本資料は2月26日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳編集したもので、報道関係者各位へ参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を優先します。原文はwww.bayer.com/media/en-us/をご参照ください。

バイエルが開発中の磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI)用造影剤ガドクアトランの第Ⅲ相試験QUANTI CNSの最新データを欧州放射線学会議 (ECR)2025で発表

  • 開発中MRI用造影剤ガドクアトランの臨床開発プログラム第III相QUANTI試験おける1つ目の結果が、ECR 2025のサイエンティフィックセッションで最新データとして発表
  • QUANTI CNS試験では、ガドクアトランは既存の環状型ガドリニウム造影剤(0.1 mmol Gd/kg投与)に比べ、ガドリニウム用量を60%低減した投与量で病変描出パラメータにおいて非劣性という主要評価項目を達成し、非造影MRIとの比較では優越性を示した
  • QUANTI CNS試験の副次評価項目である病変検出における感度および特異度について、ガドクアトランは対照薬である既存のMRI造影剤と比較して非劣性を示した
  • バイエルは、ガドクアトランの承認取得を目指し、本データを世界各国の保健当局に提出予定

ベルリン、2025年2月26日 - 画像診断領域のリーディングカンパニーであるドイツ・バイエル社は、中枢神経系に病変を有するまたは疑われる成人患者を対象として、MRI用に開発中の環状型ガドリニウム造影剤(GBCA)ガドクアトランについて評価した第III相試験QUANTI CNSの肯定的な結果を発表しました。QUANTI CNS試験は、バイエルの重要な臨床開発プログラムQUANTIの一部であり、成人患者を対象とした2つの多国籍共同第Ⅲ相試験と、小児患者を対象とした試験で構成されます。すべてのQUANTI試験において、ガドクアトランは0.04 mmol Gd/kgの用量で検討しており、これは既存の環状型GBCAsで投与される0.1 mmol Gd/kgの用量に比べ、ガドリニウムの用量において60%の低減になります。QUANTI CNS試験の詳細な結果は、2025年2月26日から3月2日までオーストリアのウィーンで開催された欧州放射線学会議(ECR)で、最新の臨床試験データとして発表されました。

 

ノースウェスタン大学 ファインバーグ医学部放射線学・放射線腫瘍学 准教授であるベンジャミン・P・リウ氏は次のように述べています。「造影MRI検査は、現代の臨床医学における最も強力な診断ツールの一つであり、人体に関する比類のない洞察を提供します。ガドリニウムの投与量を減らすことは、中枢神経系に病変のある患者さんにとって特に有益である可能性があります。なぜなら、患者さんの多くは診断や治療の過程で複数回にわたりMRI検査を受けることがあるため、あらゆる薬剤において有効な最低用量を投与することが望ましいからです。ガドクアトランに関するQUANTI CNS試験の結果は、対照薬の環状型ガドリニウム造影剤と比べて非劣性を示しており、ガドリニウムの投与量を低減させる可能性があることを示唆しています。これは、現在および将来の患者さんと医療従事者の双方に恩恵をもたらす可能性があります」

 

中枢神経系に病変を有するまたは疑われる成人患者を対象として、MRI用に開発中のガドクアトランの有効性および安全性を評価したQUANTI CNS試験の詳細結果では、ガドクアトランはすべての主要目的および副次目的を達成したことが示されました。0.1 mmol Gd/kgで投与される既存の環状型GBCAs(ガドブトロール、ガドテル酸メグルミン、ガドテリドール)に対する非劣性の診断能は、確立された3つの病変描出パラメータ(造影効果、辺縁明瞭度、内部構造)を用いた独立盲検中央読影により示されました。また、ガドクアトランでは、診断能を評価する病変検出能の感度および特異度において、対照薬と比較して非劣性を示しました。さらに本試験において非造影MRIと比較した場合においても、ガドクアトランは病変描出パラメータにおいて優越性を示しました。QUANTI CNS試験には、欧州、アジア、米国などの16カ国から305名の患者が参加しました。

 

ガドクアトランは、対照薬の環状型GBCAsと同様の忍容性を示し、治験薬と関連がある有害事象の発生率は低く、ガドクアトランおよび他の環状型GBCAsにおけるこれまでの安全性プロファイルと概ね一貫していました。

 

ドイツ・バイエル社ラジオロジー研究開発部門の責任者であるコンスタンツ・ディーフェンバッハは次のように述べています。「中枢神経系の疾患による負担は世界中の数百万人の患者さんに影響を与えており、今後数十年でさらに増加するでしょう。QUANTI CNS試験で示された肯定的な結果を非常に喜ばしく思います。ガドクアトランが造影MRI検査における低用量の新たなオプションとして患者さんと医療従事者に提供できるよう、世界各国の当局と協力していくことを楽しみにしています」

 

2025年1月、バイエル社は臨床開発プログラムQUANTIのトップラインデータが肯定的であったことを発表し、ガドクアトランがすべての試験の主要評価項目および主な副次評価項目を達成したことを示しました。QUANTI CNS試験の結果は、ECRで初めて発表されました。QUANTI OBR試験では、中枢神経系以外のあらゆる身体領域における造影MRI検査におけるガドクアトランの有効性および安全性を評価、QUANTI Pediatric試験では、生後から18歳未満の小児におけるガドクアトランの薬物動態と安全性を評価した結果として、今後開催される学会で発表される予定です。バイエルは、ガドクアトランの承認取得を目指し、本試験結果を含む包括的なデータパッケージを世界各国の保健当局に提出予定です。

【ガドクアトランについて】

ガドクアトランは、バイエルが開発中のMRI用の環状型細胞外液性ガドリニウム造影剤です。このガドリニウム造影剤は、高い緩和能および安定性を有する四量体構造が特徴とされています。

 

【MRIについて】

世界中で年間推定6,500万件の検査が行われている造影MRIは、医療の継続において重要な役割を果たしています。造影MRIは、放射線を使用することなく非侵襲的に身体の詳細な画像が得られる検査で、臓器や組織内の異常の鑑別や同定に役立ち、病変の検出、特性評価や経過観察において医師による医学的判断を支援します。

 

【バイエルの画像診断領域について】

画像診断領域で100年以上の歴史をもつ真のライフサイエンス企業として、バイエルは医療の効率化と最適化に向けて革新的な製品から高品質なサービスまで、効率的で最適化された患者ケアをサポートする優れた製品を提供することに注力しています。バイエルは、コンピューター断層撮影(CT)、X線撮影、および磁気共鳴画像診断(MRI)用の造影剤の主要なポートフォリオを提供しています。また、造影剤を正確に投与するための自動注入装置、インフォマティクス・ソリューション、人工知能(AI)を含めた各種アプリケーションを活用することができる医用画像診断プラットフォームも提供しています。バイエルの画像診断製品の売上高は、2023年時点で約20億ユーロでした。バイエルは研究開発に非常に力を入れており、AIの活用や医用画像の革新を推進しています。

 

(注記)ガドクアトランは、いずれの規制当局からも承認されていない開発中のMRI用造影剤であり、その有効性と安全性は評価中であり今後開催される学会で発表される予定です。

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2023年のグループ全体の売上高は476億ユーロ、従業員数は約100,000名、特別項目計上前の研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

バイエル薬品株式会社
2025年3月14日、大阪

将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)

このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。