本資料は2月27日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。

原発性光受容体疾患を対象にBlueRock Therapeutics社が開発中の細胞治療用製品について米国食品医薬品局(FDA)がファストトラックに指定

  • OpCT-001は、原発性光受容体疾患の治療を目的として臨床試験が実施される初のiPS細胞由来の細胞治療の候補
  • ファストトラック指定は、重篤な疾患の治療やアンメットメディカルニーズに対応する医薬品候補の開発と審査を促進することを目的としている
  • 原発性光受容体疾患は、遺伝性網膜疾患の一種であり、網膜の光受容体細胞の構造と機能に影響を及ぼし、小児および成人に不可逆的な視力低下を引き起こす疾患

ドイツ・ベルリン、米国・マサチューセッツ州ケンブリッジ、2025年2月27日 ― ドイツ・バイエル社と、バイエル社の完全子会社で臨床開発段階の細胞治療用製品を扱う企業であるBlueRock Therapeutics LP社(以下BlueRock社)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)より、原発性光受容体疾患の治療を目的としたiPSC(人工多能性幹細胞)由来の細胞治療の候補OpCT-001がファストトラック指定を受けたことを発表しました。OpCT-001は、網膜色素変性症や錐体桿体ジストロフィーを含む遺伝性網膜疾患の一種である原発性光受容体疾患の治療を目的として臨床試験が行われる初のiPS細胞由来の細胞治療の候補です。

 

FDAのファストトラック指定は、重篤な疾患やアンメットメディカルニーズに対応する医薬品候補の開発と審査を促進することを目的としています。ファストトラック指定を受けた医薬品候補は、開発計画に関連するFDAとの頻繁な協議が可能となるほか、適用基準を満せば、迅速承認や優先審査の対象となる可能性があります。

 

BlueRock社 最高開発責任者でメディカルオフィサーであるアミット・ラキットは、次のように述べています。「OpCT-001がFDAからファストトラック指定を受けたことを大変嬉しく思います。原発性光受容体疾患の患者さんは、視力を回復させる可能性のある新しい治療法を必要としていますので、私たちはFDAとの緊密な協力のもと、臨床試験を通じてこのプログラムを推進していきたいと考えています」

 

原発性光受容体疾患は網膜の光受容体細胞の構造と機能に影響を及ぼし、小児から成人まで不可逆的な視力喪失を引き起こします。OpCT-001は、網膜の変性した細胞を機能的な細胞に置き換えることにより、原発性光受容体疾患患者の視力を回復させることを目指しています。現在、原発性光受容体疾患に対する治療選択肢は限られており、米国で約11万人1がこの疾患に罹患していると推定されています。

 

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門リーダーシップチームメンバーで、エグゼクティブバイスプレジデント研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「OpCT-001がFDAのファストトラック指定を受けたことは、原発性光受容体疾患の分野において革新的な治療法が緊急に必要とされていることを示しています。原発性光受容体疾患による深刻な状況に直面している患者さんのために、初のiPS細胞由来の細胞療法候補の開発を目指すことで、画期的な細胞治療を推進するという当社のコミットメントを実現できることを誇りに思います」

 

OpCT-001は、BlueRock社、FUJIFILM Cellular Dynamics社およびOpsis Therapeutics社が2021年に締結した研究開発ならびに臨床製造についての戦略的な提携の一環として、2024年1月にFUJIFILM Cellular Dynamics社およびOpsis Therapeutics社からBlueRock社に独占ライセンスが供与されました。この提携の一環として、FUJIFILM Cellular Dynamics社は、研究開発およびOpCT-001の治験用製造を含む重要な臨床試験開始のための活動の実施を通じて、BlueRock社を支援しました。

 

OpCT-001は、いずれの規制当局からも承認されていない開発中の細胞治療用製品であり、その有効性および安全性は確立されておらず、十分に評価されていません。

BlueRock Therapeutics LP社について

BlueRock社は、深刻な疾患を回復に導く細胞治療の開発に焦点をあて、臨床開発段階の細胞治療用製品を扱う企業です。同社は細胞治療の可能性を生かし、神経疾患、 眼科疾患、循環器疾患、免疫疾患領域の新たな治療薬パイプラインを創出しています。現在、臨床開発段階にある2つのプログラムは、パーキンソン病治療を目的としたbemdaneprocel(BRT-DA01)と原発性光受容体疾患の治療を目的としたOpCT-001です。bemdaneprocelは、米国FDA(食品医薬品局)からRMAT(再生医療先進治療)およびファストトラックの指定を受けており、第1相臨床試験を完了し、次の臨床開発段階に進んでいます。OpCT-001は、FDAから第I相臨床試験を開始することが承認されています。BlueRock社は、2016年にVersant Ventures社とパラダイムシフトを起こす画期的なイノベーションに投資するドイツ・バイエルのインパクト投資会社Leaps by Bayer社の合弁会社として設立されました。2019年末、新たに整備された細胞・遺伝子治療プラットフォームを支える基盤として、ドイツ・バイエル社から独立して運営される完全子会社となりました。同社の企業文化はどんな困難にも屈せず挑戦し続ける勇気、医療を変革し希望を届けるという使命感、ミッションに基づいた誠実さ、同社が社会の一員であることを理解し貢献する意識を特徴としています。詳細はwww.bluerocktx.comをご参照ください。

 

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名(2023年)。特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

バイエル薬品株式会社
2025年3月4日、大阪

将来予想に関する記述 BlueRock Therapeutics社

本プレスリリースに記載されている特定の記述は、1995年米国私的証券訴訟改革法の定義にされる将来予想に関するものです。これらの記述は、「予想する」、「信じる」、「予測する」、「推定する」、「計画する」、「意図する」などの将来の見通しに関する語句の使用により特定される場合があります。これらの将来予想に関する記述は、BlueRock社による現在の予想に基づいており、実際の結果は大きく異なる可能性があります。実際の事象が将来予想に関する記述で示されたものと大きく異なる可能性のある要因は多数あります。これらの要因には、前臨床プログラム、臨床試験および研究開発プログラムの開始、時期、進捗、活動、目標および結果報告、FUJIFILM Cellular Dynamics社およびOpsis Therapeutics社との契約の潜在的な利益、時期および将来の運用、治療法を臨床試験に進め、成功裏に登録し、完了させる能力、製品候補の潜在的な臨床的有用性、製品候補の規制上の道筋および規制当局への申請や承認の時期または可能性、ならびに製品候補の商業化の能力や程度が含まれますが、これらに限定されるものではありません。
開発中のすべての医薬品と同様に、新製品の開発、規制当局による承認、商業化には重大なリスクが伴います。法律で明示的に義務付けられている場合を除き、BlueRock社は将来の見通しに関する記述を更新または修正する義務を負いません。BlueRock社の将来の見通しに関する記述はすべて、そのようなリスク要因およびその他の注意喚起の声明によって明示的に限定されています。本書に記載された情報は、本書の日付時点のものです。

 

将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。