第2回:もっと気軽に婦人科受診を(高校生親子座談会 後編)
最初に相談してもらえる関係性が大切
- 司会
- 今度はお母さんにお話をうかがいたいと思います。
娘さんと月経について話をすることはありますか?その際に意識していることがあれば教えてください。 - Aさんの
お母さん - 心配なので、相談される前にこちらから話すことが多いです。「もうすぐじゃない?バッグに生理用品入れてある?」などと声をかけています。
- Bさんの
お母さん - 娘の生理痛が強いこともあり、娘とよく生理について話します。恥ずかしがらずに話すように心がけています。
- 宋先生
- 娘さんが困ったとき、最初に相談してもらえる関係性を築くことが大切です。みなさんのように、ざっくばらんに親子で月経について話せることが、一番いい状態だと思います。 お母さん世代では学校で、正常な月経や痛みの対処法、避妊方法など、大切なことを教えてもらわなかった人が多いと思います。いまはそのような教育に力を入れている学校もありますが、そうでない学校もあります。そのため、家庭での教育も重要です。ポイントは「そういう話題を出すこともアリ」という雰囲気を出すことと、正しい情報にたどり着ける場所を家のなかに作っておくこと。我が家ではトイレに読んでほしい本を置いています。子どもには男女の体の違いや生殖のこと、快楽としてのセックスについては知っておいてほしいです。
婦人科選び、合わなければ変えても大丈夫
- 司会
- 娘さんの婦人科受診について、気になることはありますか?
- Cさんの
お母さん - 娘を婦人科に連れていくのは抵抗があります。自分も内診台に乗ることに抵抗があるので「これは行かないと」と思わないと受診するのが難しいです。
- Bさんの
お母さん - 私も「妊娠しているの?」と誰かに思われたらと思うとなかなか行けませんでした。でも、生理痛で娘を婦人科に連れて行ったら、思っていたよりも若い人が婦人科に来ていて、「行ってもいいんだ」と思えるようになりました。婦人科選びのポイントがあれば知りたいです。
- 宋先生
- 婦人科選びのポイントですが、まずは婦人科のホームページをチェックして、どのような理念を掲げているかを確認するといいでしょう。理念に共感できるところを選んでみてください。受診して合わないと感じたら、違うところに変えても大丈夫です。また、心のハードルが下がるのであれば女医を選ぶといいと思います。 内診台に抵抗があるとのことでしたが、性交渉の経験がない場合、必要がなければ内診台での診察は行いません。心の準備ができていないのであれば、一度医師に相談してみてください。
- 司会
- 今日は座談会に参加して、どうでしたか?
- Aさん
- 「正常な生理の目安」について、いままで勘違いしていましたが、正しい知識が得られて、良い機会でした。婦人科受診についても新しい価値観を得ることができ、この座談会に参加する以前よりも前向きに捉えることができました。
- Aさんの
お母さん - 生理の話を娘や婦人科の先生とする機会はなかなかないので、有意義な時間を過ごすことができました。
- Bさん
- 私は生理のことを母にすぐ相談していましたが、それが当たり前ではないとわかりました。これからもこの環境を大切にしていきたいです。また、受診した婦人科が合わないと思ったら気軽に変えていいというアドバイスをいただき、とても安心しました。
- Bさんの
お母さん - 婦人科の先生から話を聞けて、知識も増えましたし、婦人科の壁も低く感じられるようになりました。
- Cさん
- 婦人科は不調があるときや妊娠したときに行くところと思っていましたが、すこしの不安や悩みでも簡単に受診できるのだとわかりました。誤解が解けてよかったです。
- Cさんの
お母さん - 婦人科の先生に気軽に相談できる機会は少ないので、今日はとても良い経験になりました。
- 宋先生
- 若い人にとって婦人科はあまり縁がないところかもしれません。そのために多くの人が月経痛などをがまんして、なかには子宮内膜症や性感染症で人生を損した人もいます。婦人科の領域ではここ10年、多くの新しい治療法が出てきました。そのおかげで、婦人科の女医で月経に悩む人はとても少ないです。婦人科受診に抵抗を持つ方も多いですが、お母さんと娘さんで、かかりつけ婦人科医を持ってもらえたらと思います。まずは、気軽に婦人科に来ていただけたらいいですね。
- 司会
- 宋先生、みなさま、今日はありがとうございました。
丸の内の森レディースクリニック 院長
産婦人科医 宋 美玄 先生 からのメッセージ
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