、HFとCKDに強く関連することが知られている慢性的で進行性の炎症や線維化の促進因子に対応します。
統合解析FINE-HEARTにおけるフィネレノン群の忍容性は良好であり、フィネレノンの既知の安全性プロファイルと一貫しています。
【FINE-HEARTについて】
心・腎・代謝疾患は疫学的に大きく重複しており、メカニズム経路が共通していることから、事前規定された統合解析FINE-HEARTは、HFおよび/または2型糖尿病を合併するCKD患者(幅広い層の心・腎・代謝疾患の負荷が高い患者さんを含む)を対象に、心腎アウトカムに対するフィネレノン(ケレンディアⓇ/Firialta™)の効果を検討するためにデザインされました。FINE-HEARTは、心血管および腎アウトカムと共に、心血管死および全死亡について評価する統計学的検出力を有していました。このような患者さんのアンメットニーズを考慮し、統合解析FINE-HEARTでは、完了した第Ⅲ相臨床試験3試験を通じて、multimorbidity(多疾患併存)の負荷が高い患者さんにおけるフィネレノンの効果を検討しました。
FINE-HEARTは、プロトコールで事前規定された、臨床試験参加者レベルのデータの統合解析で、第Ⅲ相臨床試験3試験(FINEARTS-HF、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD)のHFおよび/または2型糖尿病を合併するCKD患者約19,000人を対象としています。FIDELIO-DKD試験とFIGARO-DKD試験には、48カ国より登録された、アルブミン尿(UACR 30mg/g以上)を伴う2型糖尿病を合併するCKD患者約13,000人が無作為割り付けされました。FINEARTS-HF試験は37カ国より登録されたLVEF 40%以上の症候性HFで、ナトリウム利尿ペプチドが上昇し、心臓の器質的異常を認める患者約6,000人が対象でした。
FINE-HEARTのベースライン特性では、心・腎・代謝の併存疾患の有病率が高く、既往歴はHFが37%、2型糖尿病が81%、CKDが84%でした。登録患者のうち10%が1疾患(HF)、78%が2疾患(HFとCKD、HFと2型糖尿病、CKDと2型糖尿病)、12%が3疾患すべてを有していました。
統合された患者集団の追跡期間2.9年(中央値)において、フィネレノン群の心血管死の発現割合は低く、プラセボ群と比較して11%の相対リスク減少を示したものの、統計学的有意差にはわずかに達しませんでした(HR 0.89[95%CI、0.78-1.01;p=0.076])。FINE-HEARTの主要評価項目の事前規定された感度分析の結果、心血管死および原因不明の死亡において、フィネレノン群は12%の相対リスク減少を示しました(HR 0.88[95%CI、0.79-0.98;p=0.025])。心血管死に対するフィネレノン群の効果は、FINE-HEARTで検討された16のサブグループすべてにおいて概ね一貫していました。
FINE-HEARTの副次評価項目で示されたとおり、フィネレノン群は全死亡、心血管および腎イベントに関して減少を示しました。副次評価項目には、腎複合評価項目(4週間以上持続するベースライン時点から50%以上の持続的なeGFR低下を含む)、HFによる入院、心血管死またはHFによる入院の複合、心房細動の新規発現、重大な心血管有害事象、全死亡、全入院、全死亡または全入院の複合が含まれていました。全死亡については、フィネレノン群がプラセボ群よりも減少させました(HR 0.91[95%CI、0.84-0.99;p=0.027])。また、フィネレノン群は腎複合評価項目のリスクを減少させました(HR 0.80[95%CI、0.72-0.90;p<0.001])。さらに、HFによる入院(HR 0.83[95%CI、0.75-0.92;p<0.001])、心血管死またはHFによる入院の複合(HR 0.85[95%CI、0.78-0.93;p<0.001])、心房細動の新規発現(HR 0.83[95%CI、0.71-0.97;p=0.018])、重大な心血管有害事象(HR 0.91[95%CI、0.85-0.98;p=0.010])、全入院(HR 0.95[95%CI、0.91-0.99;p=0.025])、全死亡または全入院の複合(HR 0.94[95%CI、0.91-0.98;p=0.007])についてもリスクを減少させました。
【ケレンディアⓇ/Firialta™(フィネレノン)について】
ケレンディアⓇおよびFirialta™は、フィネレノンの世界的に保護された商標です。フィネレノンは非ステロイド型選択的MR拮抗薬であり、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に関与します。
フィネレノンは、ケレンディアⓇ(一部の国ではFirialta™)の名称で販売されています。2型糖尿病を合併するCKDの治療薬として、中国、欧州、日本、米国を含む世界90カ国以上で承認されています。
フィネレノンの臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、HFとCKDをそれぞれ対象とした第Ⅲ相臨床試験10試験で構成されています。MOONRAKERプログラムには、FINEARTS-HF試験に加え、進行中の研究者主導共同試験であるREDEFINE-HF試験、CONFIRMATION-HF試験およびFINALITY-HF試験が含まれています。一方、CKDのTHUNDERBALLプログラムは、完了したFIDELIO-DKD試験、FIGARO-DKD試験に加え、進行中のFIND-CKD試験、FIONA試験、FIONA-OLE試験、FINE-ONE試験および第Ⅱ相臨床試験のCONFIDENCE試験で構成されています。
循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて
バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、Science for a better lifeをお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメットメディカルニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2024年9月6日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。