- 左室駆出率(LVEF)が40%以上の心不全(HF)を対象とした第Ⅲ相臨床試験で心血管ベネフィットを示した初のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)
バイエル薬品 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「ケレンディア®」に慢性心不全の適応追加を承認申請
大阪、2025年2月14日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:イン・チェン、以下「バイエル薬品」)は、非ステロイド型選択的MRA「ケレンディア®」(一般名:フィネレノン)に慢性心不全の適応を追加するため本日、厚生労働省へ承認申請しましたのでお知らせします。
日本のHF患者数は、正確な統計はないものの推計120万人です1。人口の高齢化に伴いHF患者数は増加を続けており、2030年には130万人を超えると推計されています1。HF患者のうち約6割は、心機能の指標である左室駆出率(LVEF)が40%以上です2,3。LVEF 40%以上のHF患者では高血圧や心房細動などの複数の疾患が併存し、病状の管理は複雑になります。LVEF 40%未満のHFに対する治療は進歩していますが、LVEF 40%以上のHFでは治療の選択肢が限られています。
今回のケレンディア®の適応追加に関する承認申請は、日本人を含むLVEF 40%以上のHF患者約6,000人を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験FINEARTS-HFのデータに基づき行いました。同試験においてケレンディア®は、主要評価項目である心血管死およびすべての(初回および再発)HFイベント(HFによる入院または緊急受診)のリスクを統計学的有意に16%減少させました(相対リスク減少、率比[rate ratio:RR]0.84[95%CI、0.74-0.95;p=0.0072])。また、ケレンディア®の忍容性は良好で、既知の安全性プロファイルと一貫していました。本試験データは、2024年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で2024年9月に発表され、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに同時掲載されました4。
ケレンディア®はミネラルコルチコイド受容体(MR)およびレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰活性化を標的とすることにより、血行動態因子や炎症・線維化プロセスなどLVEF 40%以上のHFの主要な要因に対処します。本試験結果よりケレンディア®は、LVEF 40%以上のHFを対象に心血管ベネフィットを示した初のMRAとなりました。
ケレンディア®は現在、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全や透析施行中の場合は除く)の治療に使用されています。バイエル薬品は同剤への慢性心不全の適応追加、および販売中の慢性心不全治療剤「ベリキューボ®」(一般名:ベルイシグアト)を通じて、心腎領域のアンメットメディカルニーズに対してさらなる貢献を目指します。
【ケレンディア®(フィネレノン)について】
ケレンディア®(一般名:フィネレノン)は、ドイツ・バイエル社が創製した1日1回経口投与の非ステロイド型選択的MRAです。ケレンディア®は、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のある慢性腎臓病(CKD)の進行や心血管障害に関与します。
ケレンディア®は日本において、2つの第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、厚生労働省より「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。」を効能・効果として2022年3月に承認され、同6月よりバイエル薬品が販売しています。ケレンディア®はCKDの治療薬として米国、欧州など90カ国以上で承認されています。心不全の治療薬としては米国、中国、欧州でも承認申請中であり、承認されている国・地域はありません。
ケレンディア®の臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、HFとCKDをそれぞれ対象とした第Ⅲ相臨床試験10試験で構成されています。MOONRAKERプログラムには、FINEARTS-HF試験に加え、進行中の研究者主導共同試験であるREDEFINE-HF試験、CONFIRMATION-HF試験およびFINALITY-HF試験が含まれています。一方、CKDのTHUNDERBALLプログラムは、完了したFIDELIO-DKD試験、FIGARO-DKD試験に加え、進行中のFIND-CKD試験、FIONA試験、FIONA-OLE試験、FINE-ONE試験、および第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEで構成されています。
References:
1. Okura Y,et al.:Circ J. 2008 Mar;72(3):489-91. doi: 10.1253/circj.72.489.
2. Yaku H, et al.:Circ J. 2018 Oct 25;82(11):2811-2819. doi: 10.1253/circj.CJ-17-1386. Epub 2018 Sep 26.
3. Horiuchi Y, et al.:Eur J Heart Fail. 2023 Jul;25(7):989-998. doi: 10.1002/ejhf.2895. Epub 2023 Jun 4.
4. S.D. Solomon, et al.:N Engl J Med. 2024 Oct 24;391(16):1475-1485. doi: 10.1056/NEJMoa2407107. Epub 2024 Sep 1.
循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて
バイエルは、循環器疾患領域における革新的リーダーとして、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、Science for a better lifeをお届けできるよう長年にわたり取り組んでいます。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメットメディカルニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて、幅広い領域で取り組んでいます。バイエルの循環器フランチャイズには多くの製品があり、前臨床および臨床開発のさまざまな段階にあるその他いくつかの化合物があります。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、循環器・腎・代謝領域、オンコロジー領域、眼科領域、婦人科領域、血液領域、画像診断領域に、コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠準備と妊娠期間を支援するサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook, YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2025年2月14日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
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