第1回:現代女性が知っておきたいカラダのこと

日本家族計画協会(JFPA)クリニックで主として受付業務を担当している杉村さんは、日頃から、来院するほぼすべての患者さんと関わり、若い女性のさまざまなカラダの悩みを耳にしています。今回は、そうしたご経験の中から、現代女性が知っておきたいカラダのことについて伺いました。

婦人科疾患に対する一般の認知について、どのように感じますか?

女性が知っておくべき婦人科の病気について学ぶ機会は少なく、多くの女性は十分な知識があるとは思えません。私たちが行った「男女の生活と意識に関する調査」の結果では、性に関わる情報は中学を卒業するまでに知っておきたいと考える方が、いろいろな項目で6割を超えています。女性の体について正しく知っていれば適切な対処は難しくないことなのにと、残念に思うことがよくあります。

 

婦人科の病気に伴う症状は患者さん自身が病気のサインと自覚していないこともあり、積極的に見つけようとしないと見過ごされがちです。痛み、痒みなどの症状があれば婦人科受診を考える女性もいます。しかし無月経での受診はとかく遅れがちになります。月経痛は周りに相談すると「あって当たり前」と言われたり、相談する相手によっては「出産すれば治る」と言われたりして、解決するのをあきらめて我慢を続けてしまうケースも多く見受けられます。

 

月経トラブルなどの悩みがあるのであれば、ぜひ一度婦人科を受診し、正しい情報を得てほしいと思います。

受診をためらってしまう女性にアドバイスはありますか?

月経異常の中には子宮の病気が隠れている可能性がありますが、そのことに気づかずに、市販薬などで対処してしまう女性を多く見かけます。月経痛や月経周期が乱れている、経血量がいつもと違うなどの心配なことがあれば、婦人科を受診してほしいですね。
また、女性には(できれば男性にも)月経周期の数え方、月経周期の正常範囲、平均的な月経持続日数などは、知っておいてほしいものです。

 

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月経痛があっても適切な治療を受けて快適な生活を送っている人と、「痛みは我慢するもの」と仕事や家庭生活に影響の出ている方の両極端に分かれていると思います。私たちのクリニックは、近隣の高校の保健室のような役割を持っており、保健室の先生のご判断で紹介されることもあります。我慢してつらい生活を過ごす人を減らすために、適切な対処や治療にアクセスできるようにアドバイスしています。

現代女性のトラブルのない上手な働き方とは?

現代は、女性が男性とともに活躍することが求められ、頑張る女性が目立つ時代です。というのも、今、日本社会で管理職についているのは、男女雇用機会均等法が施行されたときに社会人になった世代の方ですし、女性活躍推進法なども施行されたため、女性の頑張りが期待されているのです。

 

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ただ、性差が科学的に理解されることが少なく、男女平等だけが一人歩きしている気がします。私は「女性らしさ、男性らしさ」はあえて否定するものではないと思っています。ですが月経に伴うトラブル、妊娠、出産は、女性だけが経験し男性には起こり得ないことなので、こうした性差を科学的に捉えることがとても大切です。性差が不利益にならない社会が理想ですね。

 

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