第2回:10代のみなさんに向けて

月経にまつわる悩みを抱えながらも、うまく対処できずにいる女性がなんと半数以上――。
こんな現状を変えて、女性がいきいき輝くためには「ヘルスリテラシー」を身につけることが大切と今村優子さんは言います。助産師として、また日本医療政策機構の一員として活躍されているご経験から、若い世代や働く女性を取り巻く現状について伺いました。

女性の体のトラブルは、ライフステージによって変わるのでしょうか。

仮に10代で月経トラブルがあれば、20代、30代になっても、同様なトラブルが続くことは多いものです。気をつけてもらいたいのは、10代の頃のトラブルを「若いから、今は妊娠の必要はないから」と考え放置してしまうと、妊娠適齢期である20~30代でそのつけを請け負うこともあるので注意してほしいです。

 

また、同じ月経不順でも思春期と更年期では治療方法が異なるので、年齢に応じたトラブルの特徴と対処法を知っておくべきです。月経痛などのトラブルがある場合には、自己判断しないで、必ず婦人科に相談してほしいものです。

婦人科クリニック受診によいイメージがない現代女性もいると聞きますが、受診のよいきっかけ、目安などがあれば教えてください。

婦人科受診を敬遠する理由に一つは内診だと思います。本人が受けたくない、または保護者が娘に受けさせたくないというケースは多いですが、全員に行うのではないこと、医師が必要とする内診は医療行為であることはご理解いただきたいものです。

 

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婦人科を受診するきっかけは人それぞれですが、出血や痒みがある、緊急避妊(EC)の必要性などがあれば多くの女性は受診します。一方で、無月経は異常だと気づくまでに時間がかかり、受診が遅れがちになります。無月経は3か月まで、月経の持続日数は3日~7日、月経の初日から次の月経の前の日までの日数を数える月経周期は25日~38日といった目安は覚えておいてください。性交経験があるなら初期症状が現れにくい子宮頸がん検診などは、自治体の制度を利用するか、毎年お誕生月などと決めて受診すると、婦人科とのつながりができますね。

女性は、月経が始まったら一度は婦人科を受診し、婦人科医をパートナードクターとできるならば月経に伴うトラブルが「手遅れ」になることもなくなるのではないでしょうか。

思春期の女性からの電話相談や思春期外来では、どのような声が聞かれますか?

最近の思春期の女の子でよくみられるのは、インターネットで自分が期待する情報を探してしまうことです。インターネット上にある1人の体験談や無責任な投稿を信じ、自分の体で本当に起きていることに目を向けるのが遅れてしまうのは考えものです。

 

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よく聞く誤解と言えば排卵日を月経が終わった日から計算する、着床すると出血があるので妊娠したかどうかがわかる、月経不順なので妊娠しないなど。それと、ピルは太るし、将来妊娠できなくなるというのはよく耳にします。また、月経を止めると子宮内に血液が溜まってしまうと考える女の子や、慢性的な貧血を「低血圧だから」と気にしない女の子がいたりもします。知識があれば、必要以上に悩まなくていいこともありますので、不確かな情報源などに惑わされないでほしいものです。

こうした誤った情報を鵜呑みにしてしまうのは、月経についての正しい知識を学ぶチャンスがないことが大きな要因なので、学校で具体的で科学的な教育が行われるよう私たちはこれからも啓発していきたいと思います。

 

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