本資料は2月19日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。

AskBio社がパーキンソン病を対象に開発中の遺伝子治療用製品についてFDA再生医療先進治療指定を取得

  • 再生医療先進治療(RMAT)指定は、第Ib相試験 投与後36カ月時点の結果に基づく
  • 本試験において、遺伝子治療用製品AB-1005(旧称 AAV2-GDNF)に関連した重篤な有害事象は認められず、良好な忍容性を示し、臨床評価項目も引き続き良好な傾向を示した
  • 中等度パーキンソン病を対象としたヒトグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)遺伝子治療用製品AB-1005の第II相試験REGENERATE-PDへの登録が進行中

ドイツ・ベルリン、米国・ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク、2025年2月19日 ― ドイツ・バイエル社とドイツ・バイエル社の完全子会社で独立経営の遺伝子治療企業であるAsklepios BioPharmaceutical社(以下、AskBio社)は、本日、パーキンソン病(PD)の治療を目的として開発中の遺伝子治療用製品AB-1005が米国食品医薬品局(FDA)から再生医療先進治療(RMAT)の指定を受けたことを発表しました。

 

AskBio社最高経営責任者であるグスタボ・ペスキン氏は、次のように述べています。「FDAがAB-1005に対してRMAT指定を付与したことは、パーキンソン病患者さんとそのご家族にとって喜ばしいニュースです。このマイルストーンは、当社の重要な遺伝子治療研究プログラムの開発を加速させる可能性があり、AB-1005の有望なデータが患者さん及び医療コミュニティにとっていかに重要であるかを示しています。私たちはFDAと緊密に連携して、プログラムを加速させていきたいと考えています」

 

FDAは、AB-1005がパーキンソン病患者の疾患の進行を遅らせ、運動機能を改善することを目的とした開発中の遺伝子治療用製品であり、RMAT指定の基準を満たしていると判断しました。本決定は、AB-1005の第Ib相非盲検非対照試験の臨床的エビデンスを含む、AskBio社が提供した情報とデータのレビューに基づいています。

 

AskBio社の第Ib相試験の投与後36カ月時点での結果では、AB-1005は良好な忍容性を示し、製品に関連した重篤な有害事象は認められませんでした1。さらに、中等度PD患者のコホートでは、ベースライン時と比較して36カ月時点において改訂版統一パーキンソン病評価スケール(MDS-UPDRS)や自己報告のPD運動日誌を含む複数のPD関連臨床尺度において、改善または安定の傾向を示しました。これには、パーキンソン病の薬剤(レボドパ同等量[LEDD])の減少傾向も含まれます1。軽症PD患者のコホートのほとんどの参加者は、MDS-UPDRSや自己報告のPD運動日誌、LEDDにほとんど変化がなく、全体的に安定した臨床状態を示しました1

 

RMATは、重篤または生命を脅かす疾患や病状の治療、修飾、回復、または治癒を目的として開発されている遺伝子治療を含む再生医療に対してFDAが付与する指定です2。この指定を受けようとする開発中の製剤は、そのような疾患や症状のアンメットメディカルニーズを満たす可能性があることを示す予備的な臨床的エビデンスを提示していなければなりません2。RMAT 指定を受けることでFDAとの連携が強化され、効率的な医薬品開発に関する集中的な指導や生物製剤承認申請(BLA)のローリング・サブミッション(段階的申請)など、審査の迅速化につながるさまざまな支援を受けることが可能になります2

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門リーダーシップチームメンバーで、エグゼクティブバイスプレジデント研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「AB-1005がRMATに指定されたことは、パーキンソン病のアンメットメディカルニーズが高いことや、この開発中の遺伝子治療用製品がそのようなパーキンソン病患者さんの治療に変化をもたらす可能性があることを強く示しています。これは、患者さんのために画期的なイノベーションを提供するというAskBio社とバイエル社の共同コミットメントとして達成された最新の事例です」

 

