第1回:知っていますか?新しく、より身近になった薬局と薬剤師
「この頃、生理不順だけど病院に行くべき?」「退職した母が引きこもりがちで心配」。
自分や家族の健康について悩みを抱えたとき、頼りになるのが身近な薬局だということを知っていますか?
実は、調剤業務を行っている薬局は、医療法でも医療提供施設として位置づけられています。そしてその扉をあけると国家医療職の資格を持つ薬剤師が迎えてくれる場所なのです。今後、私たちの暮らしのなかでますます重要になっていく薬局。今回はその活用術を紹介します。
薬局は、処方箋のお薬をもらうだけの場所ではないんですか?
薬局といえば、病院での診療後にもらう処方箋を出して、その処方箋に書かれた薬をもらうだけの場所と思っている人は多いですね。どこの薬局でも同じ薬が出るのだからと、とりあえず病院の目の前にある薬局を利用してしまうのもよくあることです。
実は、薬局は、薬をもらうだけの場所ではありません。あまり知られていなかったのですが、平成19年に医療法などの一部が改正され、薬局は“医療提供施設”という位置付けになりました。つまり、病院やクリニック(診療所)、老健(介護老人保健施設)などと並んで、薬局と薬剤師はみなさんの健康を守るお手伝いができる場所(医療を提供できる場所)だったのです。
薬局では、例えばどんな相談ができるのでしょうか?
まず気をつけていただきたいのは、どの薬局でも同じように親身なアドバイスを受けることができるわけではない、ということです。みなさんは「健康サポート薬局」を知っていますか?この制度は平成28年4月から始まったので、まだなじみがないかもしれません。ご自宅の近くの薬局に行ったとき「健康サポート薬局」の表示があるか、ぜひチェックしてみてください。
各都道府県のHPにも健康サポート薬局リストが掲載されています。
健康サポート薬局では「既定の研修を修了したと認定された薬剤師」や「かかりつけ薬剤師」※がいて、薬だけでなく、健康や介護に関わるどんなことでも相談に応じています。病気の予防、健康の維持や増進、医師や病院の紹介、病気になってからの悪化防止の指導、そして要介護指導、介護が必要なときの社会資源などの多方面の相談を受けられることも、健康サポート薬局の役割です。例えば風邪の引き始めなら、症状に合わせて適切な市販薬を選ぶお手伝いをしたり、病院の受診をおすすめしたりできます。ほかにも不眠、二日酔い、だるさなど、「病院に行くほどではないかな?」というちょっとした不調についても相談を受けられます。いわゆるセルフメディケーションのナビゲータというわけです。
女性には生理痛や生理不順、更年期症状、冷えや肌トラブルなどのお悩みもあります。健康サポート薬局に相談していただければ、適切な市販薬や健康食品をおすすめしたり、必要に応じて病院・クリニックを紹介したりといったアドバイスができます。
※ かかりつけ薬剤師:
処方薬や市販薬などの情報を把握し、薬の飲み残しや重複、副作用などがないかをチェックする、いわばその人専属の薬剤師。くわしくは次回紹介。
自分だけでなく、家族のことも相談できますか?
もちろんです。健康サポート薬局は、地域に根づいた健康ステーションのような存在です。例えば私たちの薬局には、「高齢の母の体力が落ちてきたから、介護サービスの利用を考えているんだけど」といった相談にいらっしゃる方もいます。そうした場合、「それならケアマネージャーの◯◯さんに相談するといい」と連絡を取り、薬剤師が医療スタッフとして面談に同席することもあります。また、「近所で開催しているウォーキング教室で、体力づくりをしてみては」など、薬局のもつ地元の情報が役に立つ場合もあります。
病気かどうかわからないときも、薬局に相談できますか?
健康サポート薬局は病院やクリニックとも連携しています。ご相談いただければ必要に応じて医療機関の受診を提案して、紹介状を書くこともできます。また、私たち薬剤師の仲間には、介護関係のほかにも、看護師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、保健師、助産師、管理栄養士、社会福祉士などがいるので、そうしたプロたちのアドバイスや協力も求められます。
婦人科をご紹介するのも、私たちの大切な仕事です。20〜30代の女性のなかには毎月の生理痛で苦しんでいたり、なかなか妊娠できないと悩んでいたりする人が少なくありません。女性のカラダの悩みは相談しにくいものですし、「病院に行くほどではない」と一人で抱え込みがちですが、そんなときこそ薬剤師の出番。よくお話を聞いたうえで、大きなトラブルにならないうちに検査や受診をおすすめします。
薬局は、自動ドアを開けたらすぐに会える身近な医療者のいる場所。誰に打ち明けたらいいのかわからないカラダのお悩みがあったら、ぜひ薬局にきていただきたいです。
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