本資料は3月4日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。
ドイツ・バイエル社、HER2変異を有する転移性・切除不能固形がんを対象としたBAY 2927088の第Ⅱ相臨床試験を開始
- 第Ⅱ相臨床試験panSOHO(バスケット試験)に最初の被験者が登録、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)活性化変異を有する患者さんを対象としたBAY 2927088の3本目の臨床試験
- 複数のがん種に有望な治療ポテンシャルを持つ革新的な治療薬候補によりバイエルのプレシジョンオンコロジー開発ポートフォリオがさらに強化
ドイツ・ベルリン、2025年3月4日 ― ドイツ・バイエル社は、HER2活性化変異を有する転移性または切除不能な成人固形がん患者を対象に、治験薬BAY 2927088の有効性と安全性を検討する国際共同、非盲検、第Ⅱ相臨床試験panSOHOに、最初の被験者が登録されたことを本日発表しました。本試験の対象には、結腸・直腸、子宮・子宮頸部、膀胱、胆道(胆嚢・胆管を含む)のがんに加え、ほかの種類の固形がん(進行非小細胞肺がん[NSCLC]を除く)が含まれます。
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門研究開発責任者のクリスチャン・ロンメルは次のように述べています。「panSOHO試験の開始は、プレシジョンオンコロジーの研究と革新的な標的治療薬の開発に対する当社の継続的なコミットメントを示しており、うれしく思います。本試験は、治療選択肢が限られていることが多いHER2活性化変異を有するさまざまな固形がんの患者さんを対象に、新たな治療戦略の可能性を検討する上で重要な一歩です」
BAY 2927088はpanSOHO試験以外に、HER2活性化変異を有する進行NSCLC患者を対象とする臨床試験が行われています。現在進行中の第Ⅲ相臨床試験SOHO-02(NCT06452277)では、HER2活性化変異を有する進行NSCLC患者に対する初回治療の選択肢としてBAY 2927088が評価されています。さらにBAY 2927088は、HER2活性化変異を有し、全身療法の前治療を受けたことのある進行NSCLC患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験SOHO-01でも検討されています。BAY 2927088はHER2活性化変異を有するNSCLCの二次治療において、米国食品医薬品局(FDA)および中国国家薬品監督管理局(NMPA)医薬品評価センター(CDE)より、画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation)されました。
HER2活性化変異は複数の固形がんの増殖を促進する可能性があり、HER2活性化変異を有する患者さんの多くは治療選択肢が限られています。panSOHO試験はバスケット試験としてデザインされ、BAY 2927088が、HER2活性化変異を有する患者さんに、ベネフィットをもたらすかどうかを検討することを目的としています。オンコロジー領域においてバスケット試験は、効果的で個別化された治療法の同定を目的に、HER2活性化変異のような共通の遺伝子変異を有する異なるがん種の患者さんに対して、新薬や新規治療法を検討する機会となります。
治験薬BAY 2927088は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学のブロード研究所とバイエルの戦略的研究提携の成果です。
【panSOHO試験について】
panSOHO試験は、HER2活性化変異を有する転移性または切除不能な固形がん患者(進行NSCLCを除く)を対象に、治験薬BAY 2927088の有効性と安全性を検討する国際共同第Ⅱ相、非盲検バスケット試験です。本試験の主要評価項目は、盲検下の独立中央画像判定機関による客観的奏効率(ORR)です。副次評価項目は、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、治験薬BAY 2927088の安全性評価です。詳細はhttps://clinicaltrials.gov/study/NCT06760819をご参照ください。
【治験薬BAY2927088について】
BAY 2927088は治験薬であり、規制当局によって使用が承認された国や適応症はありません。BAY 2927088は現在、HER2活性化変異を有する進行NSCLC患者を対象に、新たな標的治療の選択肢として評価を進めています。BAY 2927088は経口投与可能な可逆的チロシンキナーゼ阻害剤であり、HER2エクソン20挿入変異やHER2点変異を含む変異型HER2および変異型上皮成長因子受容体(EGFR)を強力に阻害し、野生型EGFRに対して高い選択性を示します1,2。
References:
1. Siegel F, Karsli-Uzunbas G, Kotynkova K, et al, Preclinical activity of BAY 2927088 in HER2 mutant non-small cell lung cancer. [abstract]. In: Proceedings of the American Association for Cancer Research Annual Meeting 2023; Part 1 (Regular and Invited Abstracts); 2023 Apr 14-19; Orlando, FL. Philadelphia (PA): AACR; Cancer Res 2023;83(7_Suppl):Abstract nr 4035.
2. Siegel F, Siegel S, Graham K, et al. BAY 2927088: The first non-covalent, potent, and selective tyrosine kinase inhibitor targeting EGFR exon 20 insertions and C797S resistance mutations in NSCLC. European Journal of Cancer. 2022;174:S9-S10.
バイエルのオンコロジーについて
バイエルは、革新的治療のポートフォリオを充実させることで、Science for a better lifeをお届けできるよう取り組んでいます。バイエルには、がんと共に生きる人々の生活の改善と生存期間の延長に役立つ新薬を開発する情熱と決意があります。バイエルのオンコロジーフランチャイズには、さまざまな適応症を持つ複数の製品と、臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物があります。当社は、腫瘍細胞の内因性経路、標的核医学治療、いくつかの次世代腫瘍免疫学などの分野で豊富な専門知識を有しています。当社は、副作用を抑えながら生存期間を延長することを目標に、早期から転移期までの前立腺がん治療を推進しています。バイエルは革新的なプレシジョンオンコロジー治療薬に注力しており、その一環として、腫瘍の増殖と転移を促進する発がん性因子であるNTRK融合遺伝子を有する腫瘍の治療に特化したTRK阻害剤が承認されています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2025年3月11日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。