AB-1005の第II相REGENERATE-PD臨床試験の最初の参加者は米国で無作為化されており、さらに現在参加者を募集しています3。米国、ドイツ、ポーランド、英国で追加された治験実施施設では、2025年上半期に登録が開始される予定です3

 

AB-1005は、いずれの規制当局からも承認されていない開発中の遺伝子治療用製品であり、その有効性と安全性は確立されておらず、十分に評価されていません。

パーキンソン病について

パーキンソン病(PD)は、進行性の神経変性疾患で、人々の日常生活に大きな影響を及ぼします。PDでは、脳内のドーパミンを生成する神経細胞の脱落が、運動機能の継続的な喪失を引き起こします4。症状には、振戦、筋固縮、動作緩慢などがあります4。また、PD患者は、疲労感やエネルギーの欠如、うっ血による問題、うつ病などの非運動症状もみられます4。症状は通常、時間の経過とともに悪化し、日常生活がますます困難になります。PDの有病率は過去25年間で倍増しており5、現在全世界で1,000万人以上がPDに罹患していると推計されています6。PDは世界で2番目に有病率の高い神経変性疾患であり7、また最も頻繁に運動障害が生じる疾患でもあります8,9。現時点では根治療法は存在しておらず、現在行われている治療法では症状の包括的な管理ができないことから、新しい治療法が必要とされています10,11

 

第Ib相試験AB-1005について

第Ib相試験は、多施設、多拠点の非盲検非対照試験であり、患者11名の両側被殻に対流強化薬剤送達法でAB-1005を単回投与しました。患者は、パーキンソン病(PD)の期間と重症度に基づいて、軽度(6名)と中等度(5名)の2つの患者のコホートに登録されました。本研究の目的は、早期・軽度または中等度のPD患者を対象に、AB-1005を被殻に投与した際の安全性と潜在的な臨床効果を評価することでした。投与後36カ月時点の結果には、患者から報告された治験薬投与下で発現した有害事象(TEAEs)の発生率、理学検査および神経学的検査、運動障害学会の統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)、PD運動日記により自己評価で報告された運動症状、PDの非運動症状、及びDaTSCANによって測定した脳のドーパミン神経ネットワークの健全性によって臨床的に評価されます1。これらの評価は最長5年間継続します。詳細については、clinicaltrials.gov(NCT#04167540)またはaskbio.comをご覧ください。

 

REGENERATE-PDについて

REGENERATE-PDは、中等度パーキンソン病の成人(45~75歳)を対象とした、AB-1005の有効性と安全性に関する第Ⅱ相無作為化二重盲検シャム手術対照試験です。本試験には、米国、ドイツ、ポーランド、英国の臨床試験実施施設で推定87 名の参加者が参加する予定です。REGENERATE-PD臨床試験の詳細については、clinicaltrials.gov(NCT06285643)、またはwww.askbio.comを参照ください。

 

AB-1005について

AB-1005は、ヒトグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)導入遺伝子を含むアデノ随伴ウイルスベクター2型(AAV2)に基づく開発中の遺伝子治療用製品です。MRI撮像下で対流強化薬剤送達法によって外科的に脳へ直接注入した後、脳の局所的な領域にGDNFを安定的かつ持続的に発現させることができます12。非臨床試験では、GDNFはドーパミン作動性ニューロンの生存と形態的分化を促進することが示されています13,14。遺伝子組み換えGDNFは、中脳ドーパミン作動性ニューロンの進行性変性を特徴とするパーキンソン病(PD)などの疾患の潜在的な治療として長い間評価されてきました15。開発中の遺伝子治療と革新的な脳外科的送達アプローチを組み合わせ、この神経栄養因子をこれらの変性している黒質線条体により臨床的に関連性の高い方法で送達することで、PDにおけるGDNF仮説を検証できるようになりました15

