第Ⅲ相臨床試験PEACE Ⅲの最新データが欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2024年年次総会で発表:

バイエルの放射性医薬品・抗悪性腫瘍剤「ゾーフィゴ®」、エンザルタミドとの併用で画像上の無増悪生存期間(rPFS)を有意に延長

  • 骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者に対する一次治療としてエンザルタミドとゾーフィゴの併用を検討
  • エンザルタミドとゾーフィゴの併用群でrPFSが統計学的有意に31%延長し、中間解析では全生存期間(OS)も有意に31%延長

大阪、2024年9月26日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:イン・チェン、以下「バイエル薬品」)は、骨転移のあるCRPC患者の一次治療として、アンドロゲン受容体阻害薬エンザルタミドと放射性医薬品・抗悪性腫瘍剤「ゾーフィゴ静注」(一般名:塩化ラジウム[223Ra])の併用群と、エンザルタミド単剤群を比較検討した第Ⅲ相臨床試験PEACE Ⅲの結果、併用群では単剤群と比べ、主要評価項目であるrPFSが有意に31%延長したことをお知らせします。本試験データは、スペイン・バルセロナで9月13~17日に開催されたESMO 2024年次総会のプレジデンシャルシンポジウムで、本試験を実施した欧州がん研究治療機構(EORTC)より発表されました。

 

PEACE Ⅲ試験は、エンザルタミドとゾーフィゴを併用したときの有効性・安全性評価を目的として、EORTCにより実施された医師主導の無作為化、多施設共同、海外第Ⅲ相臨床試験です(NCT02194842)。被験者446人が、エンザルタミド160mg 1日1回投与とゾーフィゴ 55kBq/kgを4週間ごとに6サイクル投与の併用群、またはエンザルタミド160mg 1日1回投与のみの単剤群に1対1の割合で無作為割り付けされました。

 

本試験では骨転移のあるCRPC患者の一次治療において、エンザルタミドとゾーフィゴの併用群で主要評価項目であるrPFSが統計学的有意に31%延長しました(ハザード比[HR]0.69[95%CI 0.54-0.87;p=0.0009])。rPFS中央値は、併用群が19.4カ月(95%CI 17.1-25.3)、単剤群が16.4カ月(95%CI 13.8-19.2)でした。また、イベント数(死亡数)が規定の80%に達した時点で行われた中間解析において、副次評価項目であるOSは、併用群にて統計学的に有意な31%の延長を認めました(HR 0.69[95%CI 0.52-0.90;p=0.0031])。OS中央値は、併用群が42.3カ月(95%CI 36.8-49.1)、単剤群が35.0カ月(95%CI 28.8-38.9)でした。OSについては今後、最終解析が行われる予定です。本試験の安全性解析では、エンザルタミドとゾーフィゴの併用療法について、忍容性が示されました。

■EORTC研究者らのコメント

PEACE Ⅲ試験研究代表者 ジルケ・ギレッセン教授

塩化ラジウム(223Ra)とエンザルタミドの間に興味深い相乗効果を見いだしました。有害事象についても管理可能と考えられます。

 

PEACE Ⅲ試験共同研究代表者 バートランド・トンバル教授

PEACE Ⅲ試験により塩化ラジウム(223Ra)は、骨転移のあるCRPCのより早い段階での治療という新たな役割が与えられました。これは患者さんにとって朗報です。

 

EORTC CEO デニス・ラコンブ氏

この画期的な試験は患者さんの予後を大きく改善する可能性を秘めています。

【ゾーフィゴについて】

ゾーフィゴは、骨転移を有するCRPCに対する有効性が確認された世界初のアルファ線放出放射性医薬品です。日本では「骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果、「通常、成人には、1回55kBq/kgを4週間間隔で最大6回まで、緩徐に静脈内投与する」を用法・用量として、2016年よりバイエル薬品が販売しています。

【去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と骨転移について】

CRPCは、前立腺がんに対して男性ホルモンの分泌を抑える治療(手術療法やホルモン療法)を実施しても病状が悪化した状態です。ホルモン療法は有効性が高く、遠隔転移を有する前立腺がんの第一選択の治療法として広く行われていますが、ホルモン療法を続けるうちに効果がなくなり、再び病状が悪化することがあります。また、前立腺がんは、進行すると骨に転移しやすく、転移性CRPCにおいては、およそ80~90%もの高い頻度で骨転移が起こることが知られています1。転移が起こりやすい部位は、脊椎、大腿骨、骨盤、肋骨など、身体の中心付近にある骨です2

References:
1. 日本泌尿器科学会編: 前立線癌診療ガイドライン.メディカルレビュー社.2023.
2. 日本臨床腫瘍学会編: 骨転移診療ガイドライン 改訂第2版. 南江堂.2022.

バイエルのオンコロジーについて

バイエルは、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、Science for a better lifeをお届けできるよう取り組んでいます。バイエルには、がんと共に生きる人々の生活の改善と生存期間の延長に役立つ新薬を開発する情熱と決意があります。バイエルのオンコロジーフランチャイズには、さまざまな適応症を持つ複数の製品と、臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物があります。当社は、腫瘍細胞の内因性経路、標的核医学治療、次世代腫瘍免疫学などの分野で豊富な専門知識を有しています。当社は、副作用を抑えながら生存期間を延長することを目標に、早期から転移期までの前立腺がん治療を推進しています。バイエルは革新的なプレシジョンオンコロジー治療薬に注力しており、その一環として、腫瘍の増殖と転移を促進する発がん性因子であるNTRK融合遺伝子を有する腫瘍の治療に特化したTRK阻害剤が承認されています。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は54億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

 

バイエル薬品株式会社について

医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎・代謝領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook,YouTubeをご参照ください。

バイエル薬品株式会社
2024年9月26日、大阪

将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。