AskBio社について

AskBio社はドイツ・バイエル社の完全子会社で、独立経営の企業であり、生命を救う医薬品を開発し、人々の生活を変えることに特化した遺伝子治療企業です。AskBio社は、臨床試験段階のパイプラインとして神経筋疾患、中枢神経系疾患、心血管疾患、代謝性疾患を適応症とする幅広い臨床試験プログラムのポートフォリオを有しており、その中にはうっ血性心不全、肢帯状筋ジストロフィー、多系統萎縮症、パーキンソン病、ポンペ病の遺伝子治療用製品が含まれています。AskBio社の遺伝子治療プラットフォームは、業界をリードする独自の細胞株産生プロセスであるPro10™や豊富なカプシドライブラリー、プロモーターなどがあります。AskBio社は米国ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークにグローバル本社、スコットランド・エディンバラに欧州本社を置き、数百もの独自のカプシドやプロモーターを創製し、そのうちのいくつかは前臨床試験や臨床試験に入っています。遺伝子治療分野における初期のイノベーターであり、5カ国に900人以上の従業員を擁し、アデノ随伴ウイルス(AAV)生産やキメラカプシドなどの分野で、800件以上の特許および特許出願を保有しています。詳細はwww.askbio.comをご参照、またはLinkedInでフォローしてください。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名(2023年)。特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

References: 

1. Nicolas M, et al. Preliminary Efficacy of GDNF Gene Therapy (AAV2-GDNF; AB-1005) in Parkinson’s Disease: 36-Month Follow-Up From a Phase 1b Study. Presented at the International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disorders 2024. 
2. Food and Drug Administration. Expedited Programs for Regenerative Medicine Therapies for Serious Conditions. Available at: https://www.fda.gov/media/120267/download. Accessed: February 2025. 
3. AskBio.com. First participants randomized in AskBio Phase II gene therapy trial for Parkinson’s disease. Available at: https://www.askbio.com/first-participants-randomized-in-askbio-phase-ii-genetherapy-trial-for-parkinsons-disease/. Accessed: February 2025. 
4. National Institutes of Health. Parkinson’s Disease Available at: https://www.ninds.nih.gov/healthinformation/disorders/parkinsons-disease. Accessed: February 2025. 5. World Health Organization. Parkinson disease. Available at: https://www.who.int/news-room/factsheets/detail/parkinson-disease. Accessed: February 2025. 
6. Parkinson’s Foundation. Who has Parkinson’s? Available Parkinson’s Foundation. Who has Parkinson’s? Available at: https://www.parkinson.org/understanding-parkinsons/statistics. Accessed: February 2025. 
7. National Institute of Environmental Health Sciences. Neurodegenerative Diseases. Available at: https://www.niehs.nih.gov/research/supported/health/neurodegenerative. Accessed: February 2025. 
8. World Health Organization. Parkinson disease. Available at: https://www.who.int/news-room/factsheets/detail/parkinson-disease. Accessed: February 2025. 
9. Stoker TB, Barker RA. Recent developments in the treatment of Parkinson's Disease. 2020 
10. Mayo Clinic. Parkinson’s disease. Available at: https://www.mayoclinic.org/diseasesconditions/parkinsons-disease/diagnosis-treatment/drc-20376062. Accessed: February 2025. 
11. Rizek P, An update on the diagnosis and treatment of Parkinson’s disease. 2016. 
12. Heiss JD, et al. Trial of magnetic resonance-guided putaminal gene therapy for advanced Parkinson’s disease. Mov Disord. 2019 Jul;34(7):1073-1078. 
13. Kells AP, et al. Regeneration of the MPTP-lesioned dopaminergic system after convectionenhanced delivery of AAV2-GDNF. J Neurosci. 2010 Jul 14;30(28):9567-77. 
14. Lin LF, Doherty DH, Lile JD, Bektesh S, Collins F. GDNF: a glial cell line-derived neurotrophic factor for midbrain dopaminergic neurons. Science. 1993;260(5111):1130-1132. 
15. Barker RA, et al. GDNF and Parkinson's Disease: Where Next? A Summary from a Recent Workshop. J Parkinsons Dis. 2020;10(3):875-891

バイエル薬品株式会社
2025年2月26日、大阪

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将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)

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